今週の「トレンドマーケットスクールTOKYO」は衆議院選挙前後の株式市場を展望します。11月1日(月)から5日(金)の日本株は、自民党が議席は減らしたものの、単独で絶対安定多数を確保したことで、上昇に期待が持てそうです。

岸田政権、絶対安定多数で11月は強い日本株復活に期待したい!

 10月31日(日)の衆議院選挙は自民党が単独過半数233議席を上回る261議席を獲得。自民党だけで絶対安定多数を獲得しました。

 甘利明幹事長が小選挙区で落選し、幹事長の交代が濃厚になるなど、波乱もありましたが、終わってみれば岸田新政権にとって上々の結果でした。

 また、共産党との共闘で政権交代を訴えた立憲民主党は議席を減らす一方、政治改革や規制緩和による成長戦略を唱える日本維新の会が躍進しました。

 日経新聞の記事によると、過去約30年の衆院選で、解散実施日から投開票日までの日経平均株価は10回中10回とも上昇。平均上昇率は4.2%でした。今回はどうだったかというと、10月14日の衆院解散日の終値2万8,550円から投開票日前の29日終値2万8,892円まで、かろうじて0.1%上昇しただけ。

 しかし、自民党が単独過半数を確保した過去10回中5回の選挙後は株価が大きく上昇しています。選挙前が低調だった分、今後の株価上昇に期待したいところです。

 選挙目前とあって、先週の日本株は様子見の展開が続きました。個別株では、29日(金)の取引時間中に2022年3月期の通期純利益予想を大幅に上方修正した商船三井(9104)が急騰し、週間でも海運業が最も上昇したセクターになりました。一方、銀行・証券業や電気・ガスが不振でした。

 米国では、25日(月)のフェイスブック(FB)、26日(火)のアルファベット(グーグルの親会社・GOOG)マイクロソフト(MSFT)が予想を上回る決算を発表し株価も上昇。

 28日(木)のアップル(AAPL)アマゾン・ドット・コム(AMZN)は予想を下回る決算で株価も下落。しかし、29日(金)にはNYダウ、S&P500、ナスダック総合指数がともに過去最高値を更新しています。

 本当に米国株は強いですが、その要因としては株価の大敵である長期金利の上昇が止まり、10年物国債の利回りが1.5%台に低下したこと。

 また、28日(木)にバイデン大統領が、気候変動対策や教育の拡充に向けた歳出案を当初の半分の1兆7,500億ドル(約200兆円)に減額し、法案の早期成立を目指すと表明したことも好感されました。

 一方、中国では不動産バブル崩壊の象徴といえる中国恒大集団が29日(土)最終期限の利払いを実施。しかし、同社は11月11日にもドル建て債券の利払い最終期限が控えており、相変わらず綱渡りの状況です。

テーパリング織り込み済みで米株続伸!?日本は海運・商社株がけん引役!

 今週も日米両国で決算発表が続きます。

 日本では1日(月)にコロナ治療薬を開発する塩野義製薬(4507)エーザイ(4523)、2日(火)に資源価格高騰で潤う三井物産(8031)など商社。

 祝日明けの4日(木)には日本郵船(9101)など好業績が期待される海運株や、半導体不足で減産を強いられているトヨタ自動車(7203)

 5日(金)には三菱商事(8058)など337社の決算発表が予定されています。

 米国では、日本時間の4日(木)未明にいよいよFOMC(米連邦公開市場委員会)で、テーパリング(量的緩和の縮小)の詳細が決定します。

 11月からテーパリングを始めて、1,200億ドルの債券購入額を毎月150億ドルずつ縮小し、2022年6月末にゼロにするというのが大方の予想です。

 とはいえ、先週の非常に強い米国株の動きを見ていると、テーパリング開始をすでに織り込んでいるように見えます。利上げ開始時期の前倒しなど、予想外の強硬姿勢が表明されない限り、米国株はこのままクリスマス休暇まで上昇が続きそうな勢いです。

 5日(金)には米国雇用統計も発表されます。前回9月の非農業部門新規雇用者数は19.4万人増と予想を大幅に下回りましたが、今回発表の10月分は45万人増が予想されています。前回、前年同月比4.6%増と高い伸びを示した平均時給についても、賃金上昇はインフレ圧力となるため、注目されそうです。

 岸田政権にとっては、まずまずの結果だった衆院選も終わり、今後は大規模な経済対策に市場の関心が集まりそうです。新型コロナ感染者数の減少も続き、外国人投資家も割安な日本株に目を向ける可能性が高いでしょう。

 11月は好業績が続く海運株や商社株をけん引役に、内需株の持ち直し、輸出株の続伸など、”強い日本株”に期待したいところです。