※このインタビューは2018/06/21に公開した記事となります。

 人気投資ブロガーである「むらやん」さんは、12年超の株投資歴をもつデイトレーダー。2005年4月から投資生活をスタートしましたが、当初は株投資の知識はまったくのゼロ。それでも数年後には500万円を元手に1億9,000万円を超す資産を形成しました。そんなむらやんさんに、株式投資のきっかけからピンチ脱出法までインタビューしました。

「お祈り投資法」で一気に250万円投入!

 25歳のとき、知人と2人で起業したむらやんさん。その会社の顧問として来てもらっていた方にある日、「ライブドアの株で1億円儲かったよ」という話を聞きます。

「1億円」と聞き、「株は儲かる」と漠然と考えたむらやんさんは、すぐにネット証券に口座開設して、とりあえず500万円もの大金を入れたと言います。

「しかし当時は忙しすぎて、株の情報をチェックするどころか、口座にログインする暇もなく、完全放置でした」(むらやんさん)

 その後しばらくして、立ち上げた会社を解散することになったとき、ふと「ライブドア株で1億円儲かった」という話が頭に浮かんできたそう。むらやんさんは、すぐにどうすれば株が買えるのか調べて、初歩の初歩から手探りではじめたのです。

 そして、いよいよどの株を買おうかと情報を調べたとき、東証一部の前日値下がりランキング銘柄の中に、唯一知っていた企業、イトーヨーカドー(現・セブン&アイホールディングス)があったそうです。

「有名な企業だから、また値上がりするに違いないと、人生はじめての取引で一気に250万円を突っ込みました」(むらやんさん)

 しかし、買ってしまってから売り方がわからず大慌て。なんとか調べて約定し、2,500円の利益を得ますが、その間、たったの1分ほど。1分で2,500円も儲けることができる世界に興奮したそうです。

 とはいえ、最初に250万円も突っ込んだわりには、その後に買った銘柄の値が少しでも動くと、恐怖心からすぐに売っていたというむらやんさん。加えて誰もが知っている企業じゃなければと思い込み、結局動かない銘柄ばかりを買ってしまい、1カ月間の収支はプラス1万~2万円ほど。生活費も出ないありさまだったそうです。

 

狙う銘柄に変化が

 ちょうどその頃、「俺も株やってるよ」という友人に話を向けると、「今日は15分で20万円くらい損した!」と聞き、びっくりしたむらやんさん。どんな株を買っているのかと聞くと、「値動きがある株を狙っている」と。この辺からむらやんさんは「知っている株」から「よく動く株」にシフトしていきました。

「とにかく値動きが激しい銘柄を探していき、よく動く株は1日でプラス10万円になっていて。この値動きに完全に魅了されましたね」とむらやんさん。しかし、むらやんさんに悲劇が襲います。

「スタートから3カ月くらい経ったときでした。値動きの激しいある銘柄を昼前に買ったのですが、お昼休みに入った途端、業績の下方修正が発表されたのです。僕はそんなことも知らずにランチ休憩中。そして昼があけると、真っ逆さまに下がり続けました。それこそ心臓をえぐられるような感覚を味わいましたね。あっという間に含み損は40万~50万円くらいになってしまい、恐ろしくて15時手前で売りました。さっきまで1万~2万円の利益で一喜一憂していたのに、50万円って。『これは絶対取り返せないヤツや~』と、さすがにショックでした」(むらやんさん)

損切りは冷静に

 ショックを受けながらも、損切りをしたむらやんさん。特に投資初級者の場合、株価の戻りを期待して、なかなか損切りに踏み切れないのでは?

