今週の予想

今週も2万8,500~2万9,500円のレンジ。その中で2万9,000円水準からは上値が重い展開か

 今週の日経平均も、基本は2万8,500~2万9,500円の中で、2万9,000円水準からは上値の重い動きになりそうです。外部的には、エネルギー価格の上昇や中国経済の不透明さがあるものの、今週の日本は、31日に行われる衆議院選の投開票を前に様子見が強まる可能性があります。

 海外投資家は政治には敏感ですので、自民党の獲得議席数が注目となります。選挙が終わると、長期スタンスの海外投資家が本格的な売買を始める可能性があり、11月の日経平均は上昇期待が持てます。

 このような状況の中で日経平均を支えるのは、今週から始まる決算発表です。3月期決算企業にとって中間決算となるこの期は、第1四半期では、上方修正を見送った企業が業績の見直しを行うことが想定され、予想を上回る発表がなされれば、日本市場は見直されることになります。

 気がかりなのは22日(金)の日経平均の値動きです。

 日経平均は朝の早い段階で2万9,000円に接近するものの、以降は上げ幅を縮小し、後場は安値圏で終えました。日経平均は不安定ながらも上昇したものの、2万9,000円を超えられず、失速となりました。

 場中に中国恒大集団の利払い実施の材料が出てきたものの、これを受けても上げきれなかったのは、上述した政治リスクが意識されていると思われます。

 今週は、日本と米国で決算発表が本格化しますが、日本の場合は31日の選挙の他に、27~28日の日銀金融政策決定会合が開催され、日本郵政の売り出し価格の決定もあります。

 足元では米長期金利の動きがやや大きくなっており、為替の動きにも左右されることになります。

 もう一つの見方として、日本郵政の株式売り出し(10月25日)と衆議院選の投開票(31日)を控え、政策的に株高を演出すれば、日経平均は2万8,500~2万9,500円のレンジの上に向かう場合も考えられます。

今週の指標:日経平均株価

 今週は基本的には、2万8,500~2万9,500円のレンジの動き。しかし、先週の動きを見ると2万9,000円水準からは上値が重い展開の可能性も。その要因は、31日の衆議院選の投開票があります。外国人投資家は政治に敏感なので、自民党の議席数がどのくらい目減りするのか用心しています。

 一方で、決算も本格化してくるので、業績発表で上方修正企業が増えれば日経平均の下支えとなります。

先週の動き

 先週の予測では、2万9,500円水準は累積出来高が多いところですので、ここを超えることができれば、日経平均は3万円を目指すことが考えられるとしましたが、目先的には19日の衆議院選の公示後の動きを見ながら、2万8,500~2万9,500円のレンジの中でのもみ合いとしました。

 結果的には、週半ばの20日(水)に日経平均は、2万9,489円まで上昇後、上げ幅を縮小して+40円の2万9,255円となり、21日(木)には、後場、円高をきっかけに仕掛け的な売りが出て、さらに見切り売りも加わって▲566円の2万8,688円まで下げました。

 22日(金)には前場、早い段階で2万8,546円まで下げた後は戻りに入り、日経平均終値は+96円の2万8,804円でした。目先は2万9,500円水準を試す動きとなりそうです。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 今週は、ハイテク決算とインフレ指標となるPCE(個人消費支出)コアデフレーターや7-9月期GDP(国内総生産)に注目となります。

 今年に入り6%台の成長が続いた7-9月期は新型コロナの変異株流行で経済活動が鈍化したほか、サプライチェーン混乱で成長が+2.5%に低下する見込みです。スタグフレーション懸念も根強く、一時的な相場下落につながる可能性があります。

 さらにFRB(米連邦準備制度理事会)がインフレ指標としている9月PCEコアデフレーターは、目標としている2%を大きく超える3.7%に拡大する公算となっています。予想が大きく上回れば早期の利上げ観測が、さらに相場の売り圧力となってきます。

先週の動き

 先週は、引き続き企業決算が本格化し、戻りを試していく展開を想定しました。中国恒大集団のリスクは存在するものの、景気循環株が相場をけん引するとしました。

 好決算が続き、10月19日(火)までS&P500種指数とナスダック総合指数は5日続伸となり、20日(水)にはNYダウは2カ月ぶりにザラ場での高値更新となり、21日(木)のS&Pは7日続伸して史上最高値更新となりました。

 週末の22日(金)は、中国恒大集団の米ドル債の利払い実施が伝わり、NYダウは+73ドルの3万5,677ドルと終値でも2カ月ぶりの最高値更新となりました。

今週の指標:ドル/円

 今後の経済指標が好調であれば、年末までにテーパリング(量的緩和の段階的縮小)に着手する可能性が高くなっています。パウエルFRB議長は早期利上げに慎重のようですが、方針としては年内テーパリングを開始して、来年半ばごろに終了する考えを伝えています。

