今週の予想

基本は戻りを試すが、レンジでは2万8,500~2万9,500円を想定

 岸田新総裁が誕生したのは9月29日ですが、日経平均株価は、9月28日の終値3万183円から10月6日の安値2万7,293円まで、わずか1週間あまりで2,890円(9.5%)の急落となりました。

 つまり、マーケット(海外投資家が中心)は、岸田内閣の誕生を望んでいなかったと解釈できます。10月1日までの1週間で1兆7,569億円(現物と先物)も売り越したのが、その証拠です。

「金融所得税の引上げ」主張が原因と思われますが、その後、慌ててこの件を先送りしたことで相場は落ち着き、戻りに転じています。

 日経平均2万8,500円水準には多くの移動平均線が集中していましたが、15日(金)には、米国株大幅高と急速な円安を受けて一気に突破し、日経平均は2万9,000円台を回復しました。

 目先は半値戻しの2万8,738円から、3分の2戻しの2万9,219円となり、その上は2万9,500円のフシとなります。

 10月31日が衆議院選挙の投開票日ですが、10月下旬には日本郵政の株式の3次売り出しがあります。大規模な売り出し(約7,000億円)ですので、政府が「株高」の演出に動くとの見方もあります。

 また、日本企業の決算本格化に向けて円安進行となっており、輸出関連株が外国人投資家に買い増しされる可能性もあります。

 マイナス要因には、中国の恒大集団の次の社債の利払いが19日、23日、29日と次々と予定されています。このリスクをどう日本株は受け止めるかが気になります。それを考えると日経平均の想定レンジは2万8,500~2万9,500円というところです。

今週の指標:日経平均株価

 目先で2万9,000円前後は累積出来高が多いことから、需給の関門と考えられます。これを乗り越えると、再び3万円台を目指すことになります。

 19日に衆議院選が公示されるので、目先はこの動向を見ながら、2万8,500~2万9,500円の中でのもみ合いとなりそうです。

先週の動き

 先週の日経平均の予測では、10月6日の2万7,293円で8月20日の今年の安値2万6,954円の水準まで下げており、ここから仕切り直しの見方が出るとし、上下動しながら下値を確認し、2万8,000円台前半を中心に推移するとしました。ただし、その間にNYダウ平均株価が動けばそれに追随するともしていました。

 結果的に、週始めの11日(月)の安値2万7,893円から2万8,581円の高値までのレンジの中で上下動を14日(木)まで続けていましたが、この日の米国株(特にNYダウの+534ドルの3万4,912ドル)の大幅上昇と円安進行を受けて、週末15日(金)の日経平均は2万8,500円水準を一気に抜けました。

 また、後場には1ドル=114円台の円安加速で、輸出銘柄が一段高となり、日経平均は+517円の2万9,068円と2週間ぶりに2万9,000円台を回復しました。

 10月6日に2万7,293円までの大きな調整を入れた後、先週は2万8,000~2万8,500円水準で上下動をし、週末はNYダウの大幅高を受けて上放れし2万9,000円台を回復しました。

今週の指標:NYダウ平均株価

 今週は、好調な企業決算が本格化し、下値を固めていく展開になりそうです。

 11月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で資産購入の縮小が見込まれますが、今後8カ月ぐらいかけての縮小が続くとされます。

 米国政府が11月8日からワクチン接種完了者に対する入国制限を解除するため、航空関連株は期待できると言われています。中国不動産大手、恒大集団のリスクは存在するも、景気敏感株が相場をけん引するとみられています。

先週の動き

 週始めは原油高、長期金利の高止まりでインフレが意識され、11日(月)▲250ドル、12日(火)▲117ドルと前週末から3日続落となりました。

 その後、14日(木)は好決算、新規失業保険申請件数の大幅減少、長期金利の低下を受け、インフレ懸念が後退し、NYダウは+534ドルの3万4,912ドル、ナスダック+251ポイントの1万4,823ポイント、S&P500+74ポイントの4,438ポイントと主要3指数とも大幅上昇となりました。

