今週の予想

今週も2万8,500~2万9,500円のレンジの中で上下動のある相場か

 米国株式が主要3指数そろって最高値更新したことや、衆院選を終えて一つの不透明要素が消えたため、今週の日経平均は2万8,500~2万9,500円のレンジ予想です。その中で下値は堅く、2万9,500円の上値を試す可能性もあります。

 11月第1週は3日(水)が祝日で、立会い日数は4日間のみ。年内のテーパリング(量的緩和の段階的縮小)開始が確定路線のため、11月2~3日に開かれるFOMC(米連邦公開市場委員会)で開始とならなければ、来月になります。

 米国株式がタイミング的に高値圏にある今週、テーパリングが開始される場合はいったん材料出尽くして利益確定売りで下げる可能性があります。その場合は米国株式に日経平均も連動すると思われます。

 もう一つの見方は、11月にテーパリングが開始されると、焦点である利上げ時期の前倒しを、マーケットは一定程度、織り込んでいると思われることです。このため、FRB(米連邦準備制度理事会)の人事(FRB議長の指名や続投)をきっかけに上昇するパターンもあります。

 日経平均は、衆院選で自民党が単独過半数の議席を獲得したことで、株式市場にはプラスに。むしろ今週は強弱の材料になるものが多く、例えば、1日の10月中国財新製造業PMI(購買担当者景気指数)と11月米ISM製造業景況指数、3日に米ADP雇用統計、5日に10月米雇用統計の発表があります。

 このため、今週も2万8,500~2万9,500円のレンジ内の動きで、衆院選やテーパリングでアク抜け感があっても、このレンジの上限への重さとなりそうです。

 相場自体は、煮詰まってきているものの、上にいくか下にいくかは分かりません。

 上に抜けていく場合は、10月20日につけた2万9,489円を抜けるかがポイントです。逆に下に抜ける場合は、10月25日につけた2万8,472円の安値を切るかどうかです。

 2万9,500円を上に抜けてくると、3万円乗せから9月14日の3万795円を試すことになります。

今週の指標:日経平均株価

 今週は衆院選で自民党が過半数の議席数を獲得したことで、株式市場にとってはプラスとなり下値は限定的。2万8,500~2万9,500円のレンジ中での荒い動きの可能性があります。

 そのため、FOMCでテーパリングが開始された場合は、米国株式で目先の材料出尽くしの動きとなるのか、また週末の10月雇用統計、FRB人事の結果への影響に注目です。

 また、今週は国内の主要企業の決算もあり材料が多い週のため、方向感は出てもレンジの中での動きとなります。

 柴田罫線(チャート)では10月26日に2万9,106円で、上に行く確率が高い法則「ろく買い」が出ています。

先週の結果

 先週の日経平均の予測では、基本的に2万8,500~2万9,500円のレンジの動きであるものの、2万9,000円水準からは上値の重い展開の可能性があるとしました。これは衆院選で自民党の議席数減少がどの程度になるか、政治の変化を嫌う外国人投資家が結果を確認するまで動かないためです。

 そして、想定通り2万8,500~2万9,500円のレンジの中で、先物主導の値幅の大きい上下動となり、週の終値は2万9,000円をつけて+72円の2万8,892円でした。

 相場の本格的な動きは11月に入ってからとなります。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 今週も先週に続き、企業の好決算が相場をサポートすることになりそうです。

 FOMCが開催されるほか、10月米雇用統計など重要な経済指標の発表がめじろ押しとなっています。FOMCではテーパリングが実施される予定ですが、市場ではほぼ織り込み済みとみられます。

 10月米雇用統計は伸びが拡大する予想で、新型コロナウイルスの感染拡大が収束に向かう兆候がみられ、経済活動は一段と活発化する方向にあります。

 しかし、一方でサプライチェーンの混乱は2022年まで続く公算で、インフレがしばらく高止まりする可能性があります。

先週の結果

 先週、ハイテク株の一部が予想を下回る決算となっていましたが、全般的に決算好調で主要3指数とも上値は重いものの、年初来高値を更新する動きとなりました。

 週末の米株式は、ナスダック総合指数は5日続伸、S&P500種指数も続伸となってザラ場と終値で最高値を更新しました。NYダウも3日ぶりに終値での最高値更新でした。

今週の指標:ドル/円

 11月2~3日に開催予定のFOMCはハト派寄りの政策と予想され、長期金利の上昇は一服することから、ドル売り優勢の可能性があります。このFOMCではテーパリングの開始を決める公算で、早ければ11月中に債券買い入れの縮小を開始し、2022年半ばまでに完了するシナリオが既に織り込まれているようです。

