▼答えてくれた人
DAIBOUCHOU(大膨張)さん
▼Profile
48歳。2000年より個別株投資を開始し、主に新興不動産株で利益を上げ、2004年から専業投資家となる。現在資産額は数億円。投資スタイルは割安成長株の分散投資。趣味は外食、旅行。
Twitterアカウント:@DAIBOUCHO 発売中の書籍『DAIBOUCHOU式 新・サイクル投資法』宝島社
あなたの投資初体験を教えてください。何を買い、そしてどうなった?
Q あなたが投資に興味を持ったきっかけは?
A 投資情報雑誌の発売と、ネット証券創業がきっかけに
1999年に貯金などが400万円になり、この資産を増やしたくて投資に興味を持ちました。適当に投資信託を買いましたが、当時のITバブル相場に乗れず、投資成績がインデックスファンドに負けました。
また、2000年3月、投資情報雑誌『ダイヤモンドZAi』が創刊された年に、金融ビッグバンでネット証券が創業されて、安い手数料で売買できるようになりました。さらに、ADSLサービスが生まれて、個人でもインターネットにアクセスしやすくなりました。
結果的に個別株投資へのインフラが整い、本格的に投資に挑戦したくなったのがきっかけです。
Q 初めて買った銘柄は何?それはいつ?
A 失敗が怖くて超地味な資産バリュー株からスタート
2000年5月から、下記のような超地味な資産バリュー株を購入していました。株の初心者で、株式投資に不信感や不安を持っていたので、安全第一で投資を開始しました。
PBR(株価純資産倍率)0.3倍など、純資産の半分以下の銘柄なので、さらに株価下落しにくいと思うし、うまくいけば、純資産に株価が近づいて利益を出せると思いました。
1897 金下建設
トヨタカローラ岐阜(上場廃止)
濃飛西濃運輸(上場廃止)
Q その銘柄を選んだ理由は?
A PER(株価収益率)とPBRを重視、安全第一で銘柄選び
四季報CD-ROMでPBR1倍割れの資産バリュー株を知り、理論的におかしいから、純資産額に時価総額が戻ると思い、資産バリュー株投資を始めました。
具体的には、PBRが割安で、事業が分かりやすく、景気に左右されにくく、業績が安定している資産バリュー株を選びました。いくらPBRが割安でも、赤字ではダメだし、不景気で業績悪化する事業形態でもダメだと思ったからです。
「株式投資は損をする」とうわさに聞いていたので、あくまで安全第一で、損失を出さないことを優先しました。
また、2000年はITバブル崩壊からの下落相場で、バブル化していたIT関連銘柄の株価下落が目立ち、「IT=虚業」と叩かれがちな状況でした。結果的に、IT銘柄とは真逆の銘柄選択となり、IT関連銘柄暴落の損失を被らずにすみました。
Q その銘柄はどうなりましたか?
A 3つのうち2つはTOBで売却、残り一つはまだ持っています
金下建設はまだ上場維持していますが、トヨタカローラ岐阜と濃飛西濃運輸は、親会社のTOB(その会社の株が大量に欲しい理由がある買付業者やライバル企業などが、「買付け期間・買取り株数・価格」を公に告知し、いまその株式を保有している不特定多数の株主から、株式市場外で買い集める制度)により、上場廃止となりました。
ただ、これらの資産バリュー株は、結果的にはトントンくらいの株価水準で売却しました。
その後、サミー(今のセガサミーHD(6460))に投資して、パチスロ機のヒットと業績成長に伴う株価上昇を経験。成長株投資の良さ、業績成長の必要性に気付きました。
さらに、フィリップ・A・フィッシャーやピーター・リンチの、成長株に関わる投資本も読み、ガチガチの資産バリュー株投資から、割安成長株投資へシフトしました。
その結果、資産バリュー株を売却して、サミーやEストアー、レインズインターナショナルなど、割安成長株に乗り換えました。
未経験者・初心者に教えたい、投資を続けるコツ!
Q 投資を始めた初心者時代の自慢エピソードを教えて!
A まったく興味のない、人気薄のパチスロ業界を研究して勝てたこと!
