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気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change、『IPCC』)には、各国政府を通じて推薦された科学者が参加しており、数年ごとにその間の気候変動に関する科学研究から得られた最新の知見を評価した報告書が公表されています。今回公表された最新の報告書では、二酸化炭素(CO2)の実質排出ゼロを達成しなければ、今後も温暖化による自然災害が増加すると示されました。
【ポイント1】国際交渉に強い影響力を持つと言われる『IPCC』の報告書
『IPCC』は、1988年に国連環境計画と世界気象機関により設立されました。その報告書は、科学的な分析や、社会経済への影響、気候変動を抑える対策などが盛り込まれており、国際的な対策に科学的根拠を与える文書と見られ、国際交渉に強い影響力を持つと言われています。8月9日には、『IPCC』の第6次評価報告書のうち、第1作業部会報告書(自然科学的根拠)の政策決定者向けの要約が公表されました。
【ポイント2】温暖化はさらに加速、CO2の実質排出ゼロが必要
地球温暖化のスピードは、前回2018年の報告書よりも加速しています。『IPCC』の報告書で示された複数のシナリオのいずれにおいても、CO2及びその他の温室効果ガスの排出を大幅に減少させない限り、世界平均気温は2021~2040年に産業革命前と比べて、少なくとも+1.5度は上昇すると予測しています。これは、前回の報告書よりも10年ほど早く+1.5度の温暖化が進む予測です。
また、化石燃料への依存が続く最悪の場合には、今世紀末には最大で+5.7度になると試算されています。今報告書では、今後自然災害を増やす温暖化を抑えるためには、CO2及びその他の温室効果ガスの排出を実質ゼロにする必要があると指摘しています。
【今後の展開】生活を守り、生きて行くためにも、脱炭素は必達の目標
世界平均気温は21世紀に入ってから上昇が加速しており、現時点で産業革命前と比べて既に約1度上昇しています。今後は今まで以上の気温上昇が予測されており、熱波による死者の増加、山火事の頻発、永久凍土の融解による海面上昇に伴う水害の拡大や有害ガスの排出、さらには居住地域の水没なども考えられます。昨今、企業での脱炭素を目指す取り組みが続々と見られていますが、私達の生活を守るため、ひいては「生きて行くため」にも、脱炭素は必達の目標であると言えます。11月には第26回国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP26)の開催が予定されており、国別の排出削減を達成するために、今後どのような政策や具体的な取り組みが示されるのか、その動向に注目です。
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