「あのとき損切りできたのは、次の日になったらどんなことになるのかと、一晩中ヒヤヒヤしているより、とにかくスッキリしたかったというのが本音です。その晩、友達と飲みにいって一晩寝たら、案外気持ちもリセットできましたし、翌日も朝から取引していました」(むらやんさん)

 それからも損切りが大事だと感じた局面はあったというむらやんさん。中でも2006年のライブドア・ショックのときが一番印象的だったと言います。それまで「バブル再来か」と順調に値上がりを続けていた東証マザーズ、日経平均株価の下落幅が半端なものではなかったからです。

「新興株を持ち続けていた人は『全員負けたな』と思うほどでした。自分の中でこれくらい下がったら損切りというルールを決めて、スパスパ切っていかないとダメだと考えさせられました」(むらやんさん)

 

その後収支の状況は?

 投資を始めて1カ月半のころになるとトータルで80万円くらい負けていたむらやんさんは、2カ月目で100万円の利益をたたき出します。

「これ、完全にビギナーズラックなんですが、『なんだ、損なんてすぐに取り戻せるやん』と勘違い。そこからドツボにはまり、投資スタートから3~4カ月目で最初の投資額500万円が半額の250万円になって、『アレ? このままのペースでいくと破産する』と気づきました。今から考えるとしょうもないですね。細かに相場や値動きを分析することなく、なんとなく適当に株を買って『上がれ!』と祈るだけの『お祈り投資法』だったんですから」(むらやんさん)

退場目前、投資に3カ月間だけ必死に向き合う

 実は投資の資金は、むらやんさんが起業する以前に勤めていた完全歩合制の不動産会社で、朝9時から夜11時まで、1年のうち360日は死に物狂いで働いて、贅沢もせずに貯めたお金でした。そんな大事なお金が見る間に減っていく現実を前にして、精神的につらくなり、株投資から足を洗おうと考えたそうです。

 ただ、このとき持っていた株の中で、1株が5分割された株があり、そのうち、4株は最低3カ月経たなければ売れないのが当時のルールでした。

「手仕舞いしようと思っても3カ月間は持っていなければならない。ただ持ち続けるのも苦しい。ならばこの3カ月だけは必死に勉強して、最大限やれることをやってダメだったら退場しようと決意しました」(むらやんさん)

 ここからむらやんさんは、まず株を買う前に値動きの予想を10回立てて、そのうち6回当たれば最低単元で買うことを繰り返しました。そして、段々と値動きの感覚が身についてきたそうです。

「それと自分の予想では『買い』と判断した局面で下がったり、『売り』と判断した局面では上がったりが多かったので、じゃあ同じ局面がきたら自分の予想と逆の投資判断をすればいいかもしれないと思うと、正にその通りになる。そうした経験から、『なんで逆に動くのか?』『それはどんなケースか?』を探り、自分なりの法則を見つけてから、負けにくくなりました」(むらやんさん)

 加えて、想定した値動きにならなかった場合には、買った値段に戻ったときに、いったんは決済するというルールを設定。そうすると損切りも少なくなり、実質負けない取引ができるようになっていったと言います。

「2005年4月から投資をはじめて250万円まで減った資金が、8カ月後の11月くらいには500万円に戻りました。これ以降、月100万~200万円はコンスタントに勝てるようになっていきました」(むらやんさん)

 

「むらやん流」は投資初心者もすぐにマネできる

「これらの方法は投資初心者にも応用できるはずです。投資デビュー前で、投資で損することが怖いと考えている人は、日経平均レバレッジETF(上場投資信託)の最低単元である1単元、まず買うことをおススメしますね。日経平均レバレッジETFは1単元が現在1万8,000円前後という少額でスタートできますし、日経平均株価が仮に1日300円動いても、1単元なので数百円の儲けか、損になるだけです。自分の予想が当たるかどうか、株はこんなもんだという感覚をつかむために、まず取り組んでみてはどうでしょうか」(むらやんさん)

 なるほど、この方法なら株価が乱高下したり、上場廃止の可能性がある単銘柄ではないために、投資初心者も安心して、投資デビューができそうです。

 一方、投資生活が安定してきたかに見えたむらやんさん。しかし、第2の悲劇が待ち受けていたのです。

後編へ続く≫≫

●今回の取材先:むらやん さん

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