今週の予想
米株式の反発と新内閣人事の評価を受け、日経平均がどこまで戻れるか
先週は、中国恒大集団、米国の長期金利上昇、債務上限問題などの海外要因の不安を背景に日本株は大きな下げとなりました。
週末の米国株式は、大幅反発となりましたが、この戻りがどこまで続くのか、日経平均株価にどれくらい好影響を与えるのか、様子を見るところです。
先週の岸田内閣の党人事が、これまでのところ安倍・菅政権と代わり映えせず、海外勢の期待は早くもしぼんでいるとみられています。
財務相には麻生派の鈴木俊一前総務会長が起用され、岸田政権は財務省をコントロールできず、経済対策の規模が不安視されています。
「変われない自民党」への批判が、国民の間で強まれば、衆議院選での与党による過半数の維持も揺らぎかねないことになり、人事が再び政治リスクを招くことになります。
しかし、この人事への失望感は心理的な動きであり、米債務上限問題にしても政争の具にすぎず、これを利用して投機筋による売り仕掛けのきっかけをつくり、相場が上下動をしていると見ることもできます。
今週は、米国の債務問題の動向に加え、4日に臨時国会が開かれて岸田内閣が発足され、新政権の顔ぶれと、その評価に注目が集まることになります。
悪材料はある程度織り込んでおり、今月下旬から発表が本格化する7-9月期決算は、期待値が下がった分だけ見直し余地が出てきそうです。
チャートでは、75日移動平均線(1日時点2万8,624円)、200日移動平均線(1日時点2万8,669円)を守れるかどうか。守れれば戻りを試し、割り込むと戻りに時間を要することになります。
今週の指標:日経平均株価
米国の債務上限問題と長期金利の上昇の動きがどうなるかによって、NYダウ平均株価の戻りの程度が決まり、そこに日経平均は岸田内閣人事への評価によって、相場の動きに影響が出そうです。
先週の動き
先週の予測では、中国の恒大集団のデフォルト懸念が一服しているため、当面は3万円水準での値固めを想定し、上昇のきっかけは自民党総裁選で河野氏が選ばれればとしました。
しかし先週は、米国の金利上昇と連邦債務上限引き上げ問題から、NYダウは28日(火)▲569ドル、30日(木)は▲546ドルと2度にわたって急落となりました。これを受けて日経平均もツレ安し、29日(水)は▲639円、10月1日(金)は▲681円の2万8,771円と1カ月ぶりに2万9,000円を割り込んで引けました。
今週の指標:NYダウ平均株価
10月相場も9月相場と同様に季節的に売りが強まる傾向にあり、短期的に荒い相場となりそうです。債務上限引き上げ問題は、暫定予算案にバイデン大統領が署名し、とりあえず12月3日まで政府機関閉鎖は回避しました。
しかし、債務上限問題は存続し、予算をめぐる交渉は続くことになります。増税に加えて含み益に対する課税など金融市場にとってはマイナス材料の項目が多く警戒が必要です。10月8日の雇用統計には注意が必要です。
先週の動き
先週の予測では、中国恒大集団の今後のデフォルトへの懸念に焦点を置きましたが、米国市場の問題で大きな下落となりました。
問題の一つは、長期金利の上昇の加速で一時、1ドル=112円水準となり、もう一つは、連邦債務上限引き上げ問題でした。これによってNYダウが9月28日(火)は▲569ドルの3万4,299ドル、30日(木)は▲546ドルの3万3,843ドルと2度の大幅下落となりました。
週末は、米製薬会社のメルクが新型コロナウイルスの治療薬を申請(死亡率を5割下げる効果がある)したことで、経済正常化期待による関連株が軒並み上昇し、NYダウは+482ドルの3万4,326ドルで引けました。
今週の指標:ドル/円
FRB(米連邦準備制度理事会)による量的緩和策の早期縮小観測は後退しておらず、10月8日発表の9月米雇用統計で改善が示されれば、ドル買いへ振れる展開となりそうです。ただし、中国恒大集団のデフォルト懸念は消えておらず、1ドル=112円水準では利益確定を狙ったドル売りの可能性があります。
先週の動き
先週は、FRBが11月にテーパリング(量的緩和の段階的縮小)に着手するとの見方が強まり、9月29日のNY為替市場で、1ドル=112円水準までドルが買われました。
しかし、30日に米国の主要物価指数が下落すると長期債券利回りは低下し、ドル売りが活発となり、また、連邦政府の債務上限引き上げを巡って与野党の対立が続いていることもあり、111円台前半までドルは急落しました。
先週の結果
中国恒大集団問題が一服するも、米国株大幅下落で日経平均は2万9,000円割れ
先週の予測では、自民党総裁選に注目としましたが、結果は予想外に岸田前政調会長が河野行政改革相を大差で破り、勝利しました。
結果的に、日本の政治は変わらないということで、外国人は失望した動きとなっているところに、前日の米国株の大幅下落を受け、週末の日経平均は2万9,000円を割る下げとなりました。先週の下げは、総裁選の結果でもありますが、米国株が大きな調整に入っているということが影響しています。
NYダウは28日(火)の▲569ドル、30日(木)の▲546ドルと二度にわたる大幅下落が日経平均の下落を加速させました。
週始めの27日(月)の日経平均は、+165円の3万414円まで上昇しましたが、終値は▲8円の3万240円で引け、28日(火)は一時▲238円の3万1円まで下げて終値は▲56円の3万183円と3万円台を何とか維持していました。
しかし、28日(火)の米国市場では、前週のFOMC(米連邦公開市場委員会)で年内のテーパリング開始が示唆されたことや、連邦債務上限引き上げ問題で上院の共和党が反対しているところに長期金利の上昇が加速し、ナスダック総合株価指数が3月以来の▲423ポイントの急落となり、NYダウも▲569ドルの3万4,299ドルで引けました。
これを受けて日経平均は、一時▲825円の2万9,329円まで下げて、終値は▲639円の2万9,544円でした。翌日の30日(木)は、前日のNYダウが小反発したものの、日経平均は一時▲232円の2万9,311円まで下げ、終値は▲91円の2万9,452円と4日続落しました。
日本市場の引け後の30日(木)の米国市場は、月末、四半期末で、いったん上昇して始まるものの、物価上昇、サプライチェーン問題で利益が圧迫されるという見方から、小売業の売りをきっかけに全面安となり、NYダウは▲546ドルの3万3,843ドルで引けました。
これを受けて週末の10月1日(金)の日経平均は、▲217円の2万9,235円で寄り付くと、時間外での米株先物の下落で、一時▲771円の2万8,680円まで下落し、終値は▲681円の2万8,771円で引けました。
日本市場の引け後の米国市場では、NYダウは+482ドルの3万4,326ドルと大幅反発となりました。米メルク社が新型コロナ治療薬の緊急使用申請をしたことで、経済活動が正常化するとの見方から、ナスダックは+118ポイント、S&P500種株価指数は49ポイントと全面高となりました。
シカゴの日経先物は+230円の2万9,050円でした。
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