ファンドアワードに注目!実は銘柄選びのヒントがいっぱい
日本国内には、個人が購入できる投資信託が6,000本以上存在します。すべてを一つの金融機関で購入できるわけではないものの、「何を選べばよいのかわからない…」というのは、投資家の皆さんが抱える永遠のお悩みなのではないでしょうか。
本コラム「投資信託のツボ」でも、投資信託の選び方についてたびたび取り上げてきましたが、注目していただきたいイベントがあります。それは、投資信託の評価会社などが公表する「ファンドアワード」です。
ファンドアワードは世界各国で公表されていますが、日本では、楽天証券のほか、モーニングスター、リッパー、格付投資情報センター(R&I)といった企業などが、毎年2月から4月にかけて前年末時点のデータを基に、優秀な投資信託の銘柄(ファンド)を表彰しています。
優秀なファンドとは、いったいどんなものでしょうか。表彰部門や評価期間などの違いはあれど、運用効率がよく、成績が安定した投資信託を表彰するという基本的なコンセプトは各社で共通しています。
したがって、各社のアワードを「総なめ」にするファンドも毎年数本誕生します。1社だけでなく、複数社でアワードを受賞したファンドをチェックすることは、銘柄選びのヒントにもなります。
相場環境の影響を排除して、ファンドそのものを評価
話をファンドアワードとファンド評価に戻しましょう。
先述した、「運用効率のよさ」や「安定した成績」とは、つまり「リスク控除後」のリターンの高さです。ファンドアワードに限らず、ファンド評価の世界では一般的に、そのファンドが取ったリスクの大小を考慮に入れて評価を行います。
単純なリターンではなく「リスク控除後」のリターンを重視するのは、運用成績に含まれる「偶然」や「まぐれ」の要素を極力排除するためです。リターンのみで単純比較すると、よかった成績が、例えば上昇相場で「げたを履かせてもらっていた」など環境要因の影響によるものか、見極めができません。
そのため、リターンの根拠となるリスクの大きさを考慮に入れることで、身の丈に合った運用ができているかの判断が可能になります。
シャープレシオ「1」を一つの目安に
リスク控除後のリターンを表す代表的な指標には、「シャープレシオ」があります。
これは負ったリスクに対してどれだけリターンをあげることができたかを表す指標で、先述したファンドアワードの多くは、このシャープレシオに各社独自の改良を加えて定量評価を行い、優秀ファンドを選定しています。
シャープレシオは以下の数式で求められます。
この数式によって算出された数値が大きくなるほど、「低いリスクで高いリターンが得られる運用効率がよい投資信託」であることを意味します。一般的に、この数字が1を超えていると優良な投資信託であるとされます。
では、ここでクイズです。
正しいシャープレシオの活用方法は?
解答:
1.×
2.○
シャープレシオは、同じ資産タイプ、かつ、同一期間の商品比較に活用することが原則です。
1の場合、株式と債券では想定されるリスク水準が異なる上、日本の円建て資産と米国のドル建て資産でもまたリスク水準が異なります。
2の場合についても、一般的に運用期間が短ければ短いほど基準価額のブレ幅は大きく、ファンドのリスク(標準偏差)水準も高くなる傾向にあるため注意が必要です。
なお、2020年のように短期間のうちに株式市場が急上昇すると、分母の標準偏差だけでなく、分子のリターンも高くなるため、シャープレシオが極端に高くなることがあります。
1年間のシャープレシオはあくまでも参考程度に、できれば、3~5年の数値を参照するようにしましょう。
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。