2021年中間決算は予想上振れ、積極的な土地取得も財務は健全

現地コード 銘柄名
00123

越秀地産

(ユエシュウチサン)

株価 情報種類

7.34HKD
(8/19現在)

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 広州市政府系の不動産デベロッパー、越秀地産の2021年6月中間期の売上高は、前年同期比2.2%増の242億3,600万元と、BOCIの予想(横ばい)からやや上振れた。増収率が小幅にとどまったのは、収益計上時期のブレに伴う前年同期実績の高さなどが原因。粗利益率は予想通り、26.8%へ1.2ポイント低下し、粗利益は2.4%縮小した。半面、財務費用の低減や合弁会社・関連会社の貢献度の上昇により、コア純利益は5.5%増の21億元と、BOCIの予想(小幅減)を上回る水準だった。BOCIは新規プロジェクトを反映させる形で、2021-2023年の予想EPS(1株当たり利益)2.8-2.9%増額修正。目標株価を3.9%引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 経営陣が設定した2021年通期の物件成約目標は前年比17%増の1,122億元。これに対し、1-7月の成約実績は525億元。目標達成率は47%と、2020年通期成約額に占める1-7月の割合(46%)をやや上回るペースだった。BOCIによれば、この先年内の分譲対象物件は推定1,341億元に上り、成約率44.5%を確保すれば、目標達成は可能。この場合、8-12月の成約額は前年同期比15%の伸びを示すことになる。

 2021年上期には、成約面積180万平米を大きく上回る500万平米(床面積換算)相当の新規用地を取得した。地方級の国有企業である同社は、土地取得において有利。TOD(公共交通指向型開発:公共交通機関を基盤とした自動車に依存しない都市開発)プロジェクトや、都市運営、都市再生プロジェクト、国有企業間の協業、業界主導型のM&Aといった複数のチャネルを通じ、土地を調達することが相対的に容易という。

 上期に確定したTODプロジェクトは、通期目標の100万平米に対して21万平米弱(1件)にとどまったが、経営陣は広州地鉄集団(GZM)との提携関係に変化はないとし、複数の要因が進捗状況を左右すると説明している。

 一方、積極的に土地を取得しているにもかかわらず、財務は引き続き健全。政府が導入した債務上限規定「3本のレッドライン」においても、最良の“グリーン”ステータスを維持している。純負債比率は2021年6月末に49.8%と、2020年末の47.5%からやや上昇したものの、2020年6月末の71.2%を下回る水準。実効金利は2021年上期に4.45%と、前年同期の4.71%からさらに低下した。

 BOCIは新規プロジェクトの価値を上乗せする形で、予想NAV(純資産価値)を3.9%上方修正し、1株当たり18.09HKドルに設定した。現在株価は2021年予想PBR(株価純資産倍率)0.4倍と、予想NAVに対して59%のディスカウント水準にあるが、2021年の予想配当利回りは9.1%の高水準。BOCIは同社の低リスクと成長見通しの明確さを評価し、現バリュエーションの魅力を指摘している。一方、潜在的なリスク要因としては、不動産引き締めによる成約ペースの減速の可能性を挙げている。