今週の予想

3万円水準でもみ合えば、各総裁候補が発言する関連銘柄の物色へ

 先週は、TOPIX(東証株価指数)にやや遅れて、日経平均株価は14日(火)、31年ぶりにバブル後最高値を更新、3万円に乗せて大台をキープして引けました。

 米株式がさえない中で日経平均が上昇したのは、急騰局面で積み上がったショート(空売り)が買い戻され、日本株の出遅れを狙った外国人が日本株を買い始めたということがあります。

 需給面では外国人の買いにはまだ余力があり、一段高の期待があるとみられています。外国人投資家は現物と先物を合わせて9月第2週(6~10日)は10カ月ぶりに1兆円超の日本株を買い越しています。

 現物株の買い越し額は、それほど伸びておらず、本格化するのはこれからと考えられています。

 米国株式が軟調な背景に、17日の「クアドルプルウィッチング」(日本のメジャーSQ[特別清算指数]に相当)が買い控えさせていたとみられ、ショートヘッジの解消で、NYダウ平均株価の底入れにつながる可能性があります。

 そうなるとNYダウの上昇は、日経平均のサポート要因となります。

 一方で、NYダウに注意という見方もあります。

 それは、チャートから見ると、日足チャートは8月19日につけた安値3万4,690ドルや75日移動平均線(15日時点3万4,807ドル)を割り込み、また、週足チャートの26週移動平均線(3万4,516ドル)を下支えに下げ渋っている状況です、注意すべきポイントにきています。

 また、今週は21~22日のFOMC(米連邦公開市場委員会)が注目となります。

 今回のFOMCでテーパリング(量的緩和の段階的縮小)の可能性があったのですが、今月は見送りとの見方が多いようです。

 10月にはFOMCは開催されないので、次は11月2~3日となります。そうなれば10月には米国株も金融政策に神経質にならなくてもよく、10月までは日本株は上値を試しやすくなります。

 今週は、休日が2日ありFOMCもあるため動きにくいですが、先取りして動く場合もあります。

 国内では自民党総裁選で4氏が争う構図になっており、新政権への政策期待やそれぞれの候補の発言を踏まえて、関連銘柄を物色する動きが加速しそうです。

今週の指標:日経平均株価

 今週は、21~22日の米国のFOMCを控えてテーパリングが注目となるところでしたが、今回は見送りの可能性が高く、株価の大きな調整要因にはならないようです。

 むしろ、今月後半から10月にかけて相場は上を試す可能性があり、まず3万1,000円を目指す動きとなりそうです。そうでなければ今週は3万円水準でのもみ合いとなります。

 ところが日本が休日の昨日、中国の不動産企業の経営危機で米国市場は暴落し、日経平均も500円を超す下落となっています。今後の中国政府の対応が気になるところです。

先週の動き

 先週の予測では、外国人投資家も参加し、急騰して3万円台を回復してきたため、一服してもおかしくないとしました。ただし、下値は限定的で売りを吸収しながら上昇していく方向にあるとし、今年の終値での最高値3万467円を更新する動きを想定しました。

 結局、先週は14日(火)にTOPIXにやや遅れて31年ぶりとなるバブル後最高値更新となりました。その後、2日続落し、週末の17日(金)は+176円の3万500円とフシ目で終わりました。

今週の指標:NYダウ平均株価

 今週の注目材料は、FRB(米連邦準備制度理事会)が開催するFOMCの結果です。

 パウエルFRB議長は、先月末のジャクソンホールの講演で、経済が予想通り進展すれば、年内に資産購入ペースの縮小を始める可能性があると述べました。

 しかし、金融政策のカギを握る米雇用統計の8月分が予想を大きく下回ったことや、新型コロナウイルスの感染拡大で消費者マインドが低下したため、今回のFOMCでの発表は見送られる可能性が高くなったようです。

 そうなると11月のFOMCでテーパリングの開始が協議されることになりそうです。10月は金融政策を気にしなくていいため、上昇の期待が持てますが、短期的には20日、中国の不動産企業の経営危機による米国市場は暴落が気になるところです。

