今週の予想

急騰後の利益確定売りを吸収しながら上値を試す可能性

 先週の日経平均株価は、4月以来となる3万円台を回復し、終値でも3営業日続けて3万円台を維持しました。

 新型コロナウイルスの感染問題や日米の政局や中国経済に対する不透明感は残るものの、年末高に向けて上昇という見方が増えてきています。

 日経平均に先立ち、TOPIX(東証株価指数)は高値更新が続いていますので、日経平均は2月16日のザラ場での年初来高値3万714円を上に抜く方向にあると思われます。

 10日(金)の米国市場が続落して、シカゴの日経先物は3万円を割っており、一本調子にはいかないかもしれませんが、一方では、この急騰局面で生じた空売りも多く入っており、下値では買い戻しも入りやすく、下値は限定的と思われます。

 そろそろ調整してもおかしくありませんが、9月末(28日)は配当と株式分割があり、相場が動きだしたところで投資家の物色意欲は強く、調整しても小幅にとどまることになりそうです。

 半年にわたる調整から上昇に転じた日本株は、新政権やワクチンの接種進展を背景に、これまで手控えていた外国人投資家の日本株の見直しの動きが拡大することになります。2月の年初来高値3万714円を超えると、3万1,000円台を目指すことになりそうです。

今週の指標:日経平均株価

 日経平均は、外国人投資家の買いによって回復していますが、ここまでの急騰で3万円台を回復しており、利益確定売りが出てもおかしくないところです。

 米国株式が一服しそうなところが気にかかるところですが、国内では新型コロナ感染拡大の勢いがやや下がり、ワクチン接種率も上がったところに、自民党総裁選による経済対策への期待もあるところから、下値は限定的で売りを吸収しながら上昇していく方向にあるといえます。

 目先は今年の終値での最高値3万467円を更新する動きとなります。

先週の動き

 先週の予測では、前週末の菅義偉首相の辞任表明から自民党新総裁が打ち出す新型コロナ対策や経済対策への期待で、日本株の先物を売っていた外国人投資家が買い戻しと新規の先物買いで急騰となりました。

 柴田罫線(チャート)も5月10日の2万9,685円を上に抜ければ3万円台の期待が出てくるとしました。

 結果的に、先週は週末にメジャーSQ(特別清算指数)を控えており、先物にショート(空売り)が積み上がったことで、買い戻しと先物の買いで一気に3万円台乗せとなりました。

 9月8日(水)まで8日続伸となり、+265円の3万181円と6カ月ぶりの高値水準となり、9日(木)は▲173円の3万8円と9日ぶりに反落しましたが、週末は+373円の3万381円と大幅反発で高値引けとなりました。

今週の指標:NYダウ平均株価

 今週も新型コロナのデルタ変異株の感染拡大が消費を圧迫し、景気回復や企業収益の伸びに影響を与えるとの懸念が、相場の重しとなりそうです。

 また、今月末までに債務上限が引き上げられなければ、政府機関閉鎖のリスクに直面、また米国同時多発テロ事件発生から20年を迎えることで、国内の地政学的リスクも懸念されます。

先週の動き

 先週の予測では、新型コロナのデルタ変異株による消費への影響は想定以上となっており、一連の失業者緊急支援措置が失効するため、景気循環株は引き続き伸び悩み、上値の重い展開となるとしました。

 結局、休場明けの9月7日(火)から週末の10日(金)まで続落が続き、前週末からでは5日続落となって▲271ドルの3万4,607ドルで引けました。インフレ懸念が重しとなっています。

今週の指標:ドル/円

<今週の見通し…ドルは底堅い動きか>

 市場参加者の間では、今年の米経済成長見通しを引き下げる動きが広がっており、経済の早期正常化への期待は弱まりつつあります。

 今月21~22日のFOMC(米連邦公開市場委員会)に向けて、インフレ指標が高水準なら、量的緩和縮小の早期実施観測が広がり、リスク選好的なドル買いが強まりそうです。