 柴田罫線(チャート)では、NYダウに「買い転換」が出現し、一段高の期待が持てます。そして週末のNYダウは+382ドルの3万5,294ドルと大幅続伸となりました。

今週の指標:ドル/円

 FRB(米連邦準備制度理事会)が、11月中にテーパリング(量的緩和の段階的縮小)に着手する可能性があることから、ドルは伸び悩むことが想定されます。

 ただし、今週発表される経済指標が市場予想を上回る場合は、ドル買いは継続する可能性もあります。その場合は、1ドル=115円近辺では輸出企業のドル売りも懸念され、一段のドル高は抑えられます。

 一方で、中国の恒大集団の債務危機が広がれば、リスク回避的な円買いが広がる可能性は残されています。

先週の動き

 先週のドル/円は堅調。米長期金利の下げ渋りや原油高を意識し、リスク回避的なドル売りは縮小し、週始めに1ドル=113円台へ上昇しました。原油相場は堅調に推移したことで、週後半はドル買い・円売りが活発となりました。

 15日には9月米小売売上高の増加で長期金利が上昇し、ドル買い優勢となり、一時2018年10月以来となる1ドル=114.46円まで上昇しました。その後は、11月中にFRBがテーパリングを開始するとの思惑で、ドルは下げ渋り、1ドル=114.20円で引けました。

先週の結果

2万8,000~2万8,500円水準でのもみ合いの後、週末2万9,000円台回復

 先週の日経平均株価予測では、2万8,000~2万8,500円水準の中での上下動が続き、NYダウ次第で上放れする場合も想定しました。

 結果的に日経平均は、2万8,500円水準までのもみ合いの後、14日(木)の米国市場が好決算や長期金利の低下を受けて大幅上昇となり、NYダウは+534ドルの3万4,912ドルと大幅反発。週末の日経平均もこれを受けて一気に+517円の2万9,068円と2万9,000円台を回復しました。

 日経平均は、NYダウに連動する可能性が高いとしているように4日続落していた後の14日(木)のNYダウの大幅反発を受け、2万8,500円水準を突破しました。

 10月11日(月)は、前週末の9月雇用統計は強弱まちまちだったことで、NYダウは横ばいだったものの、原油高でドルが買われて長期金利が上昇し、日経平均は朝方、一時▲155円の2万7,893円まで下げるものの、1ドル=112円台の円安進行を受けて、+532円の2万8,581円まで上昇。ここからは上値が重く、日経平均終値は+449円の2万8,498円となりました。

 12日(火)は、前日のNYダウは原油高からのインフレ懸念を嫌気し、▲250ドルの3万4,496ドルを受け、日経平均はアジア株安、時間外の米株先物安で▲267円の2万8,230円と4日ぶりの大幅反落となりました。

 13日(水)もNYダウは、▲117ドルの3万4,378ドルと3日続落したことで、日経平均は一時▲237円の2万7,993円まで下げました。

 しかしその後、IMF(国際通貨基金)が世界経済成長見通しを引き上げたことで、日経平均は一時+134円の2万8,364円まで反発。しかし、買いは続かず再びマイナス圏に入り、日経平均は▲90円の2万8,140円と続落しました。

 14日(木)は、前日の米国市場で長期金利の低下を好感し、ナスダック総合株価指数が上昇し、NYダウは大きな下げから下げ幅を縮小。

 これを受けて日経平均は+124円の2万8,264円で寄り付き、その後、時間外取引で米株先物の上昇、株価先物への断続的な買いもあり、目先のフシの一つである13週移動平均線(2万8,520円)を上回る+410円の2万8,550円で引けました。

 週末の15日(金)は、前日の米国株が主要3指数そろって大幅高となりました。その背景は好決算、新規失業保険申請件数の大幅減少、長期金利の低下によるインフレ懸念後退であり、これを受けて日経平均は+236円の2万8,787円で寄り付き、その後もジリ高が続き、大引けは+517円の2万9,068円と9月30日以来の2万9,000円台乗せとなりました。

 日本市場の引け後の米国市場は、前日の+534ドルの3万4,912ドルで、柴田罫線では「買い転換」が出現しており、これを受けて+382ドルの3万5,294ドルと大幅続伸となりました。

 サポート要因は、ゴールドマンサックスなどの好決算が続き、9月米小売売上高が予想を上回ったことによります。為替は1ドル=114.24円まで円安が進行し、シカゴ日経先物は+65円の2万9,185円でした。