9月のFOMCではテーパリング開始検討の先送り確実
米雇用統計を受けて、9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)ではテーパリングの先送りがほぼ確実になった。これを好感して米国株式市場は最高値更新相場をなんとか維持している。失敗は許されない。
すべての市場の下落はFRB (米連邦準備制度理事会)のバランスシートの縮小または一時停止と一致しているからだ。株価はFRBの実行中のプログラムに沿って軌道上を走るだけであり、市場は毎週新高値を更新しなければならない状況にある。
そうでなければトレンドが崩れ、それに伴ってボラティリティがブレイクアウトする危険性がある。
S&P500と主要中銀の資産の推移
S&P500CFDの日足と売買シグナル(赤=買いトレンド・黄=売りトレンド)
ナスダック100CFDの日足と売買シグナル(赤=買いトレンド・黄=売りトレンド)
日経平均CFDの日足と売買シグナル(赤=買いトレンド・黄=売りトレンド)
「人工的な現在の経済が永遠に続くという奇妙な楽観」から現実は無視されている
「伝説的な投資家、エコノミスト、市場予測者のマーク・ファーバー博士は、中央銀行はマネー印刷を削減するつもりはないと考えています」と、9月7日のゼロヘッジで紹介されていたが、著名投資家のマーク・ファーバーは「中央銀行が失敗した経済システムをもう少し長く維持するために、より速いペースでさらに多くのお金を印刷するつもりだ」と予測している。
以下にマーク・ファーバーの発言を紹介しよう。
【現金は、もはや安全ではない。私は中央銀行がお金の印刷を加速せざるを得ないと思う。だから、株は上がるかもしれないが、平均的な米国人の生活水準は下がるだろう。すべてのお金の印刷は、人々の反乱を抑えるための必死の措置である。
エリートたちは市民の不満を、補助金や配給によってなだめなければならない。それらが尽きれば、もはや不満分子を監視し、人々を弾圧するしかなくなる。
金融インフレに積極的に関与するシステムは、つまるところ破綻する。インフレ期には実質賃金が減少して大衆の生活水準が落ちてしまうからだ】
バーナンキ、イエレン、パウエルを、「私が歴史上見た中で最も低能な官僚である」と指摘しているマーク・ファーバーは、「これらの人々はお金を印刷し続けるだろう。学者たちは、私たちが十分に印刷しなかったと言うだろう」と述べ、テーパリングどころか、「中央銀行は失敗した経済システムをもう少し長く維持するために、より速いペースでさらに多くのお金を印刷するつもりだろう」と見通しを語った。
ブルース・ワイルズというトレーダーが、今週、彼のブログで今の米国市場の問題と将来のスタグフレーションの懸念を書いていた。
【経済は何かが壊れており、今も続いている乱高下は、多くのアメリカ人がパンデミックによる緊急失業請求でまだお金を受け取っていることに起因している。
これにより、多くのアメリカ人が、補助金を受けた人工的な現在の経済が永遠に続くことを喜んでいるような、奇妙なリラックスした環境が生まれている。政府が赤字を出して巨額の負債を抱えたときに起こる問題を人々はまだ見ていないので、懸念はほとんど生まれず、現実は無視されている。
私たちが直面している最大の問題は、テーパリングは「言うは易く行うは難し」であり、政治的にも人気がないということだ。QE(量的緩和)は富裕層や権力者をより豊かにし、彼らは 「糸を操る」存在となっている。
リスクはゆっくりと蓄積され、将来的にはデフォルトが急増して大規模なデフレ・サイクルが起こると予測する人もいるが、金融システム全体にインフレが浸透している可能性もある。そのため、強力なスタグフレーション(不景気の物価高)が今後の最も可能性の高いシナリオとなっている】
現金の価値が落ちると、大衆は生活に困ってしまう。だが、気づいたときにはすでに手遅れとなっている。それが歴史の教えるところだ。
資産運用の究極の目的は、“インフレヘッジ”である。
為替市場のシーズナリーチャートとクロス円の年末高
7月から8月にかけて下落していたオセアニア通貨が反発している。シーズナリーパターンから言えば、この反発は9月半ばまで続く。NZドルはうまくいけば、このまま上下動を繰り返しながらも年末まで上昇するシーズンを迎える。
NZドルのシーズナリーチャート(過去20年の平均)
NZドル/円の日足と売買シグナル(赤=買いトレンド・黄=売りトレンド)
一方、豪ドルはNZドルと違って、9月にいったんは反発するものの、10月にかけてもう一段の下落をみる(2番底をとりにくる)パターンとなっている。
豪ドルのシーズナリーチャート(過去20年の平均)
豪ドル/円の日足と売買シグナル(赤=買いトレンド・黄=売りトレンド)
相場に絶対はない。相場はシーズナリーパターン通り動くわけではないが、各通貨のクセをチェックしながらここからの相場をみていくことが必要だろう。
NZドルもユーロも一番上がりやすいのは12月である。
ユーロのシーズナリーチャート(過去20年の平均)
ユーロ/円の日足と売買シグナル(赤=買いトレンド・黄=売りトレンド)
9月8日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
9月8日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、土居雅紹さん(楽天証券 株式・デリバティブ事業部長)をゲストにお招きして、「いよいよ追い風の季節。半年投資とトレーリングストップ併用」・「半導体不足はつづく・・ここからの株式市場の見通しと注目銘柄」・「レイ・ダリオの暴落に強いディフェンシブポートフォリオ」・「投資家として一番大事なことはできるだけ長く市場に留まること」というテーマで話をしてみた。放送をぜひご覧ください。
ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。
9月8日: 楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
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