今週の予想

日経平均が2万7,000円台での値固めができるかどうかに注目

 先週の日経平均株価は、当面の下値抵抗線だった52週移動平均線(2万7,247円)をアッサリ切って、一時2万6,954円まで下落し、終値は2万7,013円でした。ここから目先の下値のフシが見当たらず、チャートの流れとしては下向きになっています。

 これを阻止するには2万7,000円台で値固めをして、上昇の態勢に入ることですが、現在の新型コロナウイルスの感染者数が過去最高を更新し続けている状況では、日本の景気回復の懸念が生じ、外国人投資家は日本株を買いにくい状況となっています。

 唯一のサポート要因としては、NYダウ平均株価を始めとする主要3指数の動きですが、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録で、年内中にテーパリング(量的緩和の段階的縮小)があるとの見方もあり、米国株が短期的な調整気味になっているのが気がかりです。

 27日にはジャクソンホールで経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)が開かれ、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が講演予定ですので、今後の金融政策や量的緩和縮小の話に注目が集まります。

 ただ、先週末は量的緩和の縮小に関して、新型コロナのデルタ株が感染拡大した場合は、方針を修正するとダラス連銀総裁が発言したことで、早期の量的緩和縮小への不安が和らぎ、米株式は主要3指数そろって上昇し、シカゴの日経先物も+250円の2万7,260円となっていました。

 今週、日経平均が2万7,000円を守れるとすれば、米国頼りとなりそうです。新型コロナの米国内での感染再拡大によって米国経済にブレーキがかかるようであれば、FRBは金融緩和の継続に再び言及するかもしれません。

 今週の日経平均は下値を模索する場面があるかもしれませんが、低PER(株価収益率)など個別の割安株が物色される可能性があります。

 相場の方向性は、米国次第ということになりますので、日経平均のレンジは2万7,000円を挟んで上下500円というところでしょう。

 先週末は7カ月ぶりの安値をつけ、足元の予想連結PERは12.6倍の割安へ、また、騰落レシオは76%と売られ過ぎの80%以下に低下しており、目先、値頃感から買いが入ってもおかしくありませんが、問題は「買い手不足」の状況です。

 今秋の衆議院選挙を控え、政局不安が残る中、海外投資家を含め、積極的な買いは手控えられる状況にあります。今は米国の金融政策の方向などを確認するために、様子見の方がよいでしょう。

今週の指標:日経平均株価

 先週末、日経平均は一時2万7,000円を切ったことで、チャートは下向きの流れとなっており、2万7,000円台で踏ん張ることができるかどうかに注目です。

 また、今週26~28日にFRBの経済シンポジウムが開かれ、パウエル議長が講演予定で、テーパリングについての発言が注目されます。

 そして国内では、新型コロナ感染拡大に歯止めがかかるかどうかが注目です。

先週の動き

 先週も週末までは、米株式の史上最高値の更新が続き、為替も円安基調だったことで、8月15日(日曜で13日)信用期日が経過すれば、今月後半は上昇期待が持てる可能性もあるとしていました。

 しかし、米国で13日(金)に8月米ミシガン大学消費者信頼感指数が10年ぶりの低水準となったことや、為替も円高に傾いたこともあり、下落の可能性も出てきました。

 そのため一つのシナリオとして、52週移動平均線(2万7,247円)を終値で切るようなことがあれば、さらに下を試すとしていました。

 結局、週末は一時▲326円の2万6,954円まで下げて、終値は▲267円の2万7,013円でした。

今週の指標:NYダウ平均株価

 FRBによる年内の金融緩和縮小開始の思惑が強まる中、今週は26日から始まるカンザスシティー連銀主催の経済シンポジウムでパウエル議長が金融緩和縮小の具体的ヒントを出すかどうかが注目となります。

 新型コロナデルタ株の感染拡大の状況によっては金融緩和縮小にもストップがかかるという見方もあり、思惑から相場は荒い動きとなるかもしれません。

 ただし、低金利は長期にわたり維持されるとしており、2021年中の金融緩和縮小があったとしても、下げれば押し目買いとなりそうです。

先週の動き

 先週は、前週末の13日(金)に8月米ミシガン大学消費者信頼感指数が10年ぶりの低水準となったことで、為替が1ドル=110.24円から109.55円へドルが急落したことで、今週のNYダウは高値圏での一服を想定しました。

 週始めの16日(月)こそ+110ドルの3万5,625ドルと最高値を更新したものの、その後は17日(火)▲282ドル、18日(水)▲382ドル、19日(木)▲66ドルの3万4,894ドルと3日続落となりました。

 週末の20日(金)は、ハイテク株が買われて相場を下支えし、+225ドルの3万5,120ドルで終わりました。

今週の指標:ドル/円

 FRBは、金融緩和策を縮小する方向に動いてきていますが、足元の経済指標がマチマチのため方向感が出にくくなっています。雇用は改善してきているものの、パウエルFRB議長は、これまでの方向性を維持する可能性があります。

 とはいえ、米国経済の正常化に向けてテーパリング開始への期待が強く、ドルが買われやすいといえます。そのため、経済正常化への期待が持続し、ドルは底堅い動きになるとみられます。

先週の動き

 先週は、8月16日の中国小売売上高と7月鉱工業生産指数が予想を下回ったことや、新型コロナの感染拡大もあり、リスク回避的な円買いが観測されました。

 しかし、安全資産としてのドル買いも根強く、ドル/円は下げ渋りました。さらに7月のFOMC議事録で段階的な金融緩和の縮小が必要とされ、ドル買い材料となりました。

先週の結果

週半ばまで2万7,500円水準でもみ合った後、一時2万7,000円割れ

 先週の予測では、現状のジリ高のような状況を抜けて上に向かう場合は、日足のチャートではなく、週足の13週移動平均線のようなものを上に抜く必要があるとしました。

 しかし、現状の環境では厳しく、逆にさらに下値を探るとすれば、下のフシは52週移動平均線(2万7,247円)しかなく、ここを抜けると、下にはフシらいしいフシもないので2万7,000円を切る可能性がありました。

 20日(金)は悪材料だらけでした。国外では7月FOMC議事録でテーパリングが年内に始まるという見通しを受け、商品先物が軟調となりました。

 国内では、新型コロナの感染者数が増加し続けており、これに19日のトヨタの大幅減産も追い打ちをかけました。

 また、やや円高への動きも出ていました。

 そして、上海株式、ハンセン指数も軟調だったことで、52週移動平均線(2万7,247円)をアッサリ切って、一時▲326円の2万6,954円と2万7,000円を割り、終値ではなんとか▲267円の2万7,013円と2万7,000円を守りました。

 2万7,000円を切っても早い段階で2万7,000円台での動きを定着させなければ先行きは厳しくなります。

 先々週は、2日間ほど2万8,000円に戻していましたが、先週は2万7,500円水準でもみ合った後、2万7,000円を週末に一時的に切る動きとなり、流れとしては下向きになっているように見えます。

 週末の米国市場は、ハイテク株が相場をけん引し、NYダウは4日ぶりに+225ドルの3万5,120ドルと3万5,000ドル台を回復し、主要3指数そろって上昇しました。シカゴ日経先物は、2万6,845円まで下げた後、反発し、+250円の2万7,260円で引けました。