※モトリーフール米国本社、2021年8月26日投稿記事より
ポイント
- 再生可能エネルギーが注目を浴びているが、だからといって石油やガスがすぐに姿を消すことはない。
- シェブロンは上流から下流事業までを統合する石油メジャー企業で、新型コロナウイルスのパンデミックや石油価格の低迷を乗り切るだけの財務力を保有しています。
- 石油価格の回復により利益は改善している。シェブロンに対する好材料を考えると、同銘柄は現在割安だと考えられる。
過去数百年にわたり、化石燃料はエネルギー産業を牽引してきました。
石油メジャーのシェブロン(NYSE:CVX)は、世界最大規模の石油企業です。
近年では風力や太陽光エネルギーといった再生可能エネルギーが台頭しつつありますが、それでもなお、本稿執筆者がシェブロンに注目する理由を3つ紹介します。
再生可能エネルギーが注目されるが、石油がすぐに姿を消すことはない
石油企業は長期にわたり繁栄してきましたが、着実に変化しつつあります。
気候変動により、よりクリーンなエネルギー源が求められるようになりました。
風力や太陽光などの再生可能エネルギーは登場して久しいものの、高コストのために普及は限定的でした。
しかしテクノロジーが向上し、再生可能エネルギーはコスト削減を実現しています。
米国立再生可能エネルギー研究所によると、化石燃料エネルギーのコストは5セント〜17セント/キロワット時なのに対し、再生可能エネルギーは3セント〜6セント/キロワット時にまで低下しています。
現在、再生可能エネルギーは急速に成長しつつあり、米国などでは、新規エネルギープロジェクトの大半は風力発電や太陽光発電が占めています。
しかし、石油やガスがすぐに姿を消すことはありません。
米エネルギー情報局によると、2040年までに最も減少するエネルギー源は石炭です。
天然ガスは引き続きエネルギー生産において重要な役割を果たすと予想され、石油は電気自動車の普及次第だと考えられています。
少なくとも今後10年以上は石油とガスの需要があると考えられます。
石油価格の上昇が追い風となる
シェブロンは上流(探査)、中流(輸送)、下流(精製・販売)の全事業を行う垂直統合型石油企業です。
石油会社は一般的に石油価格に大きな影響を受けます。
シェブロンも例外ではありませんが、同社の事業は上流から下流に分散されているため、同業他社と比べると石油価格による影響はやや軽減されます。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で石油価格は低迷しましたが、2021年に入り現在までのところ、シェブロンの業績は回復しています。
第2四半期の売上は前年同期比180%増の375億ドルでした。
2020年には赤字を計上しましたが、その後の石油価格上昇の恩恵を受け、2021年上半期当期利益は44億ドルとなりました。
手堅い財務状況に支えられた高配当
石油価格は世界で起こる事象に影響を受けることがあります。
シェブロンの事業は石油価格に敏感に反応するので、経営陣はこうした厳しい状況から投資家を守るため、会社を経営する必要があります。
シェブロンのバランスシートを見れば、同社経営陣の手腕が理解できるでしょう。
エクソンモービル、BP、ロイヤル・ダッチ・シェルといった石油メジャーの中で、シェブロンの負債資本比率はわずか0.21と最も低く、さらに保有現金は75億ドルにのぼります。
2020年には石油価格が激しく変動し、史上初のマイナスにも陥りました。
シェブロンは55億ドルの赤字を計上しましたが、大きな要因は資産の減損損失を計上したことによります。
一方で同年の営業キャッシュフローは106億ドルを確保し、配当を実施しています。
シェブロンは34年連続増配を達成しています。
本稿執筆時点の配当利回りは5.5%、1株あたりの年間配当額は5ドル36セントです。
シェブロンに注目する理由
シェブロンの株価はパンデミック以前の水準には回復していません。しかし事業自体には力強いモメンタムが見られます。
2021年上半期の営業活動によるフリーキャッシュフローは112億ドルです。
配当を実施し、さらに自社株買い戻しプログラムを始めるのに十分な金額を確保しています。
2021年通期の売上は前年比56%増の1,470億ドルと予想されますが、これは2019年を上回る水準です。
また、配当利回り5.5%(執筆時点)は、過去平均3.75%を大きく上回る水準です。
転載元:モトリーフール
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