 現状のドルの上昇は秩序だったドル高ではなく、1ドル=114円台後半からドル売り・円買いが増えるとみられています。

 原油価格の下落や中国恒大集団の債務問題など、ドル売り材料が広がればドルの上値は重くなるとの見方が多いようです。

先週の動き

 先週は、10月18日発表の中国7-9月期GDPの一段の減速や、米国の9月鉱工業生産指数の2カ月連続の落ち込みで、ドル売り・円買いがやや活発となりました。

 その後、FRB幹部によるインフレが年末までに弱まらなければ利上げを早める可能性の発言や、日本の9月貿易収支の赤字継続を受けて、ドル/円は一時114.70円まで上昇、2017年11月以来のドル高・円安となりました。

 その後、利益確定売りや中国恒大集団の債務問題から円が買われ、1ドル=114円を下回り、さらに22日(金)は急速な利上げは景気を停滞させるとの懸念が浮上し、長期金利が再び低下してドル売りにつながり、1ドル=113.49円で引けました。

先週の結果

想定通り2万8,500~2万9,500円のレンジの上から下までを試す

 前週末の15日(金)の日経平均は、+517円の2万9,068円と2週間ぶりに2万9,000円台を回復して終わりました。先週の日経平均の予測でも、基本は戻りを試すものの2万8,500~2万9,500円のレンジ内の動きを想定しました。

 結果的に日経平均は、20日(水)に2万9,489円まで上昇するものの、その後、原油高を嫌気し、翌日は2万8,688円まで下落。週末の22日(金)は、2万8,546円まで下げて反発に転じ、+96円の2万8,804円となりました。レンジの上限を試して次は下限を試す形となりました。

 日経平均のチャートの動きを見ると、前週に多くの移動平均線が集まっている2万8,500円水準を突破して2万9,000円台を回復しました。しかし、2万9,500円水準は累積出来高が膨らんでいるところで、ここからは戻り売りになることが想定されました。

 そこで、日経平均は、まず半値戻しの2万8,783円を達成しているので、次は3分の2戻しの2万9,219円、その上は2万9,500円としていました。

 具体的な日経平均の動きを見ると、18日(月)は、前週末の大幅高の反動から利益確定売りが出て、一時▲144円の2万8,924円まで下げ、その後、+75円の2万9,144円まで上昇し、買い一巡後は上値重く下げ渋るものの、戻りは限定的で▲43円の2万9,025円と反落しました。

 19日(火)は、前日の米国株式はNYダウは反落するものの、S&P500とナスダックは4日続伸となり、ハイテク株中心に買われたことで、日本市場でも半導体関連に買いが先行し、日経平均は一時、+247円の2万9,272円まで上昇し、終値は+190円の2万9,215円でした。

 20日(水)は、前日の米国市場で好決算が続いていることから、主要3指数そろって上昇したことや、円安進行もあり、日経平均は一時+273円の2万9,489円まで上昇しました。

 しかし、その後、戻り売りや利益確定売りで伸び悩み、先物の売りも出たことで急速に上げ幅を縮小し、日経平均は+40円の2万9,255円で引けたものの、4日続伸でした。

 21日(木)は、前日の後場の上値の重い動きから売り優勢となりました。前場の日経平均は▲93円の2万9,161円でした。しかし、後場になると、為替が1ドル=114円台の前半へとやや円高の動きとなり、仕掛的な売りで2万9,000円を割り込むと、見切り売りを誘って下げ幅を拡大したとみられます。

 結局、日経平均は一時▲566円の2万8,688円まで下げ、終値は▲546円の2万8,708円となりました。

 週末の22日(金)は、前場、早い段階で日経平均は▲162円の2万8,546円の安値をつけて反発し、前引けは+183円の2万8,892円。後場になると、じり安となり上げ幅を縮小し、+96円の2万8,804円となりました。

 日経平均が2万8,500~2万9,500円のレンジで下値を確認したので、目先は2万9,500円を試すことになります。

 週末の米国市場は、アメリカンエキスプレスなどの優良株が上昇し、中国恒大集団が米ドル債の利払いを実施することが伝わるとデフォルト懸念がやや後退し、NYダウは2カ月ぶりに終値での最高値を更新しました。

 しかし、一部のハイテク株の決算が嫌気され、ナスダックは反落して終了し、主要3指数はまちまちの動きとなりました。

 為替は1ドル=113円台半ばまでの円高となり、シカゴ日経先物は▲140円の2万8,730円でした。