※本記事は2018年9月5日に公開したものです。
米国株の人気ブログ「たぱぞうの米国株投資」。たぱぞう氏は働きながら米国株をメインに投資し、十数年で数千万円を稼ぎ出した。現在は某投資顧問のアドバイザーなども務めるたぱぞう氏にこれまでの投資歴や米国株の魅力についてインタビューしました。今回は全3回の前編をお届けします。
初任給で初めて株を購入。20代で1,000万円稼いだ
──ブログ、すごい人気ですねえ。
もともとは後輩たちに資産形成のコツのようなものを伝えたいと思って始めたのですが、いつの間にかいろいろな方に読んでいただくようになりました。いや、ほんと、ありがたい限りです。
──ご自身の投資にあてる時間はどれくらいですか。
パソコンの前に何時間も居座って株価のチャートを眺めることは、ほぼありません。株をメインで投資していたときは、毎日1~2時間は情報収集などをしていましたけど。今は長期保有しているものが大半で、こまめな売り買いをやめて。ETF(上場投資信託)に重心を置いています。それもあって自分の投資のために時間を使うことは少なくなりました。
──ETFの魅力については後でお伺いします(中編で掲載)。その前に投資を始めた経緯は。
初めて日本株を買ったのは十数年前のことです。祖父や父が株をやっていたこともあって学生時代から投資に興味があり、社会人になってすぐ初任給で割安な株を購入しました。
しかし、当時はIT不況や金融危機が続いて、投資家にとっては決していい時代ではありませんでした。それでも投資を始めて7~8年、30歳までに1,000万円ほど利益を出しました。
──投資とは別に本業の給与もあったわけでしょうから、相当な資産額になったのでは?
いや、それが全然でして(笑)。20代の頃はよく飲み歩いていたし、けっこう遊んでましたから。冬は毎週のようにスノーボードに行ってたし、年に2~3回海外旅行もしてた。投資家としては決して優等生ではなかった。もう少し真面目に取り組んでいたら、もっと貯められたかもしれません。
動きがはやい米国株
──その後、米国株に切り替えるわけですね。
2000年代に入ってすぐニューヨーク外国為替市場で、円相場が1ドル75円台に急騰したのを覚えてます? そのとき、500万円だったか700万円だったか、まとまった資金をドルに転換(ドル転)したんです。それで、どうせなら米国株を試してみようかなと思い、いくつか買ったのが始まりです。万が一、株でもうけられなくても為替で利益を出せるだろうと。
──その結果はどうでしたか。
リーマンショックで軒並み下がった株が上昇に転じ、時期的にもよかったのでしょう。バンク・オブ・アメリカとかゴールドマン・サックスとか、いろいろ買いましたが、ほとんど損をすることはありませんでした。ときにはびっくりするくらいのリターンがあり、こんなに簡単にもうかるものなのかと思いました。それで、少しずつ日本株を処分していったんです。
──結局、全て米国株に移された。
それも一つ、キッカケがありまして。2014年だったか、ロシアのクリミア侵攻によってロシア株がドーンと下がったとき、日本の証券会社が販売していたロシア投信を買ったんです。政治的な要因によって株価が下がったときは、ファンダメンタルが悪くなければ、すぐに上向きに転じることが多いので、案外チャンスかもしれないと。
実際、iシェアーズのロシアETFである「ERUS」は、ロシアの政治情勢が落ち着いてすぐ回復に転じました。ところが、僕が買ったロシア投信は、いつまでたっても回復しない。ロシア市場の変化がなかなか反映されない。もちろん、日本の証券会社が全てそうだというつもりはありませんが、少なくともその証券会社は動きが愚鈍で、かなりタイムラグが生じたわけです。それで、もう日本株には付き合いきれないと思い、これを機に全部、米国株に移管したんです。
──米国株に切り替えてからは負けなし?
失敗もありますよ。例えば何年か前、米国の大手石油インフラに投資したんですね。パイプラインや製油施設などに共同で出資するというもので、「今後はシェールオイルの需要が伸びるから、原油相場の動きにかかわらず、一定のインカムが取れる」という触れ込みでした。それで、なるほど、その通りだと思って投資したのですが、そうは問屋が卸さなかった。いざ原油安が始まると減配に次ぐ減配で、結局、ウン百万円の損害を被りました。
──たぱぞう氏でも時には痛い目に遭うと(笑)。
そりゃあ、そうですよ。ただ、米国株を始めてから大きな失敗はそれくらいですかね。米国株を始めて10年間でその7倍か8倍に増やしましたし。ずっと日本株ばかりやっていたら、そんなこと、絶対に無理だったと思います。
人口減少のリスクが少ない米国
──米国株の魅力はどこですか。
まずは何といっても成長性です。そもそも米国は100年以上成長を続けてきた国であり、今もGDP(国内総生産)は上昇し続けています。
ここ10年、20年の間に世界を代表するグローバルカンパニーへと成長を遂げた企業の顔ぶれを見ても、ほとんどが米国企業ですからね。それに加えて新興企業の台頭も目覚ましい。
──グーグルやアマゾン、フェイブックなどが成功を収めたと思ったら、次はUberやAirbnb、 WhatsAppなどが台頭、そしてまた今も多くのスタートアップ企業が新興市場をにぎわせています。
だから、新しい産業が生まれるし、世界中の人々の生活や社会を変えるようなイノベーションを創出することができる。その点においては日本も欧州各国もとても太刀打ちできない状況と考えています。
日本は2011年から人口減少社会に突入していて、2050年には1億人を割り込むと予想されています。欧州の先進国も似たような状況にあるし、中国でさえ十数年後には減少に転じるといわれます。人口が減れば経済規模は縮小を余儀なくされるわけです。
──米国にはそういう不安要素はないのですか。
米国は先進国のなかでも特異な存在で、今後も人口が増え続けると予想されているんです。もちろん、出生率は減少します。しかし、その分、ヒスパニック系を中心に移民が増える。彼らが経済を下支えするので、今後もまだまだGDPは伸びると考えられているんです。
──とはいえ、米国経済は何度も窮地に陥っています。リスクもあるのでは。
それは米国も日本も一緒ですよ。どんな国でもよいときがあれば悪いときもあります。むしろ米国は、日本などに比べると、立ち直りが早いという良さがあります。例えば日本は、バブル崩壊後、経済が回復するまで何年もかかりましたよね。でも、米国は何事も対応が早いので、短期間で回復に向かう。リーマンショックのときも1年か2年で株価は上昇に転じました。
今後も人口が増え続け、経済規模が拡大していく。一時的には経済危機を迎えることがあるかもしれませんが、すぐに立ち直り、そこからまた成長へと向かうと思います。長期保有という前提に立てば、やはり米国株でしょう。
私が思うに天変地異や世界大戦が起きないかぎり、米国株は上昇し続けるはずですよ。
読者へのメッセージ
たった一度きりの人生ですから、本当にやりたいことをやりきっていこうということです。人生も投資も人に影響されるばかりではなく、自分の思いを大切にすることが大事ですね。あんまり変なのは避けるべきですけれど(笑)
◎今回の取材先:たぱぞうさん
米国投資を中心に毎日記事を更新している「たぱぞうの米国株投資」。
投資分析や読者の質問に答える記事は、初心者にもわかりやすく、学べるブログとして定評がある。
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