「アクティブvsインデックス」。どちらか選ぶべきなの?

 投資信託には、「インデックス(パッシブ)」と「アクティブ」という、大きく分けて2種類の運用手法があります。

 インデックス型の投資信託(ファンド)は、ベンチマーク(運用の良し悪しを測る基準)として掲げられた指数に連動した運用成果を目指すのに対し、アクティブ型の投資信託は、原則としてベンチマークを上回る運用成果を目指します。

 ベンチマークの例としては、新聞やニュース番組などでもおなじみの日経平均株価(日経225)やNYダウ平均株価のほか、世界各国の株式・債券全体の動きを捉えたものもあります。

インデックス型はチェーン店、アクティブ型はビストロ

 この2種類をレストランで例えるなら、インデックスファンドは、どの店舗でも同じ価格で均一の味を提供するチェーン店。対してアクティブファンドは、シェフが腕を振るうこだわりのビストロといったところでしょう。インデックス型は、チェーン店と同様、マニュアルに即して運用を行うので、信託報酬が低く抑えられています。これこそが、インデックス型の最大の魅力です。

 このコストの安さと商品性のわかりやすさから、インデックスファンドは近年、つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)などの後押しもあり、投資初心者を中心に人気を博してきました。

 ではここからは、クイズを通して、投資初心者が陥りやすいポイントを押さえながら、インデックスファンドとうまくつき合っていくためのコツについて、解説をしていきます。

インデックス投資のコツがわかるクイズ

Q次の説明で、正しいものには〇を、間違っているものには×をつけてください。 

1:インデックスファンドはアクティブファンドよりもリスクが低い

2:インデックスの算出方法は、指数によって異なる

3:一度インデックスに採用されたら、その後、銘柄が入れ替わることはない

 いかがですか。すぐに解答できたでしょうか。答え合わせとともに、インデックスファンドの正しい投資のコツがつかめるよう、解説していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

1:インデックスファンドはアクティブファンドよりもリスクが低い?

解答

×

 インデックスファンドそのもののリスク(標準偏差=基準価額の変動幅)は、あくまでも連動を目指す指数(ベンチマーク=市場平均)と同程度です。例えば、日経平均株価との連動を目指すインデックスファンドの場合、期待できるリターン・リスクはともに日経平均株価と同程度です。

 他方、アクティブファンドは、投資方針に応じて柔軟な運用を行うため、ファンドによってはリスク水準が市場インデックスを下回ります。投資初心者にもおすすめのつみたてNISAでインデックスファンドの選択肢が多いのは、ファンドそのもののリスクが低いからではなく、長期積立投資と相性が良いからです。

 なお、近年人気の米国株式のインデックスファンドの場合、短期的な価格変動の目安は30~40%程度です。これはつまり、短期的には基準価額が30~40%上昇する可能性がある一方、同程度下落する可能性もあるということ。「インデックスだから安心」という過信は禁物です。

2:インデックスの算出方法は、指数によって異なる?

解答

「インデックス」と一口に言っても、網羅している地域、国、銘柄の数や、インデックスそのものの算出方法はまちまちです。例えば、同じ株式インデックスでも、日米で以下のような違いがあります。

日本・米国の代表的な株式インデックスと算出方法

 こうした指数の算出方法や銘柄数の違いは、指数そのものの値動きの大きさに影響します。一般的に、日経平均株価やNYダウ平均株価の方が、TOPIX(東証株価指数)やS&P500指数と比べて値動きは大きい傾向にあります。

 また、表には載せていませんが、新興企業が中心の東証マザーズ指数や米国ナスダック総合指数・ナスダック100指数なども、インデックスの中で相対的な値動きが大きい傾向にあります。

3:一度インデックスに採用されたら、その後、銘柄が入れ替わることはない?

解答

×

 インデックスは一般的に、一定周期で構成銘柄の見直しと入れ替えが行われます。例えば、日経平均株価は年1回、S&P500指数は四半期に1回見直しがなされ、銘柄が入れ替わります(構成銘柄の合併や上場廃止などがあった場合はこの限りではありません)。

 NYダウ平均株価は、見直しの周期が決まっているわけではありませんが、時代の流れに合わせる形で、平均的に1~2年の周期で入れ替えが行われています。

 例えば、2020年8月末には、石油大手のエクソンモービルが除外された一方、法人向けデータ管理を手掛けるセールスフォース・ドットコムが新たに採用されました。エクソンモービルは、1928年からNYダウ平均株価を構成してきた歴史のある企業ですが、米国の実体経済に合わせる形で除外が決まりました。

 翻(ひるがえ)って日本はというと、米国ほど株式市場に自浄作用が働いておらず、東証1部上場全銘柄を対象とするTOPIXの構成銘柄には、業績の悪い赤字企業や成長性の乏しい企業も含まれています。

 ただ近年は、こうした実態が指数の信頼性を損ねるとして、同指数の算出基準を見直す動きも広がっています。以上を考慮すると、日本株については、アクティブファンドや個別株投資も視野に入れた方が、より良いと言えるでしょう。