確定申告不要!ふるさと納税の寄付金控除を受けられる方法

 ふるさと納税、皆さんは活用していますか。所得に応じた限度額以内で、自治体への寄付が自己負担2,000円で行えるというものです。

 ふるさと納税は純粋な寄付もできますし、返礼品を受け取ることもできます。この返礼品に魅力を感じて、ふるさと納税を行うという方も多いと思います。

 ただ、ふるさと納税はあくまでも所得税や住民税といった税法の規定による制度なので、ふるさと納税による寄付金控除を受けて、税制上のメリットを享受するためには、確定申告を行うのが原則です。

 しかし、確定申告に慣れていない方だと、確定申告自体のハードルが高く、ふるさと納税そのものを躊躇(ちゅうちょ)してしまう方もいらっしゃるかもしれません。

 そこで、確定申告をしなくてもふるさと納税の適用を受けることができる特例が設けられています。それが「ワンストップ特例」と呼ばれるものです。

ワンストップ特例が使えないケースとは

 ワンストップ特例を使うためには以下のような要件があります。

  • 給与所得者であること
  • 2カ所以上から給与を受け取っていないこと
  • 年間の給与収入の合計が2,000万円以下であること
  • 給与所得以外の所得がないこと
  • 1年間に寄付した自治体数が5自治体以内であること
  • 確定申告をしないこと

 これらの要件に当てはまらないものが一つでもあれば、ワンストップ特例の申請をしても、それは無効になります。

 また、ワンストップ特例の申請書を、ふるさと納税をした全ての自治体に期日内(翌年1月10日まで)に送付しなければならず、年の途中で住所が変更となった場合は、その届出も翌年1月10日までに行う必要があります。

 これらを怠った場合も、ワンストップ特例の適用は受けられないことになります。

ワンストップ特例が使えていなかった!リカバリーの方法は?

 このように、ワンストップ特例を使うには条件がありますし、期日までにふるさと納税をした全ての自治体に、申請書や添付書類を送るなどの手続きも必要となります。

 そのため、どれか一つでも条件に当てはまらなかったり、手続きを失念したりミスしたりした場合も、ワンストップ特例の適用が受けられないことになります。

 では、ワンストップ特例の適用が受けられないと、ふるさと納税の適用がなされないのかといえば、それはありません。

確定申告でリカバリーする

 原則通り、確定申告をすれば、ふるさと納税の適用を受けることができます。

 それは、確定申告をしている方であれば、更正の請求により対応します。ふるさと納税につき確定申告すれば、還付を受けられたはずの金額を後日取り戻すことができます。

期限後申告(還付申告)でリカバリーする

 確定申告をしていない方、例えばワンストップ特例を使おうと思っていたが、書類の不備があったため使えなかった場合や、そもそもふるさと納税で、ワンストップ特例も確定申告もするのを忘れていたような場合は、期限後申告(還付申告)をすれば大丈夫です。

リカバリーするときの注意点

 注意点としては、すでに確定申告をしている、もしくはこれから確定申告をすることにより、ワンストップ特例自体が無効になってしまいます。

 したがって、ワンストップ特例を申請したものも含めた全てのふるさと納税につき、更正の請求や期限後申告を行うようにしてください。

今年令和3年分から、確定申告でのふるさと納税適用もラクになるって本当?

 寄付金控除の適用を受けるためには、確定申告書に特定寄付金の受領者が発行する寄付ごとの「寄付金の受領書」の添付が必要とされていますが、今年令和3年分の確定申告から、特定寄付金の受領者が地方団体であるとき(ふるさと納税であるとき)は、寄付ごとの「寄付金の受領書」に代えて、特定事業者が発行する年間寄付額を記載した「寄付金控除に関する証明書」を添付することができることとされました(国税庁ウェブサイトより引用)。

 これまでの確定申告では、寄付を行った自治体ごとに(同じ自治体に寄付を複数行った場合はそれぞれにつき)発行される寄付金受領証を添付することが必要とされていましたが、特にいくつもの自治体にふるさと納税をしているような場合は、寄付金受領証の数が多くなり、手続きも煩雑になっていました。

 そのため、令和3年分のふるさと納税からは、自治体ごとの寄付金受領証ではなく、ふるさと納税を取り扱っている事業者(楽天ふるさと納税も該当します)が発行する「寄付金控除に関する証明書」を添付するだけでよくなりました。詳細はこちらをご参照ください。

ワンストップ特例は従来通り、すべての自治体の書類が必要

 一方、ワンストップ特例は従来通り、ふるさと納税を行った自治体全てに対し、ワンストップ特例の申請書と添付書類を送付する必要があります(楽天市場ワンストップ特例について)。

 そのため、手間暇を考えるとワンストップ特例を使うより、原則通り確定申告をした方が楽、というケースもあるかもしれません。

 ふるさと納税の適用が受けられているかどうかは、翌年5月ごろに届く住民税の通知書を見ると分かります。

 もし、ワンストップ特例の申請をしたにもかかわらず、寄付金控除の欄に金額が書かれていなかったり、明らかに少ないような場合は、ワンストップ特例が無効になっている可能性が高いです。

 お住まいの自治体に確認の上、必要に応じて更正の請求や期限後申告を行い、しっかりとふるさと納税の適用を受けるようにしましょう。