今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは111.75

下値メドは110.10

アディダス、リーボックを売却へ

 12日(木曜)のドル/円は、横ばい、高値圏でもみあい。高値110.55円、安値110.32円、1日の値幅は0.23円。

 この日は110.39円からスタート。前日発表された米国の7月CPI(消費者物価指数)は、インフレの強さを示しながらも峠を越した兆候も見られ、ドル買いの勢いも鈍り気味。米国の7月卸売物価指数(PPI)が予想を上回ったことをきっかけに、NY時間にようやく110.55円まで上昇。その後110.32円まで下げて安値。過去2日間の安値近辺(110.29円、110.31円)止まりました。終値は110.43円(前日比▲0.01円)。

 米10年債利回り1.3%という水準が、ドル/円が110円台を維持できるかどうかの条件のひとつと考えます。この日は1.36%まで強含んでいるので、ドル/円も支えられています。

 7月の米CPI(消費者物価指数)は、過去数カ月に比べると落ち着きを見せました。インフレ急上昇の犯人だった中古車価格が下がってきたからです。インフレが一時的かどうかは、今回のデータだけでは判断できませんが、少なくともハイパーインフレの兆候はどこにも見られません。

 先月末のFOMC(米連邦公開市場委員会)のパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、緩和縮小の開始時期を曖昧にしたままでした。そのため米利上げ期待はいったん後退したのですが、マーケットの雰囲気は今、完全に変わっています。FRBの政策リーダー的存在であるクラリダ副議長が2013年の米利上げに支持を表明し、それに続いて複数の連銀総裁が緩和縮小に対して肯定的な発言をしたことが理由。しかしパウエルFRB議長の考えはどうなのか?来週17日(火曜)に発言をする予定ですが、これは聞き逃せません。

 9月のFOMCで緩和縮小を決断するために、絶対に乗り越えなくてはならないハードルがあります。それが雇用統計とCPI(消費者物価指数)。雇用統計の第1回目は先週クリア。しかし、7月CPIの1回目は、マーケットの点数は「不合格」。9月FOMCまでに、雇用統計とCPIはあと1回ずつ残っていますが、ジャクソンホールでパウエルFRB議長が緩和縮小を示唆するかどうかは微妙になってきました。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

主要指標 終値

出所:楽天証券作成

今日の一言

仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する - パーキンソンの法則

バン・バン・バン

 FRB(米連邦準備制度理事会)は、物価上昇は起きているとしても、一過性であるという考えを堅持しています。しかしFRBがどう考えていようが、マーケットにとっては関係ないことです。FRBが間違っていた場合と本当に正しかった場合の、どちらのリスクを取るべきかで迷っているだけです。

 今週発表されたインフレ指標を見る限り、FRBはもうインフレを無視することはできない。インフレ上昇を示すデータに対してFRBが「一過性」というコメントで対応するほど、状況はかえって悪化するだけです。いずれにしても、FRBはこれ以上に「ハト派」にはなれないし、政策ガイダンスの変更は時間の問題です。FRBが決定を引き延ばすほど、それが起きたときたときのインパクトは大きくなる。

 マーケットが警戒しているのは「テーパー・タントラム」。「テーパー・タントラム」とは、8年前の2013年5月に、当時のFRB議長のバーナンキ氏が量的緩和の縮小(テーパリング)を示唆したことが引き金となって巻き起こった国際金融市場の大波乱のことです。

 今月のジャクソンホールで「テーパー・タントラム」が発生するのか。その可能性はゼロに近い、といわれています。しかしクラリダFRB副議長の発言に対するマーケットの反応を見ると、いくらわかっていても冷静に振る舞うことは難しい。FRBが気をもたせるほど、かんしゃく玉(タントラム)は大きくなり、爆発したときの威力も大きくなります。

今日の注目通貨

ドル/円:予想レンジ ↑111.52円、↓108.25円

 ドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は109.88円。109.88円より上ならばドル買い優勢、109.88円より下ならばドル売り優勢。

 2021年これまでの高値は111.66円、安値は102.59円。平均値は107.13円、値幅は9.07円。
1日の最大値幅は1.14円、最小値幅は0.18円。平均値幅は0.57円。
先週末の終値は、2020年終値に比べて6.37円の円安。

112.40円 :     2019年 高値(19年04月24日)
112.22円 :     2020年 高値(20年02月20日)
112.14円 :     第4レジスタンス(HBO)

111.66円 :     2021年 高値
111.52円 :     第3レジスタンス

110.89円 :     第2レジスタンス 
110.80円 :     08月 高値
110.70円 :     第1レジスタンス
110.01円 :     08月 61.8%

109.88円 : ピボット

109.76円 :     08月 平均値
109.52円 :     08月 38.2%
109.06円 :     第1サポート

108.87円 :     第2サポート
108.72円 :     08月 安値
108.25円 :     第3サポート

107.62円 :     第4サポート(LBO)
107.32円 :     2019年 安値

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

2021年 ドル/円データ