先週の動き

 米労働省が9月8日に発表した7月の雇用動態調査で、求人件数が過去最高を記録したことを受け、ドル/円は110.45円まで買われました。

 しかし、新型コロナのデルタ変異株の感染拡大で米国経済の減速が警戒されたことから、リスク選好的なドル買いは縮小し、9日には1ドル=109.62円までドルは売られました。

先週の結果

週末のメジャーSQに向けて買い戻しで上昇続く

 先週の予測では、前週末に予想外の菅首相の総裁選出馬見送り表明を受け、新政権への期待から日経平均は上放れとなりました。チャートは日足、週足ともに目先の上値抵抗線を突破し、テクニカル的には強気転換となったことで、この意味は大きいとしました。

 13週移動平均線、26週移動平均線を日経平均は一気に2万8,700円を抜けたことで、目先の上値抵抗ラインを突破し、日経平均は3万円の大台が視野に入ったとしました。柴田罫線の分析では、5月10日の2万9,685円を上に抜ければ3万円の大台への期待が持てるとしていました。

 今回の上昇は、菅首相の総裁選不出馬をきっかけに、今後の新型コロナ対策や経済対策への不透明感から、これまで先物を売っていた外国人投資家が買い戻しに入ったことで、需給による上昇ということになりました。

 特に先週はメジャーSQを控えており、先物にショート(空売り)が積み上がっていたことで、次々に踏み上げられて一気に3万円台に乗せてきたということです。

 9月6日(月)は、前週末の株価の上昇の流れがそのまま続き、2万9,501円で寄り付くと株価指数先物買いを支えに上げ幅を拡大し、後場には一時+576円の2万9,705円まで上昇して+531円の2万9,659円で引けました。

 終値ベースで4月19日の2万9,685円以来、約5カ月ぶりの高値となりました。TOPIXも+25ポイントの2,041ポイントと31年ぶりの高水準でした。

 7日(火)は、この日は前日の米国市場は休場ながら好地合が続き、前場は一時+388円の3万48円と3万円台を回復しました。その後は3万円を前に上値が重い展開となり、利益確定売りで上げ幅を縮小しました。

 しかし、その後の時間外取引で米株先物が高く、また中国株の上昇も支えとなって持ち直す場面もありましたが、戻りは限定的で+256円の2万9,916円で引けました。

 8日(水)は、前日のNYダウが▲269ドルの3万5,100ドルと続落したことで、日経平均が朝方は▲129円の2万9,787円まで下落。

 しかし、売り一巡後は買い戻し中心に先物主導で一段高となり、+324円の3万241円まで上昇し、終値は+265円の3万181円と6カ月ぶりに3万円台を回復しました。

 9日(木)は、前日の米国市場が主要3指数そろって続落したことで、▲222円の2万9,959円で寄り付き、一時▲271円の2万9,909円まで下げるものの、終値では下げ幅を縮小し、▲173円の3万8円と心理的フシ目の3万円台を守って引けました。

 10日(金)の日経平均は、先週はメジャーSQに向けて上昇が続くとみていましたが、その通りの動きとなりました。

 朝方は、9月SQ絡みの買い先行で始まり、先物買いに上げ幅を拡大し、時間外取引での米株先物、ハンセン株の上昇にサポートされ、上げ幅を拡大して+373円の3万381円の高値引けとなりました。9月のSQ値は3万85円で、これを大きく上回って引けています。

 単なるショートカバー(買い戻し)ではなく、個人投資家の売りを外国人が買うというパターンですので、外国人が出遅れ感の強い日本株を買ってきている状況です。

 日本市場の引け後の米国市場は、上昇してスタートするものの、インフレ懸念の重しや、早期のテーパリングが懸念され、主要3指数そろって続落。NYダウは▲271ドルの3万4,607ドルと5日続落となりました。

 シカゴの日経先物は▲225円の2万9,935円となっています。