上海燃気との資本提携、シナジー期待もEPSが大幅に希薄化へ

現地コード 銘柄名
01083

港華燃気控股

(タウンガス・チャイナ)

株価 情報種類

5.11HKD
(8/2現在)

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 ホンコン・チャイナガス傘下の都市ガス会社、タウンガス・チャイナのガス販売量は2021年1-5月に前年同期比30%増加したが、連結ベースではこれより小幅の伸びにとどまった可能性が高い。また、2020年後半に広東省仏山市のセラミック産業界で大々的に「煤改気」(石炭からガスへのエネルギー利用の切り替え)が進んだ影響で、2021年の利幅は低下する見込み。ライフスタイルストアの出店計画も、今のところ進展を見せていない。さらに同社は上海燃気との資本提携に絡み新株発行を予定しており、EPS(1株当たり利益)はこの先大幅に希薄化する見込み。BOCIは2021年の予想EPSを5%増額修正する半面、2022年、2023年に関しては3%、14%減額修正。株価の先行きに対するこれまでの強気見通しを、中立的に引き下げた。2022-2023年のEPS成長見通しを考慮した場合、現在株価のバリュエーションは魅力に欠けるとし、改めて投資チャンスを待つほうが得策としている。

 1-5月のガス販売量の30%増を支えたのは産業顧客向けの力強い伸び。同社が38.7%を保有する仏燃能源集団(002911)がけん引役となった可能性が高い。2020年後半に仏山市のセラミック産業で一気に「煤改気」が進み、仏燃能源集団のガス販売量は2020年下期に上期比55%増の17億立方メートルを記録していた。こうした点を考慮すれば、仏燃能源集団を含まない連結ベースの販売量の伸びは相対的に小幅だった可能性が高い。

 また、仏燃能源集団は「煤改気」を行う上でのインセンティブとして、仏山市のセラミック産業向けにガス価格の引き下げを約束しており、2021年には利益率が小幅に悪化する見込み。実際、仏燃能源集団が示した2021年通期決算見通しは、前年比50-80%の増収に対し、増益率はわずか5-20%。21年1-3月期の段階では、売上高が前年同期比87%増、純利益は同37%増の7,100万元だった。

 一方、タウンガスはガス器具や食器棚、ガス関連保険に加え、グルメや健康関連商品を扱うライフスタイルストアの展開を計画している。ただ、2021年に20店舗の開業を予定しているにもかかわらず、上期の段階ではゼロ。計画に遅れが生じているとみられる。

 同社は7月中旬、同業の上海燃気の株式25%を47億元で取得した。続く第2段階では、タウンガス側が発行済み株式総数の3分の1に当たる新株を同額で、上海燃気に割り当てる。これにより、2022-2023年のEPSは大幅に希薄化する運びとなる。

 BOCIは目標算出基準を2021年予想PER(株価収益率)8倍から同9倍に変更したのに伴い、目標株価を引き上げた。9倍との数字は最近の株価レンジのほぼ中央値であり、2021年予想ROE(自己資本利益率)が8%を超える点を考慮した。上海燃気とのシナジー効果に期待しながらも、まずは新株発行によるEPSの希薄化やROEの低下を懸念。株価の先行きに対する見通しを中立的に引き下げている。一方、今後のレーティング引き上げにつながる潜在的な支援材料としては、ライフスタイルストア事業の予想以上の成長やガス販売の好調を挙げている。