▼答えてくれた人

ロジャーパパさん

 ▼Profile
44歳。米国IT企業に勤務する兼業投資家YouTuber。2008年より日本株投資を始め、2017年までに個別株の値上りで1,500万円を利益確定。現在は米国株一筋で、自社株含め運用額は約4,000万円。S&P500や全米株式へのインデックス投資を中心に、高配当株を長期で複利運用する投資スタイル。一部売却益を狙った米国株銘柄も保有。東京出身。二児の父。趣味はテニスと寿司屋巡り。
YouTubeチャンネル「ロジャーパパ米国株投資」。Twitterアカウント:@Rogerpapadesuにて米国株の銘柄紹介や実績公開を発信。

あなたの投資初体験を教えてください。何を買い、そしてどうなった?

Q あなたが投資に興味を持ったきっかけは?
A 勝間和代さんの本に書いてあった「年4%の利益」に飛びつきました

 2008年リーマンショックの最中、本屋で見かけた勝間和代さんの新書「お金は銀行に預けるな」を手に取り、「株式投資は確率的に年利4%の利益が見込める」と書かれていたのを読んで、「これは素晴らしい!」と思い、初めて日本株を買ってみました。

 リーマンショックの底値とアベノミクス、そしてビギナーズラックが重なって、テキトーに買った株(トヨタ自動車伊藤忠商事武田薬品工業など)の株価がどんどん上昇して、2015年までで1,500万円ほどの売却益を得ることができました。

 ところが、2016年あたりから、日本株の値上がりがストップしてしまい、次第に含み損が膨らみました。もともと株式投資の勉強をいっさいせずに、手当たり次第、知っている銘柄を買っていただけなので、どう対処すればいいのかまったく分からず…。

 そんな中、今度は、たまたまネットで見かけた投資情報誌『ダイヤモンドZAi』で特集されていた米国株の記事が目に留まりました。そして、日本株は過去30年間のリターンがマイナスなのに対して、米国株は常に最高値を更新し続けていることを知ります。

 以前と同様に「これは素晴らしい!」と思い、2018年に初めて米国株を買ってみました。なので、株式投資のきっかけは、たまたま見かけた書籍ですね。

Q 初めて買った銘柄は何?それはいつ?
A ちゃんと考えて買ったのは米国ETF「VOO」

 ちゃんと自分で考えて納得して初めて買った銘柄は、S&P500ETF(上場投資信託)のVOOでした。購入したタイミングは2018年初旬です。それ以来、ずっとVOOを買い増しています。いまだに一度も売却していません。

 VOOとほぼ同時に、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)ジョンソン・エンド・ジョンソンといった、50年以上連続で増配している超優良配当株にも、投資してガチホ(ガチでホールド。売る気ナシ、の意味)しています。

 今は、妻と2人の子供合わせて家族4人分のNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座を開設していて、年間合計400万円を毎年米国株へ追加投資して、非課税で運用しています。400万円はかなりの大金なので、YouTubeなどの副業で収入を増やし、同時に節税や節約で支出を減らして、投資に回せる手残りのお金を増やす努力をしています。

Q その銘柄を選んだ理由は?
A 右肩上がりの米国株ならハラハラしなくてすむから

 VOOを選んだ最大の理由は、長期でずっと右肩上がりの米国株式に投資すれば、日々の値動きを気にすることなく、ほったらかしで資産運用ができるからです。これはすごいことだと思います。主要株価指数のS&P500に連動するVOOを買えば、1株で米国の超優良大企業500社に分散投資ができる点にも惹かれました。

 同時にP&Gなどの個別株にも投資を始めました。理由は、米国には半世紀以上も連続で配当金を増やし続けている会社が多数あることも知ったからです。

 さらには、125年以上も連続で配当金を払い続けている企業が15社もあります。最長記録は公益企業のヨーク・ウォーターで、なんと205年です。1815年以来、2世紀以上にわたって、配当金を株主に払い続ける実績を誇っています。

Q その銘柄はどうなりましたか?
A トータルリターンは60%超え!コロナショックでも買い増し

 2018年から投資しているVOOは、2021年9月現在、配当を含めたトータルリターンは60%を超えています。VOOに投資し始めてすぐの2018年末は、同年9月の高値から18%近い暴落に見舞われました。

 それでも「米国株は全ての暴落から最高値を更新している」という実績を信じて、ガチホした結果、株価は順調に回復、そして上昇しています。その経験を生かせたおかげで、30%以上も大暴落した昨年のコロナショックでもろうばい売りをすることなく、むしろ下がった局面でしっかりVOOを買い増すことができました。

未経験者・初心者に教えたい、投資を続けるコツ!

Q 投資を始めた初心者時代の自慢エピソードを教えて!
A 生まれて初めて受け取った配当金3万円に感動!

