大損を回避するには大損する可能性をできるだけ排除すればよい

 2021年ももう3分の2が過ぎようとしています。昨年とは異なり、今年の日本株は多くの銘柄が下降トレンドになっていることもあり、利益を出すのはかなり難しい状況です。

 筆者が相談を受けた個人投資家の中には、今年だけで30%とか、50%のマイナスになってしまっているという方もいます。

 株式投資は、やり方を間違えると大きな損失につながることがありますが、逆にいえば、大損する可能性が高い行動をできるだけ排除することで、大損のリスクを小さくすることができます。

 では、大損する可能性を減らすためにはどうすればよいか、今回のコラムでは銘柄選びという観点からお伝えしていきます。

大損する可能性が高い銘柄とは?

 大損する可能性が高い銘柄とは、言い換えれば、株価が大きく変動する可能性が高い銘柄です。

 具体的には「テーマ株」「成長株」「景気敏感株」です。

大損度が高いテーマ株

 テーマ株は、その時々で株式市場で注目されているテーマに関連した銘柄群で、短期間に株価が急上昇することが多いのです。

 ところが、株価上昇に業績の裏付けがないので、株価が天井をつけた後は急速に下落します。そのため、テーマ株を手掛けて売買のタイミングを誤ると、あっという間に大きな損失を抱えてしまいます。

大損度が高い成長株

 成長株は、投資家からの将来の業績成長の期待が高い分、株価が割高な水準にあるのが一般的です。

 投資家からの期待どおりの成長が続いている間は問題ないのですが、例えば成長が鈍化したり、投資家の期待を下回る成長となった場合、もともと割高気味に買われている分、株価が大きく下がってしまうのです。

 増収増益が続いているとしても、例えば増収増益の割合が年間30%から10%に下がるだけで、株価が半値以下になってしまうことも珍しくありません。

大損度が高い景気敏感株

 景気敏感株は、足元で株価が大きく上昇している海運株などが典型例ですが、景気により業績が大きく変動し、その結果株価の変動も大きくなるという特徴があります。

 海運株の過去のチャートをご覧いただくと分かりますが、天井をつけた後、高値から10分の1、20分の1まで下落するようなことも珍しくありません。

「業績が安定」「大型株」は株価の変動が小さい傾向

 このように、株価の変動が大きい銘柄は、株価が上昇する局面に上手に乗ることができれば、大きな利益をもたらしてくれる半面、株価下落時に適切なタイミングで売却・損切りをしないと、大きな損失を被ってしまう可能性が高まります。

 一方、株価の変動が小さい銘柄は、株価上昇局面でもそれほど大きな利益は期待できない一方、株価下落局面においても下げが相対的に小さくなるので、損失も小さく抑えられる可能性が高くなります。

 例えば、好不況にかかわらず業績がそれほど変動せずに安定している銘柄は、株価の変動も小さくなる傾向があります。

 また、小型株より大型株の方が一般的に、株価の変動はおだやかになります。

 小型株か大型株か判断する一つの基準が「時価総額」です。時価総額が大きく、かつ業績の変動が小さい銘柄であるほど、株価の変動が小さくなります。

銘柄選び以外で大損しないための注意点とは?

 このように、銘柄選びにおいて、株価が大きく変動しない銘柄を選ぶようにすれば、大損するリスクを抑えることができます。

 ただ、それだけではどうしても不十分になってしまいます。

 例えば、業績の変動が小さい銘柄を買った後、その銘柄の業績が突然大きく悪化するという可能性もあるからです。そうなれば株価も大きく下落してしまうでしょう。

 あるいは、「〇〇ショック」のような株価の急落局面では、株価の変動が小さい銘柄といえども、株価が30%、50%と下落してしまうこともありえます。

 したがって、「株価が短期間で大きく上昇しているときは買わない」「買った株の株価がどこまで下がったら売るかをあらかじめ決めておく」といったように、大きな損失を回避するような売買ルールを設定し、これを守ることを強くお勧めします。