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気候変動対策として、世界的に電気自動車(EV)シフトが進展中です。欧州連合(EU)に加え米国のニューヨーク州やカリフォルニア州でも、2035年にはハイブリッド車を含むガソリン車の販売が禁止される予定です。世界の主要自動車メーカーはEVの開発競争にしのぎを削っていますが、EVを動かすモーターのエネルギー効率を改善する『パワー半導体』に注目が集まっています。
【ポイント1】EVの省エネに欠かせない『パワー半導体』
EVに搭載された巨大なバッテリーには、「直流」の電気が蓄えられています。これを「交流」に変換した上で電流の周波数を調整し、EVを駆動するモーターの回転速度をコントロールするのが『パワー半導体』の役割です。
理論上、必要な動力(電力)はモーターの回転速度の三乗に比例します。簡単に言うと、モーターの回転速度を2割落とすと、消費電力を約半分に削減することができます。つまり、『パワー半導体』を使いモーターの消費電力を抑えることで、同じ容量のバッテリーでもEVの「航続距離」を伸ばすことができるのです。
【ポイント2】EVシフトで需要が拡大する『パワー半導体』
国際エネルギー機関(IEA)によると、2020年に登録されたEVの台数は世界で3百万台となり、前年比41%の増加となりました。また、現在公表されている各国政府の環境対策を積み上げた「公表政策シナリオ」では、EVの年間登録台数は2030年には19.2百万台、2040年には27.9百万台まで急増するものと予測されています。
今後EVシフトが急速に進むことで、『パワー半導体』の需要も大きく拡大することが見込まれています。2018年に320億ドル(約3兆5,200億円)だった世界の『パワー半導体』の市場規模は、2030年には556億ドルまで拡大するとの報道もあります。
【今後の展開】関連メーカーに積極投資の動き、新技術の動向には注意を
日本には三菱電機や富士電機など世界のトップ10に入る『パワー半導体』メーカーが複数ありますが、EVシフトへの期待感や積極的な『パワー半導体』の増産投資の動きから、関連銘柄は今後も注目を集めそうです。
ただし、海外の競合大手は大口径のシリコンウエハーを使った生産コストの低減や、新素材を使った省エネ性能に優れる新しい『パワー半導体』への投資を積極化させており、競争環境の変化には注意が必要です。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
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