 ECB(欧州中央銀行)総裁は10月28日の記者会見で「高インフレ局面は想定以上に長期化する」と述べており、将来的な利上げの思惑が浮上しています。

先週の動き

 先週は、10月26日の9月新築住宅販売件数、10月米CB(コンファレンス・ボード)消費者信頼感指数が市場予想を上回ったことで、早期利上げの可能性が高まり、ドル買い・円売りが活発化しました。

 ドル/円は一時114.31円まで買われましたが、27日発表の9月米耐久財受注が予想を下回ったことで、ドル/円は113円台に反落しました。その後、29日にドル/円は113.37円まで下落後、114.10円まで戻した後、早期利上げ観測が高まり114.01円で引けました。

先週の結果

 先週の予測では、前週の2万8,500~2万9,500円のレンジの中で、2万9,000円水準から上は、上値の重い展開になるとしました。その理由は、日米で決算発表が本格化するものの、日本では31日(日)の衆院選の結果を見極めたいという様子見が続いていること。

 また、27~28日の日銀金融政策決定会合、日本郵政の売り出し価格の決定(10月25日)もあるため、方向感が不透明な状況にあるからでした。

 結果的に、1週間を振り返れば、安値は25日(月)の2万8,472円、高値は26日(火)の2万9,160円でした。

 その後は2万9,000円を上値にもみ合い、週末の29日(金)も2万8,475円まで下げた後、上値は2万9,000円をつけて、2万8,892円で引けました。 先週は、ほぼ2万8,500~2万9,000円の500円幅の値動きとなりました。

 結局、日経平均は短期筋による先物の売買で動いている状況が続きました。

 日経平均は先週末の米国の時間外取引で、ナスダックの先物の下落を利用して前場に売り仕掛けをしても2万8,475円で下げ止まりました。

 日経平均の先物買いで上昇しても買い材料がないために上値を買い進むことができず、日経平均は2万9,000円まで上昇して終値は+72円の2万8,892円でした。

 25日(月)は、前週末の米国市場で、NYダウが終値での史上最高値を更新したものの、ナスダックが下落したことで、日経平均は値ガサ株が売られました。

 ファーストリテイリング、ソフトバンクが軟調で、日経平均は一時▲332円の2万8,472円まで下げ、終値は▲204円の2万8,600円でした。

 26日(火)は、前日の米国市場で主要3指数そろって上昇し、NYダウとS&P500は連日の最高値更新となっていたことで、日経平均は+327円の2万8,927円で寄り付きました。

 後場になると先物買いを支えに上げ幅を拡大し、日経平均は一時+560円の2万9,160円まで上昇し、終値は+505円の2万9,106円と4日ぶりの2万9,000円台となりました。

 27日(水)は、前日の米国株式で主要3指数とも小幅の上昇でしたが、前日の日経平均の大幅高の反動と、上海株、ハンセン指数の下落、31日の衆院選開票を前に様子見もあり、先物主導で、一時▲235円の2万8,870円まで下げ、終値は▲7円の2万9,098円と小幅反落でした。

 28日(木)は、前日の米国市場でNYダウが4日ぶりの▲266ドルの下げとなったことを嫌気し、日経平均は▲266円の2万8,871円で寄り付いて、すぐに▲405円の2万8,693円まで下げました。しかし、決算予想の上方修正や配当の増額などに物色が向かい、▲278円の2万8,820円の下落で終わりました。

 週末の29日(金)は、前日の米国市場で、主要3指数とも大幅上昇するものの、時間外取引の米国株先物が、アップル、アマゾンの下落を嫌気し、日経平均も前場は一時▲345円の2万8,475円まで下げました。

 その後は押し目買いが入り、後場には一時+180円の2万9,000円まで上昇するものの、買い進む動きとはならず、日経平均は+72円の2万8,892円で引けました。31日の衆院選の結果を見極めたいという動きなのでしょう。

 週末の29日(金)の米国市場は、主要3指数とも最高値更新となりました。

 決算が予想を下回ったアップル、アマゾンは下落したものの、マイクロソフト、テスラ、ネットフリックスなどが上昇し、相場を押し上げました。

 長期金利の低下でドルも買われ、円も1ドル=一時114円台をつけたこともあり、シカゴ日経先物は+210円の2万8,990円でした。