「個別株にも投資してみたい」と思っている初心者の方に、株式市場の”今”をお知らせする「トレンドマーケットスクールTOKYO」。今週9月13日(月)から17日(金)は、米国市場の停滞で先週、市場を席巻した「自民党総裁選劇場」が小休止する可能性もありそうです。

今月29日の投開票まで次期総裁の政策関連株への注目続く!!

 突然の菅義偉首相退陣表明で幕を開けた「自民党総裁選劇場」。日経平均株価は9日(木)を除いて先々週より9営業日上昇が続き、10日(金)には3万381円の高値で取引を終了しました。幸い、新型コロナウイルス感染者の数が東京などで減少したことも追い風でした。

 今週以降は2月の年初来高値3万714円台突破が視野に入りますが、10日(金)の米国株が急落したことから、13日(月)は前週末比9円安の3万372円で始まりました。

 先週の株式市場では、総裁選出馬を表明した河野太郎ワクチン担当大臣が重点政策に掲げる再生エネルギー関連株のレノバ(9519)や脱ハンコの弁護士ドットコム(6027) 、高市早苗前総務大臣が力を入れると表明したサイバーセキュリティ関連のブロードバンドセキュリティ(4398)などが上昇しました。

 自民党の総裁選立候補者が掲げる政策は、その候補が首相になれば「国策」になります。株式投資の世界では「国策に売りなし」という投資格言もあるように、次期首相候補の政策に関連する株にはまだまだチャンスがありそうです。

 気がかりなのは8月まで史上最高値更新を続けてきた米国株。先週はデルタ株(インド由来の新型コロナウイルス変異株)の感染拡大による経済の停滞懸念でNYダウが5日連続で下げるなど、さえない展開でした。

 バイデン大統領が10日(金)に中国の習近平主席と久しぶりに電話会談したものの、米中の対立が際立ったことも意識されたようです。

 さらに10日(金)、アップル(AAPL)がカリフォルニア地裁から、自社ストア以外でのアプリへの外部課金制限の緩和を命じられて株価が急落。

 時価総額世界最大のアップルはつみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)で人気の海外インデックスファンドでも組み入れ比率が一番大きな銘柄。運用成績に悪影響を与える可能性もあるので要注意です。

 9日(木)に開かれたECB(欧州中央銀行)の理事会では、債券の緊急購入プログラムを10~12月期に少し減額することが決定しました。

 ラガルドECB総裁は、購入額をゼロまで段階的に縮小する「テーパリング」ではないと強調したものの、欧米の中央銀行が、金融緩和による物価の上昇とデルタ株拡大による景気停滞の板挟みになっている状況が浮き彫りになりました。

景気停滞の米国市場に急落リスクも日本株は「下げたら買い」!?

 米国では、9日(木)発表の新規失業保険申請数が3.5万件も減少し雇用情勢の好転が明らかに。10日(金)発表の8月卸売物価指数は、前年同期比8.3%増と、ここ11年で最大の伸びを記録しました。

 米ウォールストリート・ジャーナル紙は、米国の金融政策を決める9月22日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、テーパリングの11月開始が打ち出される可能性を報じ、多くの金融機関が史上最高値圏で割高になった米国株が10%程度急落するリスクに警鐘を鳴らしています。

 今週は14日(火)に米国の8月の消費者物価指数、16日(木)に8月小売売上高など、物価動向に関連する指標が相次いで発表されます。高い数字が出れば、インフレ懸念が広がり、株価急落の引き金になるかもしれません。

 17日(金)発表の9月ミシガン大学消費者態度指数速報値も、7月には予想外に低下して株価急落につながっているので要注目です。

 日本では、29日(水)の自民党総裁選後に臨時国会が召集され、新首相を選出。衆議院解散か、10月21日(木)の現議員の任期満了にともなって、11月に衆議院選挙が行われます。

 総裁選の候補者はすでに出そろった感もありますが、現状の反応を見ると、株式市場は河野太郎氏の選出を最も好感しそうです。

 いずれにせよ、日本を変革する新政権が誕生し、コロナ禍が終息すれば、少なくとも年末までは日本株の本格的な上昇トレンドが続いてもおかしくありません。

 テーパリングを間近に控えた米国株の動向や、東南アジアのコロナ禍によるトヨタ自動車(7203)の追加減産発表が心配ですが、株価の上昇が始まってまだ1週間足らず。11月の総選挙まで1カ月半~2カ月間続く「政局相場」では、中だるみしていったん下がったところはある意味、買いのチャンスかもしれません。