ふるさと納税は活用できていますか?

 ますます認知度が上がってきた「ふるさと納税」。所得に応じた限度額以内の自治体への寄付が、自己負担額2,000円で行えるというものです。

 災害支援など、純粋に自治体への寄付を行うこともできますし、寄付による返礼品を受け取ることもできます。

 ただ、ふるさと納税はあくまでも所得税・住民税の「寄付金控除」という制度を用いたもの。定められた方法にのっとらなければ、ふるさと納税に対する税優遇が受けられなくなってしまう可能性もあるのです。

ふるさと納税の「原則」「特例」そして「特別対応」とは

 ふるさと納税(寄付金控除)を受ける場合の原則は、確定申告を行うことです。

 確定申告書にて、ふるさと納税の金額につき記載することで、寄付金控除を受けることができます。確定申告書の提出期間は原則として翌年2月16日から3月15日までですが、還付申告(確定申告をして還付金を受け取る)の場合は、翌年1月1日から申告書提出を受け付けています。

 特例として設けられているのが「ワンストップ特例」です。これは、給与所得者など確定申告を必要としない人がふるさと納税を行う場合、所定の手続きをすることにより確定申告をしなくても、寄付金控除を受けることができるものです。

 そして、特別対応として設けられているのが「更正の請求」です。

 ふるさと納税について申告に含めることを忘れたとか、ワンストップ特例を申し込んだのに確定申告をしてしまった、などという場合に行う手続きです。

ワンストップ特例で多い「うっかりミス」

 ワンストップ特例は、適用を受けるための要件が定められているため、そこから外れてしまうと特例を受けられなくなります。

 その要件とは次のようなものです。

・給与所得のみなど、そもそも確定申告が不要であること
・確定申告をしないこと
・5自治体までの寄付
・必要な手続き(書類提出)を期日(翌年1月10日)までに行うこと

 特に多いのが、医療費控除を受けるためなどの理由で確定申告をしてしまうケースです。確定申告をしてしまうと、ワンストップ特例が無効となり、ふるさと納税についても確定申告をしないと寄付金控除が受けられなくなりますので、注意してください。

 なお、ワンストップ特例はあくまでも特例ですから、使わないといけないということはありません。使わない場合は原則通り、確定申告にてふるさと納税について申告することになります。

更正の請求を行うべきケースとは?

 更正の請求とは、提出した確定申告書に誤りがあったり、記載漏れがあったりして、税額が納め過ぎの状態になっているとき、納め過ぎている税金を還付してもらう手続きです。

 更正の請求ができる期間は法律で定められていて、「法定申告期限から5年以内」です。例えば2018年分の更正の請求ができる期間は、法定申告期限である2019年3月15日から5年後の2024年3月15日までとなります。

 ふるさと納税に関して更正の請求を行うケースとして考えられるのは、以下のようなものです。

・確定申告したが、ふるさと納税についてそもそも確定申告書に記載するのを忘れた
・確定申告したが、ふるさと納税の一部を確定申告書へ記載漏れしていた
・ワンストップ特例を申し込んだにもかかわらず、確定申告をしてしまった(確定申告にてふるさと納税につき寄付金控除の記載をした場合は除く)

 なお、ふるさと納税をしたものの確定申告そのものをしておらず、かつワンストップ特例の適用も受けていない場合は、更正の請求ではなく、期限後申告(還付申告)という形で確定申告書を提出することになります。

 このときの提出期限は申告したい年分の翌年1月1日から5年間となっていて、更正の請求とは期限が異なります。2018年分の期限後申告は、2023年12月31日までとなっています。

 ふるさと納税による寄付額が多いほど、ミスやうっかり忘れによる影響額も大きくなります。

 今年も残り2カ月半となりましたが、昨年分以前のふるさと納税について、寄付金控除をきちんと受けているかどうかについても、確認しておきましょう。