製品候補の拡充や商用化能力に高評価、PD-1阻害剤の競争激化には懸念も
現地コード | 銘柄名 |
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01801 |
信達生物製薬 (イノベント・バイオロジックス) |
株価 | 情報種類 |
68.75HKD |
株価 企業情報 チャート |
BOCIはがん治療法の一つ、PD-1阻害剤分野における中国国内の競争激化を指摘した上で、抗体医薬品の創薬ベンチャーである信達生物製薬が、パイプライン(製品候補)の拡充に向けた抗がん剤のライセンスイン(他社からの開発権・販売権などの取得)を積極化させている現状を報告した。2026-2027年の特許期限切れに伴うPD-1関連収入の縮小見通しを理由に、同社の2026-2030年の予想売上高を2-17%減額修正。これに伴い、目標株価を引き下げながらも、製品候補の商用化をめぐる確実性やライセンスイン契約を通じたパイプラインの急速な拡充といった点で同社を前向きに評価。株価の先行きに対して強気見通しを継続している(PD-1=免疫チェックポイント受容体)。
PD-1阻害剤分野では、2021年に入ってから康方生物科技(09926)と哈爾濱誉衡薬業(002437)が相次いで中国当局の承認を得たが、うち康方生物科技の製品は2年間の治療コストが3万9,000元(患者支援プログラムPAPの適用後)と、国内では最も安価な部類。これにより、価格圧力がさらに高まる見通しとなった。BOCIは信達生物製薬のPD-1阻害剤について、短期的には国内での浸透と適応症の拡大を見込み、2021年-2023年の関連収入見通しを32億元、40億元、48億元に据え置いたが、その後、2026-2027年には特許期限が到来すると予想。2026-2030年のPD-1関連の売り上げ見通しを約20%減額修正した。
国内のPD-1関連市場の競争激化に対応するため、同社はライセンスインを通じて積極的にパイプラインの拡充を図っており、BOCIはこうした戦略を前向きに評価している。2021年に入ってからは、以下の3件のライセンスイン契約を発表した。◇非小細胞肺癌治療用のTaletrectinib(ROS1/NTRK TKI)、◇薬剤耐性慢性骨髄性白血病の分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害剤BCR-ABL)IBI-348、◇非小細胞肺癌/固形腫瘍治療のKRAS G12C(遺伝子病的変異)阻害剤GFH925。
一方、経営陣によれば、2022-2023年には国内で5製品の新薬承認申請(NDA)と商用化を予定する。具体的には、◇PI3K(濾胞性リンパ腫および辺縁帯リンパ腫)、◇IBI344(ROS1/NTRK)(非小細胞肺癌)、◇PCSK9(高コレステロール血症)、◇IBI-375 (FGFR)(胆管癌)、◇IBI-348(BCR-ABL TKI)(慢性骨髄性白血病)であり、うち大半は当該治療分野で研究開発の主導権を握る。
BOCIはDCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づき(加重平均資本コスト8.4%、永久成長率5.4%を想定)、同社の目標株価を引き下げた。現在株価は2022年予想PER(株価収益率)で12.5倍と、ヒストリカル平均14.5倍を下回る水準。一方、レーティング面での潜在リスク要因としては、PD-1阻害剤分野での競争激化のほか、新薬研究開発の予想外の遅れ、米国でのPD-1承認の遅れなどの可能性を挙げている。
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