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『ベトナム株』は、新型コロナウイルスの感染抑制が功を奏し、年前半は右肩上がりの上昇を実現し、過去最高値を更新しました。しかし、デルタ型の感染急拡大を受けて、7月に大きく調整しました。その後も感染拡大は続いているものの、『ベトナム株』は持ち直し、高値圏でもみ合っています。中長期的な経済成長期待を背景に、アジアの株式市場で『ベトナム株』が存在感を高めています。
【ポイント1】『ベトナム株』は最高値圏もみ合い
コロナ感染者の急増で一時調整
『ベトナム株』は昨年のコロナショック以降、堅調に推移してきました。代表的な株価指数であるVN指数はほぼ右肩上がりの上昇トレンドをたどり、今年7月初には1,420ポイントを付け、過去最高値を更新しました。
今年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大で多くのアジア株式市場は上値が重くなっていましたが、『ベトナム株』はコロナ感染が抑制されているとして、年前半はアジア株のなかで選好されていました。
ところが、7月に入ると、デルタ型の感染拡大でベトナムでも1日当たりの新規感染者数が1,000人を超え、これまで抑制されていた同国のコロナ感染者数が急増しました。8月中旬以降は1日当たりの新規感染者数が1万人を連日超えており、最大都市ホーチミンなどで不要不急の外出禁止措置が続いています。
コロナ感染の急拡大を受けて、『ベトナム株』は7月に大きく調整しました。VN指数は一時1,268ポイントまで急落しましたが、その後は、世界的なリスク選好の動きや、証券取引所のシステム改良で取引高の増加に対応できるようになったことも追い風となり、持ち直しました。足元(10日時点)のVN指数は1,345ポイントまで戻しており、最高値圏でもみ合いを続けています。昨年末からの上昇率は22%となっています。
【ポイント2】当面減速するベトナム経済
コロナ感染拡大で行動制限延長
ただ、コロナ感染拡大で景気は当面減速が避けられないとみられます。これまでベトナム経済は新型コロナの感染拡大以降でも、インフラ開発などが支えとなり、四半期ごとのGDP(国内総生産)成長率がプラスを維持するなど底堅く推移してきました。
しかし、2021年4-6月期は前年同期比6.6%増と市場予想を下回りました。さらに、足元ではコロナ感染拡大による行動制限が延長されていることから、当面景気は下振れすると考えられます。
『ベトナム株』は、景気減速やコロナ感染の不透明感から目先上値が重い展開が想定されます。
【今後の展開】好環境に変化なく、中長期的に堅調地合いが期待される
しかしながら、人口動態や好立地などを背景とした中長期的なベトナム経済の成長期待に変化はありません。
若くて安価な労働力を求めて、ベトナムに海外からの直接投資が続いていることや、経常収支が黒字基調で定着しており、ベトナムの通貨ドンが安定していることも支援材料と考えられます。
ブルームバーグによれば、予想PER(株価収益率)は13倍程度となっており、バリュエーションに割高感はありません。
ベトナムはワクチンの普及率が低く、コロナ感染のピークアウトは見えていないものの、政府の積極的な取り組みにより、mRNAタイプの国内開発や海外企業との提携でワクチン確保のめどがついており、行動規制はいずれ緩和されると考えられます。
『ベトナム株』をめぐる基本的な好環境に変化はなく、コロナ抑制後は、堅調地合いを取り戻すと期待されます。
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