週末を駆け巡った「菅総理の総裁選不出馬」報道
9月3日の昼ごろ流れた「菅総理、自民党総裁選不出馬」の報。これを受け、日経平均株価は後場に入り急上昇、2カ月ぶりに2万9,000円を回復しました。
これにより自民党総裁選は一気に混とんの様相を呈し、誰が次期総裁に選ばれるかにより、11月までには行われる衆議院議員選挙の結果にも大きく影響を与えそうです。
国政選挙、特に衆議院選挙の結果は、その後の我が国の経済政策、財政政策、金融政策の方向性にも関わってくるため、国内外の投資家の注目度も高く、当然ながら株価に与えるインパクトも大きくなります。
また、金融政策、財政政策と株価の関係性は強く、一般的には引き締め寄りのスタンスを取る政権になると株価は下がりやすく、緩和寄りの政権では株価が上がりやすくなるものと思われます。
まずは9月29日の自民党総裁選挙の投開票結果が判明するまで、日々の思惑的な報道に株価も振り回され、乱高下するのではないでしょうか。
個人投資家がやってはならないこと(1)日々の株価の乱高下に翻弄
こんな中、個人投資家としてはいつも以上に気をつけておかないと、株価の乱高下に翻弄(ほんろう)されてしまいます。
例えば、総裁選に絡む報道で日経平均株価が500円値下がりしたため、その後の下げを心配して売ったら、翌日は逆に500円値上がりしたのであわてて買い戻す、でもその翌日急落したので買ったばかりの株を投げ売る…。こんなことを繰り返していたら、損失が日々ふくらんでしまいます。
余計な売買を繰り返すことにより、損失が積み上がっていくのを避けるためには、売買についてのルール、しかも日々の株価に翻弄されない客観的なルールを設定し、それを順守することが求められます。
個人投資家がやってはならないこと(2)将来の株価の決めつけ
もう1つやってはならないこと、それは将来の株価を決めつけて行動することです。
例えば次のようなものです。
「自民党総裁選は財政・金融緊縮派が当選するはずだ。将来の株価は下がるはずだから、今のうちから保有株は売却し、さらに空売りを仕掛けておこう」
「自民党総裁選は財政・金融緩和派が当選しそうだ。将来株価は大きく上昇するに違いないから、今のうちから大量に買っておこう」
でも、将来の事象、ひいては将来の株価がどうなるかを決めつけ、それに沿った投資行動をするのはリスクが高いことです。将来の予想が当たればもちろん大きな利益を得ることができますが、逆に予想が外れたならば大きな損失につながってしまう行為です。
ハイリスクであることを承知で、将来の株価がどうなるかを予測してそれにベットし、外れても仕方ないと初めから割り切って行うのであれば無理に止めることはしません。でも、大きな損失を防ぎたいのであれば、やはり将来の株価を予想してそれに賭けることは避けた方がよいでしょう。
筆者が考える個人投資家の現実的な対処法とは?
では、筆者は今後予想される株価の乱高下に対し、どのように対処しようとしているでしょうか。答えは「いつも通りのルールに従って行動する」です。
いつも通りのルールとは、25日移動平均線を超えたら買い、超えている間は保有を続け、割り込んだら売却して再度超えるまで様子見をする、というものです。
自民党総裁選や衆議院選挙の結果を踏まえ、株価が大きく変動する可能性も十分あります。そのときは、事前にどうなるかを予測するのではなく、結果を踏まえた株価の変動をこの目で確認した上で、株価が動いた方向に沿った行動をするつもりです。
つまり、株価が上昇して25日移動平均線を超えたならば株を買って保有し、株価が下落して25日移動平均線を割り込んだならば保有株は売って様子見する、といったようにすることです。
自民党総裁選や衆議院選挙を直前にして、買いポジションがふくらんでいるため、選挙後に株価が急落するのが怖い…というような方もいると思います。確かに、選挙後に株価が急落する可能性もあります。でも、そうならない可能性だって大いにあるのです。
したがって、筆者がそのような心配をする局面があれば、どちらに転んでもよいように、保有株が大きく下がってパニックになることがないような金額になるまで、保有株を売却してポジションを縮小します。
その上で、実際に株価が急落したらその後にポジションをさらに縮小すればよいですし、急落せず上昇したら売った株を買い直せばよいのです。
上か下か、どちらかに決めつけると予想が外れたときは悲惨です。リスクを取ってでも大きな利益を狙いたいなら別ですが、大きな損失を防ぎたいというのであれば、株価がどう動いても致命傷を負わないような行動を取ることをお勧めします。
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