FOMCで初めて債券買い入れプログラムの縮小に言及
米国の政策金利を決定する会合のことをFOMC(米連邦公開市場委員会)と言います。9月21~22日の2日間にわたって、このFOMCが開催され、ミーティングの後に声明文が発表されました。
今回の声明文の中では債券買い入れプログラムの縮小(=そのことをテーパーといいます)に関して初めて言及がありました。
具体的には「経済は雇用の最大化と物価の安定という二つの目標に向けて進捗(しんちょく)があったので、買い入れ額を減らすことは近々正当化できる」という言い回しがなされました。
この声明文が発表された後、FRB(米連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長は1時間にわたり、記者団との質疑応答を行ったのですが、その中で「来年の半ばまでにテーパーは完了する」と明言しました。
以上の点を踏まえた上で、イメージしやすいように表にすると、次のようなスケジュールが浮かんできます。
米国財務省証券新規買い入れ額/月 | 住宅抵当証券新規買い入れ額/月 | |
---|---|---|
現在 | 800億ドル | 400億ドル |
2021年11月 | 700億ドル | 350億ドル |
2021年12月 | 600億ドル | 300億ドル |
2022年1月 | 500億ドル | 250億ドル |
2022年2月 | 400億ドル | 200億ドル |
2022年3月 | 300億ドル | 150億ドル |
2022年4月 | 200億ドル | 100億ドル |
2022年5月 | 100億ドル | 50億ドル |
2022年6月 | 終了 | 終了 |
利上げのタイミングについて
さて、パウエル議長は「債券買い入れプログラムの終了は、その後、自動的に利上げへと移行することを意味しない」と強調していました。
FRBをして利上げに踏み切らせるためには、もっと高い基準をクリアする必要があるというわけです。
FRBのメンバーの大半は、2023年には利上げが開始されると予想しています。
市場の反応はどうだったか?
FOMC声明文を見た市場参加者の反応はどうだったのでしょうか? それを推し量るにはフェデラルファンド・レート(略してFFレート)先物の取引実勢価格から逆算される、利上げ確率の数字を見るのが一番よいと思います。
目立った動きが見られたのは2022年9月21日、つまり今から1年先のFOMCでのFFレート予想で、今日のミーティング前(青)とミーティング後(橙色)では、次のような変化が見られました。
2022年9月21日のFOMCでの政策金利の確率
つまりFFレートを0.25%と予想する市場参加者がやや増え、0.5%(=それは0.25%の利上げを意味するわけですが)と考える市場参加者は少し減ったのです。
つまり、全体として今日のFOMC声明文の内容は市場参加者の予想通りの結果であり、むしろ来年の9月になっても、現行の政策金利である0.25%が堅持されているという予想が逆に補強されたとすら言えるのです。
今日、FOMCの結果を受けてマーケットが余り大きく動かなかったのは、このように大方の「シナリオ通り」が確認されたからに他なりません。
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