今回のポイントは?

 今回10月雇用統計のチェックポイントは、米国の雇用市場がハリケーンの痛手からどれだけ早く立ち直っているのか、ということです。

 前回9月の雇用統計は、ハリケーンの影響で、NFP(非農業部門雇用者数)が▲3.3万人までに落ち込みました。それまで83ヵ月間連続で毎月雇用者数が増え続け、BLS(米国労働省統計局)が統計を始めて以来の最長期間を更新中だったのですが、この記録もストップしてしまいました。

過去3ヵ月の推移と今回の予想値

_ 6月 7月 8月 9月 10月(予想)
失業率 4.4% 4.3% 4.4% 4.2% 4.2%
非農業部門雇用者 23.1万人 18.9万人 16.9万人 ▲3.3万人 31.0万人
平均時給 (前月比) 0.2% +0.3% +0.2% +0.5% +0.2%

 

10月の雇用者数は大幅増

 10月のNFPは、どうなっているでしょうか? 事前予想によると、+31.0万人へ大幅に増えています。

 これは先行指標のデータが強かったためで、10月19日分の前週分新規失業保険申請件数は、22.2万件まで減少。1973年3月以来の低水準となり、失業者がハリケーン前の水準以上までに下がっていることを示しています。

 またアトランタ地区連銀の報告によると、ハリケーンの災害に見舞われたにもかかわらず、9月は大幅な労働者人手不足状態となりました。仕事に復帰しようとする労働者の受け口が十分にあるわけで、その数は今月の雇用統計に反映されるはずです。

 

労働賃金は上昇しなくても、心配ない!?

 前回の平均労働賃金は、意外にも前月比+0.5%へと大きく上昇しました。その理由については、ハリケーンで仕事を失った労働者が低賃金層に片寄り、一方で高賃金雇用者の多くが残った結果、全体の時給が押し上げられたとの分析があります。

 したがって、今回の平均労働賃金が下がったとしても、それは多くの労働者が仕事を見つけたことを意味しているわけで、必ずしも悪いことではありません。そのうえで、もし平均賃金が前月と同水準を維持していたならば、それは大幅賃金上昇が起きていることになります。10月の平均労働賃金の予想は、前月比+0.2%(前回+0.5%)となっています。

 

ドル/円の気になるパターン

 そこで指標発表後のドル/円がどう動くかということですが、ここ数ヵ月は、雇用統計の結果にかかわらず発表後をピークにいったん下げ、そこから月の後半にかけて上昇して次の雇用統計を迎える、というパターンが続いています。

 10月を例にとると、9月雇用統計発表直後に113.43円をつけた後、月の半ばには111.68円まで下げました。そこから反転して、月末にかけて7月以来の円安水準である114円台まで戻しています。

 このパターンが繰り返されるならば、今回の結果がたとえ強かったとしても、ドル/円は素直に115円に向かわず、まずは円高方向へ調整する可能性もありえます。

 

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