大型経済対策が東京市場への資金流入のきっかけに?

 衆院選投開票翌日(11月1日)午後、岸田首相は「大型経済対策を11月半ばまでに策定、年内のできるだけ早い時期に補正予算を成立させる方針」を示しました。

 生活困窮者への給付金や、観光需要喚起のための「GoToトラベル」再開などを盛り込むことが従来から明言されています。

 9月29日に岸田氏が自民党総裁に選出された直後から日経平均は急落に転じ(9月27、28日も小幅安だったが)、当日は639円67銭安(2万9,544円29銭)となりました。

 その後、10月1日の681円59銭安の大幅安を経て、政権発足(10月4日)2日後の10月6日の終値2万7,528円87銭安まで、実に8日連続安となりました。

 この下げは、岸田政権のリベラルな姿勢を嫌気した売りが出たとして「岸田ショック」と説明されました。

 ただ、単一の要因だけで日経平均がここまで急落したとするのは無理があるのも事実で、中国の大手不動産企業「恒大集団」の巨額債務問題が中国経済成長鈍化につながる可能性が嫌気された「中国要因」、さらに原油価格高騰もあったのが本当のところです。

 岸田自民党総裁誕生から政権樹立までの時期は株式市場が軟調になるタイミングで、それが結果的に加速した側面があることも認識しておかなければならないでしょう。

 衆院選で自民党の議席数は微減にとどまっており、現状、有権者が強い不満を持っているわけではないことが示されています。

 連立を組む公明党、今回大躍進の日本維新の会を併せた、いわゆる「保守勢力(無所属除く)」の議席は334議席(衆議院定数465議席)まで伸びています。

 自民党の党是である「憲法改正」の発議に必要な衆議院3分の2の議席(310)を大きく上回っています。岸田政権が安定した政権運営をしていくことはこの時点で疑いがありません。

 大型経済対策は生活困窮者への給付金(=生活防衛関連株)、観光需要喚起(=旅行・レジャー関連株)といった具体的なテーマ株だけでなく、東京市場に流れてくる資金が増加するきっかけになる可能性もあります。

「流動性が高い主力株」に注目することになります。日本を代表する銘柄には出直りの動きを見せるものが多いです。

流動性の高い主力株

コード 銘柄名 株価(円)
6758 ソニーグループ 13,995
6098 リクルートホールディングス 7,843
6920 レーザーテック 27,585
4063 信越化学工業 20,320
7203 トヨタ自動車 2,063
※株価データは2021年11月4日終値ベース。

ソニーグループ(6758・東証1部)

 ブランド力は日本企業随一。AV機器、電子部品、ゲーム、映画・音楽。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

リクルートホールディングス(6098・東証1部)

 人材サービス国内最大手企業。求人情報検索エンジン「インディード」も運営しています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

レーザーテック(6920・東証1部)

 半導体マスク欠陥検査装置が主力の企業です。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

信越化学工業(4063・東証1部)

 半導体シリコンウエハで世界首位の企業です。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

トヨタ自動車(7203・東証1部)

 自動車の世界首位企業。日野、ダイハツを傘下に持ち、SUBARU、マツダ、スズキと提携しています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

11月11日は中国のEC一大イベント『独身の日』

 中国時間11月11日午前0時に中国全土で本格スタート(セール期間は11月1日~)するのが、インターネット通販セール「独身の日」です。

 中国の国民的イベントとして毎年話題となっています。「1」が四つ並ぶ11月11日を「独身の日」と呼び、1990年代から「寂しさを紛らわすために買い物をする」という意識が高まり、大規模セールにつながったとされています。

 アリババグループの「天猫(Tmall)」やテンセントグループの「京東商城(JD.com)」などECサイトの売上は年を追うごとに拡大し、2020年には全土で流通取引総額約8,000億元 (約14兆円) を記録する驚異的な規模に成長しました。

 毎年「開始1分で取引額〇〇元!」、「午後〇時に昨年の売上高を超えた」などの情報が日本でも流されます。ライブコマースなど動画を活用したPRも近年の特長です。

 現在、中国政府が一部の企業に対し過剰な経済活動を抑えるように促していますが、その影響がどのように「独身の日」に表れるかも今年の注目点のひとつです。日本製品では美容やファッション、生活用品が毎年人気となっています。

「独身の日」関連株

コード 銘柄名 株価(円)
6630 ヤーマン 1,405
4911 資生堂 7,857
4452 花王 6,247
9983 ファーストリテイリング 79,220
6752 パナソニック 1,402
※株価データは2021年11月4日終値ベース。

ヤーマン(6630・東証1部)

 美顔器「Bloom」が昨年は人気でした。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

資生堂(4911・東証1部)

 美容液「アルティミューン」シリーズが昨年は人気でした。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

花王(4452・東証1部)

 紙おむつ「メリーズ」などが毎年人気です。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

ファーストリテイリング(9983・東証1部)

 ユニクロ「ヒートテック タートルネック」が昨年は人気でした。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

パナソニック(6752・東証1部)

 昨年は「ドライヤー」が人気商品でした。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)