先週の動き

 先週の予測では、新型コロナウイルスの感染拡大が消費を圧迫していることで、景気回復や企業収益の伸びに影響を与えるとしました。

 週始めの13日(月)は、新型コロナの感染拡大がやや減少したことで、NYダウは6日ぶりの反発となりました。

 しかし、もみ合いが続いて、上に伸びることはできず、週末の17日(金)は翌週にFOMCを控えて主要3指数そろって下落。NYダウは▲166ドルの3万4,584ドルで引けました。

 特に17日の「クアドルプルウィッチング(日本のメジャーSQに相当)」が、これまで買いを手控えさせていたことで、今週からは上昇期待が持てることになります。

今週の指標:ドル/円

<今週の見通し…ドルは底堅い値動きが想定されるが11月のテーパリング期待は根強い>

 ドルは底堅い値動きが想定されますが、9月21~22日のFOMCでは、金融政策は現状維持の見通し。今回のFOMCではテーパリングの重要性は指摘されても、開始時期は11月2~3日のFOMCまで延ばされる可能性は高いと思われます。

先週の動き

 週始めにドル/円は110.16円まで買われましたが、9月14日の8月米消費者物価指数が前年比+4.0%と上昇率は7月実績を下回ったことから、FRBはテーパリングを急がないとの見方が浮上し、ドル/円は109.11円まで下落。

 その後、8月米小売売上高が市場予想を上回り、長期金利の反発を受けて、リスク回避的なドル売りは縮小し、ドル/円は109.96円となりました。

先週の結果

週前半に31年ぶりに高値更新後、一服して週末は3万500円で引ける

 先週の予測では、日経平均がその前週、4月以来の3万円台を回復して終値でも3万円台を維持したことや、日経平均に先立ち、TOPIXの高値更新が続いていることで、日経平均も2月16日のザラ場での年初来高値3万714円を上に抜く可能性が高いとしました。

 そして、日経平均は、半年にわたる調整から上昇に転じており、新政権やワクチン接種の進展を背景に、これまで買いを手控えていた外国人投資家の日本株の見直しの動きが拡大しており、まず、2月の高値3万714円を超えると次は3万1,000円を目指すことになるとしました。

 結果的に先週は、週前半に前週までの強い流れが続き、上を試しにいく展開となり、14日(火)は、ザラ場では3万795円と2月16日のザラ場高値3万714円を上回り、終値でも3万670円と31年1カ月ぶりの高値水準となりました。

 ここで目先の目標達成感から、15日(水)は▲158円の3万511円と4日ぶりに反落し、16日(木)も▲188円の3万323円と続落しました。

 しかし、週末の17日は3連休を前にしているものの、先高期待の買いが入り、週間では上昇を達成し、週末値で3万500円にぴったり乗せて終わりました。

 週末17日(金)の動きは、エムスリー、ソフトバンク、東京エレクトロンなどのグロース株が上昇して株価を支え、+176円の3万500円で引けました。

 序盤は上げ幅を縮めるなど不安定な動きでしたが、徐々に買いに勢いがつき、11時近辺には3万500円台に到達し、ここから上では伸び悩みましたが、現状水準では高値警戒感は和らぐ動きが見られ、後場は小動きが続き大引け間際に、この日の高値+218円の3万541円まで上昇し、終値では3万500円で終わりました。

 日本市場の引け後の米国市場では、主要3指数そろって下落となりました。

 新型コロナの感染拡大が嫌気されて景気減速が懸念される中、ハイテク株などに売りが広がり幅広い銘柄が売られました。

 その背景には、感染拡大以外に翌週(9月21~22日)のFOMCを前に買いの手控えの動きが見られ、また、民主党の連邦法人税率引き上げなどの税制改革法案も嫌気されています。

 為替は長期金利の上昇でドル買い優勢で、1ドル=109.96円で引け、シカゴの日経先物は▲175円の3万175円となりました。