 僕が忘れられない株式投資、最初の成功体験は、生まれて初めて受け取った配当金です。

 2008年当時、保有していたトヨタ自動車などの個別株の配当金、約3万円を、郵便局の窓口で、現金で受け取ったんです。その時、初めて、「お金がお金を育ててくれる投資」を体感しました。

 これまで自分の時間を切り売りしてアルバイトをしたり、会社員として働くことでしかお金をもらうことができなかった自分にとって、自分が働かなくても「投資をすればお金が増える」ことを体験でき、かなり大きな衝撃でした。

 その成功体験があったからこそ、2016年に日本株が上昇しなくなった後も、何とか投資でお金を増やしたい! と思い続けられて、そして米国株投資にたどり着きました。原宿にある郵便局の窓口で、初めて受け取った3万円の配当金には、今でも心から感謝しています。

Q 投資を始めた頃の失敗談&教訓を教えて!
A 外資に勤めていたのに、米国株の魅力に気付くのが遅すぎたこと

 投資を始めた頃の失敗談は、最初から米国株に投資をしなかったことですね。2017年に『ダイヤモンドZAi』で米国株特集を見るまで、日本のネット証券で普通に米国株が買えることを知りませんでした。

 ただその一方で、僕は2005年から米国企業の日本オフィスに勤務をしていて、米国企業がどんどん売上を伸ばして利益を上げ続けていることを体感していました。

 さらには外資系企業3社を渡り歩く中で、自分の給料や役職も年々上がっていました。ある意味で米国株が上昇する手助けを、2017年当時、すでに10年以上、外資で働くことで、自分自身が実践していたんです。ぶっちゃけ米国株の魅力に気付くのが遅すぎだな、と自分でも思います(笑)。

 今はナスダック100指数に組み込まれている米国IT企業に勤めて9年目になります。外資で働くのは本当に大変です。突然勤務中に呼吸困難になり救急車で運ばれた同僚を目の当たりにしたこともあります。

 僕自身は円形脱毛症ができた程度ですが、外資社員はかなり大きなプレッシャーの中で日々仕事をしています。クビになるリスクも常に付きまといますからね。米国株に投資をすれば、そうやってプレッシャーに追われて働く社員の働きぶりを株主として享受できます。

 もっと言ってしまえば、S&P500に投資すれば、バークシャーハサウェイの社長である投資の神様ウォーレン・バフェットや、Facebook社長マーク・ザッカーバーグの働きぶりですら、株主として利益を受け取ることができるわけですね。

 2008年、株式投資の素晴らしさに気付きながらも、米国株の素晴らしさには気づけなかったことが、投資初心者だった自分の一番の失敗だなと、今は思います。

Q 投資未経験者・初心者は、まず何から始めるべき?
A つみたてNISA口座を開設して米株インデックス投資を定期買付&利益は再投資!

 投資初心者の第一歩として、まずはつみたてNISA口座を開設して、米国インデックス投資信託を定期的に積立買付けしていくことをオススメします。

 具体的には、S&P500や全米株式に連動する投資信託を、無理のない範囲で、毎月の余剰資金を積立て投資していきます。投資信託であれば買付手数料が無料で、かつ100円から積立購入を設定することができます。

 インデックス投資であれば、日々の株価推移を気にする必要はありません。仮に株式市場に暴落が来たとしても、ひたすら無理のない範囲で積立投資を続けていくだけです。ぜひ配当金を自動で再投資する設定もお忘れなく。

 そうすればアインシュタインも大絶賛した複利のチカラを利用して、時間を味方につけて運用資産を増やすことができます。そして、10年後20年後に、大きなリターンを手にすることができます。

 S&P500は、過去20年間の長期で運用した場合、いつ投資を始めていたとしても、リターンがマイナスになったことがありません。投資を開始するベストなタイミングは、今です。

 もちろん過去に100%損が出なかったと言って、これから先20年も絶対に損が出ないかといえば、それは分かりません。分かりませんが、そんな可能性の極めて低いことを想定して、米国株投資を避けていると、それこそ機会損失のリスクになってしまいます。

 飛行機は墜落する可能性がありますが、それでも基本的には安全だと理解して飛行機に乗ります。それは飛行機が墜落する可能性が極めて低いことを知っているからです。米国株投資も同じだと思います。

Q これから投資を始める人に向けて、投資方法のアドバイスを!
A ネット証券で口座開設し、分からないことはカスタマーサービスに聞いてしまおう!

 先ほども言ったように、まずはネット証券でつみたてNISA口座を開設し、S&P500や全米株式に連動する投資信託の積立を始めましょう。証券口座を開くにはマイナンバーカードが必要だったり、正直けっこう手間がかかります。ようやく口座ができたと思ったら、今度は買付設定をするのも、慣れるまでは難しいです。

 でも、安心してください。ネット証券は、カスタマーサービスがとても充実しています。口座保有者専用の電話番号も用意されていますので、分からないことがあれば、電話で丁寧に回答してくれます。ブログやYouTubeで解決策を探すのもアリですが、僕は分からないことはすべてカスタマーサービスに電話で質問して、解決してもらっています。

 そして、いざ米国株投資を始めてみると、株価の下落や上昇を経験し、迷ってしまう局面に直面することもあります。そんなときは「米国株は過去100年間で30%以上の暴落を8回も経験していて、その全ての暴落から過去最高値を更新し続けている」という事実を思い出してください。

 S&P500に投資してプラスのリターンが出る確率は、1日で50%、1年で68%、10年なら88%へ上昇します。そして20年では100%です。自分の老後資金や子供の教育費など、長期で大きな資産を築くのに米国株投資は極めて有効な手段だと思います。