10月31日(日)の衆議院選挙に向けた選挙戦が本格スタートする今週の株式市場を紹介する「トレンドマーケットスクールTOKYO」。10月18日(月)から22日(金)の日経平均株価は3万円の大台回復が視野に入ってきました。

米国金融株の好決算でNYダウ上昇。日本株は年初来高値目指す!?

 先週の日経平均株価は、岸田新首相が金融課税強化の見合わせを表明した11日(月)に449円高。12日(火)、13日(水)は再下落したものの、米国で長期金利の上昇が一服したこともあり、14日(木)は410円高、15日(金)は517円高と2日間で1,000円近く上昇。2万9,000円台を回復しました。

 上昇をけん引したのは、10月第1週、日本株(現物株)を約2年ぶりに4,653億円も買い越した外国人投資家です。

 岸田新政権の「四半期決算見直し」や「経済安全保障政策」は企業統治の後退につながると海外投資家に不評のようですが、単純な「選挙は買い」の連想で外国人の大規模買いが続けば、衆議院選前後に日本株が年初来高値3万795円を超える可能性も高いでしょう。

 インフレ懸念で停滞してきた米国株も好転しました。その原動力になったのは米国大手金融機関の7-9月期決算です。13日(水)のJPモルガン・チェース(JPM)が景気回復の影響で前年比24%増益になったのを皮切りに、15日(金)のゴールドマン・サックス(GS)まで金融株が好決算を連発し、米国株の雰囲気ががらりと一変しました。

 13日(水)発表の9月米消費者物価指数は前年同月比5.4%増と前月から伸びが加速。同日公開された9月開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録では、11月半ばから1,200億ドル(約13.6兆円)の債券購入額を毎月150億ドルずつ減らし2022年半ばにゼロにするテーパリング(量的緩和縮小)の具体案が明らかに。

 14日(木)の9月卸売物価指数は前年同月比8.6%増と過去最高だったものの、前月からの伸び率が鈍化。15日(金)の9月小売売上高がマイナス予想に反して、前月比0.7%増とサプライズ上昇したことも、週後半の米国株高の支えになりました。

 金融株や資源株の影響を受けやすいNYダウは、15日(金)に過去最高値まであと0.9%のところに迫りました。米国株がインフレやテーパリングを織り込んで、連日史上最高値を更新する年末恒例の上昇相場入りすれば、日本株にも追い風です。

 日本市場では、三菱自動車(7211)が週間で21%高するなど、1ドル114円台の円安を好感した電気機器、輸送用機器、資源価格高騰に沸く非鉄金属といったセクター(業種)が上昇率上位になりました。

年末恒例の本格上昇相場に期待。自動車など輸出関連株が主役に!

 今週の日本株も先週同様、好調な米国株に影響を受けそうです。

 7-9月期の決算発表では、19日(火)のジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)P&G(PG)、20日(水)のテスラ(TSLA)、21日(木)のインテル(INTC)などに注目です。

 先週、112円前半から114円20銭まで2円近くも円安が進んだ理由は、米国で長期金利が上昇しドルの魅力が増しているからです。

 円安は輸出企業にとって追い風ですが、食肉や小麦粉、ガソリン、非鉄金属の輸入価格が急騰しており、内需企業にとっては収益圧迫要因に。衆議院選挙で各党が競う「給付金のばらまき政策」による財政懸念もあり、急速な円安は「日本売り」を連想させ、株価にとって悪影響になる恐れもあります。

 今週一番の注目経済指標は、18日(月)発表の中国7-9月期GDP(国内総生産)。4-6月期の7.9%増から5%台への減速が予想されていますが、それ以上に落ち込むと、ファナック(6954)SMC(6273)など中国の工場自動化などで潤う輸出株には悪影響でしょう。

 債務不履行問題に揺れる中国恒大集団は19日(火)に迫った人民元建て債券の利払いを行うと表明しましたが、ドル建て債の利払いを行っていません。

 恒大の問題に続き、花様年控股、中国地産、新力控股が相次いで債務不履行に陥っており、中国不動産バブルの崩壊は今後も「時限爆弾」となるでしょう。

 10月後半から12月は通常、株が上がりやすい季節。高値をまったく恐れず買い進む外国人投資家の資金流入に期待できることもあり、円安で潤う自動車や半導体など輸出関連株が今週も上昇相場のけん引役になりそうです。