新たに2つのビットコインが誕生予定
ビットコインがこの秋、さらに分かれて新たな2つの仮想通貨が誕生する予定です。
1つ目は10月24日にリリースされた、「ビットコインゴールド(BTG)」。
もう1つは、11月中旬頃に誕生する可能性がある、「Segwit 2x(B2X)」です。
これにより、ビットコインは11月中旬には4つまで分裂すると言われています。
(1)ビットコインゴールド(BTG)
10月24日にリリースされたビットコインゴールド(BTG)の分裂は、マイニングと呼ばれるビットコインの新規発行作業を、一般の人も参加しやすい形にしようという試みです。ビットコインのマイニングは、現状ASIC(特定用途向けのコンピューター集積回路)を利用するほうが有利な状態なので参加へのハードルがやや高い状態です。
ビットコインゴールドでは、今のビットコインに使用されている計算手順(アルゴリズム)ではなく、別の仮想通貨「Zcash」で使われているEquihash(エクイハッシュ)というアルゴリズムを採用することで、GPU(グラフィックスカード、画像処理向けコンピューター演算装置)によるマイニングが可能になるとされています。
これにより、ビットコインのような特別な演算機能は必要なくなるため、演算能力の高い特定の企業がマイニング市場を独占している現状を改善することを目的としています。
(2)Segwit 2x(B2X)
Segwit 2x(セグウィット・トゥーエックス、B2X)への分裂の目的は、ビットコインの取引データ処理能力を向上させようとすること(これをスケーラビリティといいます)によるものです。ビットコインの取引量の増加などで、台帳記録作業に長い時間がかかるようになってしまったことから、1つのブロックで処理できる取引データ量を増やし、秒間で処理できる取引量を増やすことを目的としています。
新しいビットコインの問題点
実際のところ、この2つの新ビットコインには不安定な要素があると指摘されています。どちらも、開発がうまくいっていないのではないか、テストが不十分なのではないか、またコインの取引を行う際に安全性は担保されているのか疑問符がつくという声も聞かれている状態です。
8月に分裂した「ビットコインキャッシュ(BCH)」は、マイニングを行う「マイナー」たちからの支持が継続しているためにネットワークは安定し、コインとして一定の取引高を維持しています。しかし、ビットコインゴールド(BTG)とSegwit 2x(B2X)は、ビットコインキャッシュ(BCH)と同様に分裂した後も安全に取引ができて、仮想通貨として存続できるかどうかは不透明な状況です。
現在指摘されているさまざまな不安要素が実際に存在した場合、取引後のトラブルも予想されるため、新たに誕生した通貨が存在し続け、その価格も上昇していくという保証はありません。
また、10月30日現在、ビットコインゴールド(BTG)の取り扱いについては、取引所によって対応がさまざまのようです。取り扱いを行うと明言しているところと、顧客の資産の安全性確保のために取り扱いを行わないとしているところがあります。
いまのところ、日本国内でも海外においても取り扱いをするとしている取引所のほうが少数派。各取引所とも、今後のマーケットの動向によりその都度判断し、対応を変えていくということなのでしょう。利用を考えている人は、それぞれの取引所の対応が異なる点に注意が必要です。
ビットコイン本体への影響は
ビットコイン本体を見てみると、ビットコインゴールド(BTG)の分裂前に価格高騰が見られました。分裂後は一時値下がりしたものの、また回復を見せています。分裂というイベントが終了した後は、ビットコインゴールドが今後のビットコイン自体の価格に影響を与える可能性はあまりないと見ることができるかと思います。
11月中旬に控えているSegwit 2xへの分裂。この前後にまた市場に影響が出ることが予想されるため、注意してマーケットを見守る必要がありそうです。
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