※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の天海源一郎が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
[動画で解説]10万円で投資可能な株主優待銘柄10選。消費関連株と主力株から選定!
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★筆者が選ぶ10万円株は2ページ4ページに掲載しています。

意外に底堅い動きをする消費関連株

 コロナウイルス感染拡大を抑制するための「緊急事態宣言」は、政府によってこれまで大枠で3回発出されています。感染の状況に合わせ対象地域や対策は追加され、期間も延長されています。

 ワクチン接種はこの2月から医療従事者を皮切りに世界でも類を見ないスピードで進んでいますが、目立って緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を緩和するまでには至っていません。

  • 【緊急事態宣言1回目】2020年4月7日~5月25日

飲食店、スポーツジム、ライブハウスなど幅広い業種が休業要請の対象に

  • 【同2回目】2021年1月8日~3月21日

飲食店に対して午後8時までの営業時間の短縮を要請

  • 【同3回目~】2021年4月25日~

飲食店への対策が強化され酒類提供停止要請、店舗や劇場の休業要請なども

「飲食店(=外食業)」は、常に制限対象とされています。酒類を提供する業態には強い逆風となっていることが容易に想像できます。

 上場企業のうち「外食業」の売上高ランキングは以下ですが、ここではとくに居酒屋を主業とする「コロワイド(7616)」の株価と緊急事態宣言の動きを確認しておきましょう。

【外食業売上高ベスト5】

1位 ゼンショーホールディングス(7550)6,304億円(2019~2020年)    
「すき家」、「なか卯」、「ジョリーパスタ」など

2位 すかいらーくホールディングス(3197)3,753億円(同)
「ガスト」、「ジョナサン」、「バーミヤン」、「夢庵」など

3位 日本マクドナルドホールディングス(2702)2,817億円(同)
「マクドナルド」

4位 コロワイド(7616)2,353億円(同)
「手作り居酒屋 甘太郎」、「牛角」、「かっぱ寿司」、「フレッシュネスバーガー」など

5位 吉野家ホールディングス(9861)2,162億円(同)
「吉野家」、「はなまるうどん」、「京樽」など

【コロワイド株の推移(2年週足チャート)】

 水色の網掛け部分は下記期間。

  • 【緊急事態宣言1回目】2020年4月7日~5月25日
  • 【同2回目】2021年1月8日~3月21日
  • 【同3回目~】2021年4月25日~
赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

 興味深いことに気が付きます。1回目と2回目の緊急事態宣言下において、期間途中から株価が目立った反発をしていることです。「そろそろ緊急事態宣言終了にメドがついたのでは?」と思える時期になると、投資家は安値買いに出ていることになります。

 また、多くの期間で営業制限を受けながら、現状、コロナ前の株価水準と比べても1割程度安い水準にとどまっていることも特筆すべきことです。もしかすると「コロナ禍でも利益を上げる態勢を確立している」と投資家が見ているのかもしれません。

 実際、8月6日にコロワイドが発表した2021年4-6月期の連結決算(国際会計基準)は、最終損益が7億1,900万円の黒字と前年同期41億円の最終損失から浮上しています。

 ひとたび新規感染者が減少傾向を示すと、外食株だけでなく消費関連株全般の出直りが見られる可能性があると思われます。ここでは株主優待を実施していて、10万円以下で投資可能な消費関連株を取り上げます。

株主優待ありの消費関連10万円株

 株価データは2021年8月18日終値ベース。

アイケイ(2722・東証1部)

 カタログ通販会社で生協向けに強みを持ち、テレビショッピングも手掛けています。

 保有株式100株以上、継続保有期間1年以上の株主に買物券が贈られます。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

三越伊勢丹ホールディングス(3099・東証1部)

 百貨店首位企業で、新宿伊勢丹、日本橋三越は全国屈指の売上高を誇ります。

 保有株式100株以上の株主に「優待カード(割引券)」が贈られます。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387・東証1部)

 ショッピングセンター内にレストランやカフェを展開しています。

 保有株式100株以上の株主に「食事券」が年2回贈られます。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

リネットジャパングループ(3556・マザーズ)

 中古本などの買い取り・販売「ネットオフ」や、パソコンなど小型家電の回収、カンボジアでの中古車販売などを展開しています。

 保有株式100株以上の株主に「中古品買い取り査定アップ」特典と「買物券」が贈られます。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

TSIホールディングス(3608・東証1部)

 レディスアパレル大手、東京スタイルとサンエーの統合企業です。

 保有株式100株以上の株主に、自社ブランド品20%割引優待券または1,000円の金券が贈られます。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

多くの“懸念”は織り込まれ、主力株の反発につながる公算

 このほか「“懸念”によって下げた主力株」の戻りにも期待したいところです。

 目下の懸念は、「国内のコロナ感染拡大」に加え、「中国当局の企業に対する規制」、さらには新たに「アフガニスタンの政情不安」が主なことで、いずれも株価の上値を重いものとしています。

 中国当局は大手IT企業に対する情報統制や、教育産業に対する強い規制を行いましたが、その後、他の産業に規制を広める姿勢は見せていません。

 アフガニスタンの政情不安は、同国に駐留していたアメリカを始めとする多国籍軍が撤退を始めた時点から、イスラム勢力「タリバン」が勢力を強め、ついに権力を掌握したものです。

 仮にアメリカなどが再び派兵することになると「地政学的リスク」が意識されることになりますが、今のところバイデン米大統領は、前政権から続くアフガニスタン撤退を進めるとして、軍事行動を取る姿勢は示していません。

 多くの懸念は時間の経過とともに株価に織り込まれる可能性があります。この観点から、やはり主力株の出直りに期待することになります。

 ここでは株主優待を実施していて、10万円以下で投資可能な主力株を取り上げます。

10万円で投資できる株主優待ありの主力株

 株価データは2021年8月18日終値ベース。

INPEX(1605・東証1部)

 原油・ガス開発生産の国内最大手企業です。

 400株以上1年以上継続して保有する株主に「QUOカード」(1,000円~)が贈られます。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

王子ホールディングス(3861・東証1部)

 パルプ・紙の国内最大手、世界でも有力企業です。

 保有株式1,000株以上、継続保有期間半年以上の株主に「グループ製品カタログギフト」が贈られます。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

コニカミノルタ(4902・東証1部)

 複合機など事務機器の中堅企業です。

 保有株式100株以上の株主に「オリジナルカレンダー」が贈られます(12月)。

 

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

日産自動車(7201・東証1部)

 自動車大手企業、仏ルノー・三菱自との「3社連合」の主軸です。

 保有株式100株以上の株主および株主の紹介者が日産車を購入した場合、双方に5,000円相当のギフト券などが贈られます。

 

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

コンコルディア・フィナンシャルグループ(7186・東証1部)

 傘下に地銀首位級の横浜銀行と東日本銀行を擁する金融グループです。

 保有株式500株以上の株主を対象に「定期預金金利上乗せ」や「外貨両替レート割引」など優遇があります。

 

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)