投資を始めた2000~2001年のころのことです。当時(今もですが)、私はまったくパチスロをやらないので、業界事業を知りませんでした。
サミーのYahoo!掲示板で、ディスクアップ、獣王というパチスロ機がヒットしていることを知り、パチスロ店の様子を見たり、P-WORLDという業界サイトで設置台数を調べたりして、サミーのパチスロ機のヒット具合を知り、好業績を予想してサミーに投資し、大きな利益を得ました。
また、Yahoo!掲示板で知り合った投資家との交流の中で、株式投資のスキルを学んでいきました。
また、当時、焼肉の「牛角」が人気で行列していました。ただ、2001年9月に日本で狂牛病(BSE)の牛が見つかり、牛角をはじめとした焼肉屋に客がいなくなりました。
ただ、狂牛病の被害が大きいのはイギリスで、当時、牛角は狂牛病リスクが低い国産牛を利用していたと記憶しており、風評被害が解決すれば客足は戻ると考えて、レインズインターナショナル(牛角を展開する飲食チェーン企業。現在は上場廃止)に逆張り投資して成功しました。
Q 投資を始めた頃の失敗談&教訓を教えて!
A 始めた時期がちょうど波乱相場。運がよくてたまたま退場しなかっただけ
2000年5月に株式投資を始めたこと自体が、タイミングとしては失敗だったと思います。
日経平均株価が2000年5月の約1万8,000円から2003年4月28日の7,603円へ、3年間で半分以下となる厳しい相場でした。日経平均の下落率はリーマンショック並みでした。
普通であれば、大損して投資をやめることになったはずだと思います。ただ、たまたま投資銘柄が良かったのと、給料からの追加入金で利益を出すことができましたが、正直「運」の要素も大きいと思います。
おそらく、私と同様、投資雑誌の創刊やネット証券の創業といった金融ビッグバンに刺激を受けて株式投資を始めて、下落相場で損して退場した人も多いのではないかと思います。
また、前述通り、サミー株のパチスロ機ヒットで利益を出すことができましたが、当時1銘柄60万円上限という自分ルールを作っており、株価上昇で60万円を上回ると売却していたため、それ以上に上昇していたサミー株の利益をMAXでは取れませんでした。
その後、下手に上限をつくったり、リバランスしたりせず、自信があれば集中投資して、上昇する株は臆病にならず、伸ばす投資方針にしました。
また、当時投資していた金下建設の株価上昇は、21年間も保有していたのに、株価は1.5倍と大した伸びがなく、資産バリュー株に固執していたら、今の私の資産はありませんでした。サミーで成長株の良さに気付けて良かったと思いました。
Q 投資未経験者・初心者は、まず何から始めるべき?
A 人それぞれ。ただしいきなりキラキラ銘柄を狙うのは危険
その人に個別株投資の能力、適性があるかどうかで判断が分かれます。インデックス投資よりも利益を出せる実力があり、株式投資の調査や勉強に時間を取ることができて、やる気と継続力があれば、個別株投資が良いと思います。
ただ、初心者時代は知識や経験が不足しており、失敗する可能性が高いと思います。比較的失敗しにくい資産バリュー株で慣らし運転をしながら、事業や業績の分析方法を学び、徐々に成長性を加味した投資に入れ替えていくと良いと思います。
最先端イメージが強いキラキラした割高成長株、未知要素が多いIPO株(新規公開株・新規上場株式)は、魅力的に感じて投資して失敗する初心者も多い印象です。ベテランでもよく判断を誤ることが多いため、初心者には難易度が高いと思います。
しかし、一般的な傾向として、インデックス以上に利益を出せない人が多いという傾向があるので、大きく利益を上げて一発当てる、ということはあきらめ、コツコツとインデックス投資をするのも良いと思います。
その場合、つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)といった、金融庁が用意してくれた、節税効果が高い仕組みを最大限活用すると良いと思います。
全世界型インデックスファンドに積立投資をすると、入金する資金を用意するだけで、投資のために行う雑事が驚くほど減ります。
Q これから投資を始める人に向けて、投資方法のアドバイスを!
A 勝つことより負けないことを優先すれば自分のペースが分かってくる
初心者に限りませんが、株式投資は勝つことより失敗しないことを優先した方が良いです。
買う時は、買った後に株価下落したときの対処方法を考えて、他人に説明しても納得させられるような、株価が元に戻る明確な根拠があることを確認しましょう。バリュー株なら割安さ、成長株なら業績成長の確度や事業の将来性などです。
また、初心者には、短期で大もうけを狙う人が多い印象です。定期預金では0.1%の金利で満足していた人が、なぜか、株式投資では1年で2倍を目指したりします。
短期で大もうけを狙うと、激しい値動きを追い求めて、仕手株(巨額の資金を用いて、高値になるように誰かが意図的に操作した株)のような急騰銘柄を天井掴み(相場の一番高いところで買ってしまうこと)しがちです。
また、欲を出しすぎると悪材料やリスクを軽視し、不用意なポジションを持ちがちです。
勝つ投資より、負けない投資を行い、他の投資家の注目を浴びるような好業績や好材料が出るのを待ち、時間をかけて複利効果で少しずつ増やしていくのが良いと思います。負けなければ自然と勝てます。
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