岸田新政権は積極財政を推進か
10月4日、岸田新政権が発足しました。
岸田氏は従来から財政再建派と見られていましたが(著書『岸田ビジョン』[2020年9月刊]でも財政健全化の必要性を強調)、自民党総裁就任直後の演説では「年内に数十兆円規模の経済対策を策定する」と明言し方針を変えています。
消費税についても「10年間は引き上げない」(注:任期内に消費増税はしないという意)としています。岸田新政権は積極財政を推進すると考えて間違いなさそうです。
今回は、具体的な政策から関連する銘柄を絞り込んでいきます。
掲げられた政策すべてが実現されるかどうかは不透明、かつ、すべての政策が株式市場において個別銘柄の株価動向にインパクトがあるわけではなく、できるだけメリットを受けそうな銘柄を選別する必要がありそうです。
岸田新政権政策の恩恵を受けそうな17銘柄
コード | 銘柄名 | 株価(円) | |||
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医療難民ゼロ | |||||
4480 | メドレー | 3,830 | |||
4483 | JMDC | 6,830 | |||
電子ワクチン接種証明/コロナ検査の無料化 | |||||
9613 | NTTデータ | 2,036 | |||
7701 | 島津製作所 | 4,550 | |||
ステイホーム可能な経済対策 | |||||
7358 | ポピンズホールディングス | 3,280 | |||
8889 | APAMAN | 533 | |||
「Go Toキャンペーン2.0」を検討 | |||||
2729 | JALUX | 1,785 | |||
2222 | 寿スピリッツ | 7,120 | |||
9616 | 共立メンテナンス | 4,225 | |||
業界再編促進、中小企業支援 | |||||
2127 | 日本M&Aセンターホールディングス | 3,110 | |||
6080 | M&Aキャピタルパートナーズ | 5,730 | |||
デジタル田園都市構想 | |||||
2168 | パソナグループ | 3,080 | |||
4743 | アイティフォー | 829 | |||
スタートアップへ企業の支援 | |||||
8595 | ジャフコ グループ | 6,810 | |||
8462 | フューチャーベンチャーキャピタル | 623 | |||
2025年開催の「大阪万博」準備加速 | |||||
8818 | 京阪神ビルディング | 1,365 | |||
8806 | ダイビル | 1,521 | |||
※株価データは2021年10月6日終値ベース。 |
医療難民ゼロ
オンライン診療はコロナ医療体制拡充策のひとつです。
メドレー(4480・マザーズ)
ヘルスケア領域人材紹介を主力に、オンライン診療システムも手掛けています。
・1年日足チャート
JMDC(4483・マザーズ)
健康保険組合の医療データのほか、オンライン診療支援に取り組んでいます。
・1年日足チャート
電子ワクチン接種証明/コロナ検査の無料化
ワクチン接種証明、日常的なコロナ検査の取り組みが進みます。
NTTデータ(9613・東証1部)
省庁に強みを持つSI(システム構築)最大手企業です。
・1年日足チャート
島津製作所(7701・東証1部)
分析・計測機器大手で医用機器(PCR検査装置も)に強みを持ちます。
・1年日足チャート
ステイホーム可能な経済対策
女性、子育て世帯への支援が手厚くなり、家賃支援給付金も検討されます。
ポピンズホールディングス(7358・東証1部)
ベビーシッターと介護の在宅サービス、保育所などを手掛けています。
・1年日足チャート
APAMAN(8889・JASDAQ)
賃貸仲介「アパマンショップ」をFC展開しています。
・1年日足チャート
「Go Toキャンペーン2.0」を検討
観光業支援は「海外との往来」も見据えられています。インバウンド消費の回復につながります。
JALUX(2729・東証1部)
空港内売店「BLUE SKY」や成田・羽田空港の免税店を運営しています。
・1年日足チャート
寿スピリッツ(2222・東証1部)
地域限定菓子製販会社をまとめています。土産物需要増加の恩恵を受けます。
・1年日足チャート
共立メンテナンス(9616・東証1部)
ビジネスホテル「ドーミーイン」とリゾートホテルを展開しています。
・1年日足チャート
業界再編促進、中小企業支援
M&A(合併・買収)の活発化につながるものと見られます。
日本M&Aセンターホールディングス(2127・東証1部)
中小企業のM&A仲介最大手企業です。地銀、会計事務所等と連携しています。
・1年日足チャート
M&Aキャピタルパートナーズ(6080・東証1部)
独立系M&A仲介企業で、事業承継案件に強みを持ちます。
・1年日足チャート
デジタル田園都市構想
プッシュ通知などによる行政サービスの充実が図られます。
パソナグループ(2168・東証1部)
人材派遣業界第3位企業。地方自治体に対する請負事業が急成長しています。
・1年日足チャート
アイティフォー(4743・東証1部)
独立系SIベンダーで、グループ会社に行政サービスを代行するアイシー・アール社を擁します。
・1年日足チャート
スタートアップへ企業の支援
ベンチャー企業市場が活性化する可能性があります。
ジャフコ グループ(8595・東証1部)
ベンチャーキャピタル専業最大手企業です。手掛ける案件は多数です。
・1年日足チャート
フューチャーベンチャーキャピタル(8462・JASDAQ)
独立系ベンチャーキャピタルで、地方自治体、地銀等とも連携しています。
・1年日足チャート
2025年開催の「大阪万博」準備加速
関西圏の経済活性化が見通せます。
京阪神ビルディング(8818・東証1部)
場外馬券売り場やオフィスビルを賃貸、大半が大阪府内の物件です。
・1年日足チャート
ダイビル(8806・東証1部)
主に大阪と東京でオフィスビル賃貸を行います。個室ワークスペースも手掛けています。
・1年日足チャート
新政権に対する株式市場の評価は?
岸田総理大臣は就任後初めての記者会見で、10月14日に衆議院を解散し、衆議院選挙を10月19日公示、31日投開票の日程で行うと表明しました。
衆院選の勝敗ラインは「与党で過半数獲得」と低めに設定していることもあり、衆院選の結果は岸田政権の足かせとはならないでしょう。本格始動は11月からということになりそうです。
現在の株式市場は「中国大手不動産企業の債務問題」「中国の電力不足問題」「米国の金融政策変更見通し」「米連邦政府債務上限問題」などが重なり、急落局面となりました。
このことから、岸田政権が株式市場にどのように評価されたのかは分かりにくくなっています。
各報道機関の世論調査で岸田内閣の支持率は、2000年以降の発足直後としては、2008年の麻生内閣(その後自民党は下野)とそう変わらない低率とのことです。
2012年の安倍政権、2020年の菅政権樹立時と比べても株式市場の期待値は低いままスタートしたように感じられます。ただ、この現状は、本格始動した時に「意外にできる岸田政権」との評価が芽生える可能性を残すものでもあります。
人事からは党役員に総裁選の台風の目となった高市早苗氏(政調会長)や若手議員を起用していることから、過去2代の官邸主導型政治から「党主導」に重心を移していく構えと見て取れます。
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