光陰矢の如し。

 1年の延期を経て開催された東京オリンピックは、8月8日に無観客で閉会式が行われ、静かで熱い17日間にわたる大会が幕を下ろしました。

 世界各地で新型コロナワクチン接種が進む一方、感染力の強いデルタ型変異株が急速に広がっています。米国や中国、イスラエルなどの地域で感染収束が見られたものの、感染拡大が再び懸念されました。

 通常であれば9月1日から新学期が始まるところですが、日本では緊急事態宣言が発令されている中で、夏休みを延長する学校や、オンライン授業を実施する学校もあります。

8月のS&P500指数が連日、史上最高値を更新!

<直近3カ月間のS&P指数の推移>

出所:楽天証券ウェブサイトより

 8月上旬の米国株式市場は、米国企業の好決算や、7月雇用統計の強い結果(非農業部門雇用者数の増加と失業率の低下)を受け、景気回復に向けた政策期待から堅調な相場となりました。

 しかし、8月半ばまで上昇基調だった相場は、7月小売売上高の弱い結果と年内のテーパリング(量的緩和の縮小)開始の懸念を受け、景気敏感株を中心に幅広い銘柄が売られ、5日連続で史上最高値を更新していたS&P500指数は6日ぶりに反落しました。

 その後、8月下旬に発表された7月新築住宅販売件数の堅調さや4-6月期の四半期実質国内総生産の改善などが相場の支えとなり、米国市場の主要3指数はそろって連日続伸する展開となりました。

8月の個人投資家に人気だった銘柄は!?

2021年8月 米国株式買付者数ランキング

全体(個別銘柄、ETF)

順位 ティッカー 前月順位 銘柄名 関連するテーマ
1 SPYD 1 SPDRポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF ETF、高配当株式
2 VOO 2 バンガード・S&P 500 ETF ETF、S&P500
3 VTI 5 バンガード・トータル・ストック・マーケットETF ETF、米国株式
4 PFE 22 ファイザー バイオ医薬製品
5 CCL 23 カーニバル 旅行、クルーズ
6 T 6 AT&T 通信、高配当、
配当貴族
7 AAPL 3 アップル スマホ、PC
8 MRNA 19 モデルナ バイオ医薬製品
9 SOXL 9 Direxion デイリー 半導体株 ブル 3倍 ETF レバレッジETF、
半導体
10 VYM 4 バンガード 米国高配当株式ETF ETF、高配当株式
※楽天証券内買付者数ベース。2021年8月1日~8月31日、国内約定日ベース。

ADR(米国預託証券)のみ

順位 ティッカー 前月順位 銘柄名 関連するテーマ
1 BNTX 4 バイオエヌテック バイオテクノロジー
(ドイツ)
2 NIO 1 ニオ 電気自動車(中国)
3 TSM 2 タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング 半導体(台湾)
4 BABA 3 アリババ・グループ・ホールディング ネット通販最大手
(中国)
5 BTI 6 ブリティッシュ・アメリカン・タバコ タバコ(イギリス)
6 TME 8 テンセント・ミュージック・エンターテイメント オンライン・ミュージック(中国)
7 JMIA 7 ジュミア・テクノロジーズ 電子商取引(ドイツ)
8 RIO 25 リオ・ティント 鉄鋼・鉱業(イギリス)
9 HMY 5 ハーモニー・ゴールド・マイニング 金鉱採掘(南アフリカ)
10 INFY 18 インフォシス・テクノロジーズ ソフトウェア(インド)
※楽天証券内買付者数ベース。2021年8月1日~8月31日、国内約定日ベース。

 楽天証券における8月の月間買付者数ランキング・米国株式部門のトップとなったのはSPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF(SPYD)でした。

 5カ月連続で1位をキープしていて、初心者から大変人気を集めています。四半期ごとに分配金の支払いが行われるため、定期的な買付やNISA口座で運用がおすすめです。

 米国株式全体の上位銘柄をみると、個別銘柄とETFが半々で、米国株式関連のETFがトップ3を占めていました。S&P500指数と連動するものや、高配当銘柄にフォーカスするもの、米国市場全体に分散投資できるものは長期投資におすすめです。

 また、ランキング上位銘柄において、新型コロナウイルスワクチン関連銘柄も目立ちます。米食品医薬品局(FDA)は8月23日に、ファイザー(PFE)バイオエヌテック(BNTX)が共同開発した新型コロナウイルスワクチンを正式承認したと発表しました。

 それを受け、ファイザーが2.48%高、バイオエヌテックが9.58%高となったほか、モデルナも7.55%上昇しました。mRNAベースのワクチンには2020年後半から、緊急使用許可(EUA)が出されていましたが、正式な承認は初めてでした。

ランキング上位の銘柄について、最近の動向を確認!

カーニバル(CCL)

出所:楽天証券ウェブサイトより(直近3カ月間日足チャート)

 カーニバル(CCL)は米国を代表する豪華客船の運航会社のひとつであり、若年層のカップルやファミリーをターゲットにしています。

 新型コロナウイルスの影響によるクルーズ船の運航停止が続いていたことから、2021年度第2四半期決算(3~5月)の純損失は2021年度第1四半期決算の19億ドルからさらに悪化し、21億ドルに達しました。

 同社は現在、95%の顧客にワクチン接種済みであることを条件に、7月より米国の港からの一部運航を再開しました。残りの5%は、主に12歳以下でワクチン接種できない子供の乗船を認めますが、事前・乗船当日・クルーズ中・下船前のPCR検査の実施が求められます。

ニオ(NIO)

出所:楽天証券ウェブサイトより(直近3カ月間日足チャート)

 ニオ(NIO)は中国の新興電気自動車(EV)メーカーで、中国語は「上海蔚来汽車」、中国版テスラとも呼ばれています。

 2014年11月に設立され、2017年12月に量産モデルとなるプレミアムSUV「ES8」の発売を発表し、2018年9月に設立からわずか4年足らずでニューヨーク証券取引所への上場を果たしました。

 同社は、2021年8月の納車台数が前年同月比48.3%増の5,880台と発表し、1~8月の合計が前年同期比2.6倍の5万5,767台となりました。中国国内で新型コロナ感染の再拡大により、8月の生産台数に影響がでましたが、新規受注台数が好調で過去最多を記録しました。

 中国政府によるネット大手や一部教育ビジネスの締め付けが続く中、再生可能エネルギーの有望性に、改めて投資家の目が向けられています。

インフォシス・テクノロジーズ(INFY)

出所:楽天証券ウェブサイトより(直近3カ月間日足チャート)

 インフォシス・テクノロジーズ(INFY)はインドのITコンサルティング・ソフトウェア企業であり、1981年に設立され、現時点では世界46カ国に事業を展開し、顧客に次世代デジタルサービスおよびコンサルティングを提供しています。

 同社の売上高の60%は北米地域からのもので、売上高全体に占める対金融企業相手の割合は30%にものぼります。

 米国の経済成長を背景に、同社の業績も好調で、売上高と純利益が右肩上がりの成長を遂げ、年2回の配当も増配傾向があり、今後の成長が期待されます。