今週の予想

米株式堅調ならば、日経平均は2万7,000円台後半~2万8,000円台前半でのもみ合い

 今週も国内的には新型コロナウイルスの感染状況が、引き続き株価を左右することになりそうです。

 新型コロナ感染拡大抑制のために発出された緊急事態宣言の効果が見られず、感染者の増加傾向が続くとみられ、相場に重荷になりそうです。

 一方、企業決算は終盤に入り、今週も前週と同水準の1,100以上の企業決算数となります。

 先週、個別には大幅に上方修正する企業も見られ、部分的には活況でした。しかし、外部環境は、新型コロナ感染動向や菅政権の求心力の低下など不透明要素がくすぶり、外国人投資家には本格的な買いがまだ期待できそうにありません。

 3連休明けの本日10日(火)からは、7月の米雇用統計の上方修正を受けて、NYダウ平均株価とS&P500種株価指数が史上最高値更新と、米国市場が引き続き堅調であれば、日本株にとっては追い風となるかもしれません。

 ただし、2万8,000円を突破するには、まず日経平均株価の上に位置する200日移動平均線(2万7,906円)、25日移動平均線(2万8,076円)の二つの移動平均線を上回る必要があります。つまり、条件としては、2万8,100円を終値で突破する必要があります。

 目先は2021年2月16日の3万714円の年初来高値から6カ月後の8月15日(休日のため前営業日の13日)の信用期日を通過することがポイントとなります。新型コロナ感染のスピード低下、米株式の堅調さが継続すれば8月後半は、反発に転じる可能性は高いといえます。

 この時、好業績銘柄が大きく下がれば、買いチャンスとなります。

今週の指標:日経平均株価

 今週は3連休明けで、米国の7月雇用統計が市場予想を上回って、NYダウ、S&P500が史上最高値を更新したこともあり、米国株が引き続き堅調であれば、日本株式には追い風となりそうです。

 しかし、新型コロナの感染拡大のスピードが止まっておらず、上値は重く2万8,000円は目先の上値のフシとなります。上値を抜くには25日移動平均線(2万8,076円)、200日移動平均線(2万7,906円)の二つの移動平均線を突破する必要があります。

 年初来高値の信用期日が8月15日(休日のため前営業日の13日)に到来しますので、ここを通過すれば8月後半は上昇が期待できます。

先週の動き

 先週の予測では、国内の新型コロナ感染拡大のスピードと企業決算の内容をにらみながら、2万6,900~2万7,800円の中でのもみ合いを想定しました。このもみ合いの下値で動く場合は、感染拡大のスピードが早まり、米国株式が最高値から一服すれば、信用期日前に銘柄が売られてくるところでしたが、米国株は最高値更新の状況となったことで、週末は2万7,800円水準での動きとなりました。3連休前ということもあり様子見気分が強く、好決算の個別株物色で底堅い動きとなりました。ただし、上値を追うには材料不足というところでした。

今週の指標:NYダウ平均株価

 今週も引き続き、もみ合いながら底堅い展開となりそうです。8月の相場は弱いという季節的要因よりも、FRB(米連邦準備制度理事会)の早期の金融引き締めや新型コロナデルタ株の感染拡大などに対し、企業利益の力強い伸びが相場をサポートすることになりそうです。

 また、米上院はインフラ事業を巡り協議を続ける予定で、さらに回復期待を後押しすることになります。

先週の動き

 新型コロナデルタ株が米国でも拡大しており、売られる場面はありますが、7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で金融緩和を解消するには、まだ時間がかかるとのFRB議長の発言もあり、経済の回復期待から相場を後押しすることになります。

 結果的には、新型コロナデルタ株の感染拡大よりも企業の好決算に目が向き、経済指標も予想を上回るものが多かったことで、主要3指数は交互に史上最高値を更新する動きとなりました。

 週末の8月6日(金)は、注目の7月米雇用統計は市場予想を上回り、失業率も1年4カ月ぶりの低水準となったことで、NYダウとS&P500は史上最高値を更新して引けました。

今週の指標:ドル/円

 今週のドルは下げ渋りの可能性があります。先週末の7月米雇用統計の改善を受けて金融緩和策の縮小時期は多少早まるとの見方が出ています。8月11日発表の7月米消費者物価指数は引き続き高水準が予想されており、予想を上回った場合は、リスク回避的なドル売りは、さらに縮小する可能性があります。

 また、ニュージーランド、カナダを除く主要中央銀行は、金融緩和策を保持する方針を示しており、金利要因でドル安が進行する可能性は低いとみられています。

先週の動き

 週後半は、新型コロナデルタ株の感染拡大で米国の景気回復を妨げるとの見方から、リスク回避のドル売り・円買いが優勢となり、また8月4日の7月ADP雇用統計は市場予想を下回ったことで、ドル/円は108.72円まで売られました。しかし、6日の7月米雇用統計は予想を上回り、リスク選好的なドル買いとなって1ドル=110.25円で引けました。

先週の結果

米国株式は堅調。日経平均の上値は重いものの2万7,800円台まで反発

 先週の予測では、引き続き新型コロナ感染拡大のスピードの懸念と2021年4-6月期決算が本格化するため2万7,500円を挟んだもみ合いを想定しました。

 2万7,500円以上での動きとなる場合は、米国株で最高値更新が続く場合、2万7,500円以下での動きとなる場合は、米国株がいったん一服となる場合であり、その場合は2021年2月16日の3万714円の年初来高値の信用期日が8月中旬に近づいていることで、投げ売りが出て大きく下げる場合もある(2万7,000円を切る局面)としました。

 結果的に先週は、国内の新型コロナ感染拡大のスピードは高まっているものの、米国株のS&P500とナスダック総合株価指数は週後半に史上最高値更新となり、日経平均の上値は重いものの2万7,800円水準まで上昇して終えました。

 決算発表をめぐっては、期待されていた4日発表のトヨタが第1四半期の連結営業利益が市場予想を大きく超過しましたが、2022年3月期の通期業績予想の増額を見送ったことで失望売りとなりました。しかし、早晩、見直し買いに転じるとみられています。

 また、好業績に素直に反応して急騰する銘柄も目立っており、約6割の東証1部の企業が3月期決算の開示を終えた5日時点で、第1四半期(2021年4-6月)の営業利益の合計は前年同期比で4.5倍に達しているということです。今後、企業収益の着実な回復を材料視する買いが下値を支えることになりそうです。

 6日(金)の米国市場は、7月の雇用統計が予想を上回ったことで、NYダウとS&P500が最高値更新となりました。非農業部門雇用者数が前月比94万3,000人と増加し、前月の93万8,000人に続く伸びとなりました。米経済が力強い勢いを保ったまま下半期に入ったことが確認されました。

 また、賃金が上昇し、失業率は約1年4カ月ぶりの低水準となりました。これによって日本株の下支えとなって上値を試すきっかけ待ちとなりそうです。為替は1ドル=110.25円の円安となり、シカゴ日経先物は+35円の2万7,875円となっています。