7月23日(金)、国立競技場が無観客の中、世界各国から優秀なスポーツ選手たちが集まり、東京2020オリンピック開会式が行われました。その夜、米国株式市場を代表する主要3指数であるNYダウ、S&P500、NASDAQがそろって史上最高値を更新しました! その一方で、中国株式市場は大幅安となり、チャイナリスクが再び懸念されました。

7月の米国市場主要3指数が史上最高値を更新!

<直近3カ月間のNYダウ指数の推移> 

出所:楽天証券ウェブサイトより

 7月中旬から、米国企業の2021年4-6月期の決算発表シーズンが始まりました。市場予想を上回る企業の好決算が相次ぎ、ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場の「優良株30銘柄」から構成される「ダウ工業株30種平均」は、7月23日に終値で初めて3万5,000ドルに乗せ、史上最高値を更新しました。

 また、7月のS&P500とNASDAQ指数は、調整局面にありながらも、最高値を更新しました。

7月の中国株式市場は大幅下落!

<直近3カ月間の香港ハンセン指数の推移>

出所:楽天証券ウェブサイトより

 米国株式市場が好調である一方、中国本土市場と香港市場は、中国当局によるIT企業や教育産業に対する規制強化への警戒感が強まり、7月最後の一週間で大きく下落する展開となりました。上海総合指数の7月の騰落率は5.4%安、香港ハンセン指数が9.9%下落しました。また、米国市場に上場している中国ハイテク関連株と教育関連株も大幅安となりました。

2021年7月 個人投資家に人気だった銘柄は?

2021年7月 米国株式買付代金ランキング

順位 ティッカー 前月順位 銘柄名 関連するテーマ
1 NVDA 1 エヌビディア 半導体関連
2 AMZN 9 アマゾン・ドット・コム 小売
3 VOO 2 バンガード・S&P 500 ETF ETF、S&P500
4 AAPL 11 アップル スマホ、PC
5 MRNA 17 モデルナ バイオ医薬製品
6 QQQ 6 インベスコQQQ 信託シリーズ1 ETF、ナスダック100
7 VTI 7 バンガード・トータル・ストック・マーケットETF ETF、米国株式
8 SOXL 5 Direxion デイリー 半導体株 ブル 3倍 ETF レバレッジETF、半導体
9 SPXL 14 Direxion デイリー S&P 500 ブル 3倍 ETF レバレッジETF、S&P500
10 MSFT 13 マイクロソフト ソフトウェア、PC
※楽天証券内買付代金ベース。2021年7月1日~7月30日、国内約定日ベース。

 楽天証券における7月の月間買付代金ランキング・米国株式部門のトップとなったのはエヌビディア(NVDA)でした。5月21日に1対4の株式分割(権利落ち日: 7月20日)を発表して以降、株価は急上昇していました。6月に続き、投資家から買いが集まり、ランキング1位をキープしました。

 上位10銘柄のうち、個別銘柄とETF(上場投資信託)がそれぞれ5銘柄ずつランクインしました。アップル(AAPL)アマゾン(AMZN)マイクロソフト(MSFT)などデビュー者に人気の銘柄が上位に集まる中、日本で大規模の職域接種に使用されている新型コロナワクチンを開発したモデルナ(MRNA)も人気となっていました。そのほか、S&P500指数やNASDAQ指数に連動するETFも注目されていました。

2021年7月 中国株式買付代金ランキング

順位 ティッカー 前月順位 銘柄名 関連するテーマ
1 700 1 騰訊控股 (テンセント・ホールディングス) インターネットサービス大手
2 9988 4 阿里巴巴集団控股 (アリババ・グループ・ホールディング) ネット通販大手
3 1211 3 比亜迪 (BYD) 自動車・電池メーカー
4 2800 6 Tracker FUND OF HONG KONG (トラッカー・ファンド・オブ・ホンコン) ハンセン指数連動のETF
5 2318 8 中国平安保険集団 (ピンアン・インシュランス) 金融(保険)
6 257 7 中国光大環境 (チャイナ・エバーブライト・エンバイロメント・グループ) 環境関連
7 460 37 中国光大環境 (チャイナ・エバーブライト・エンバイロメント・グループ) 医薬品の製造・販売
8 1810 2 小米集団 (シャオミ) スマホ大手
9 175 13 吉利汽車 (ジーリー・オートモービル) 自動車の製造・販売
10 941 16 中国移動(香港) (チャイナ・モバイル) 通信大手
※楽天証券内買付代金ベース。2021年7月1日~7月30日、国内約定日ベース。

 楽天証券における7月の月間買付代金ランキング・中国株式部門のトップとなったのはテンセント(700)で、2カ月連続で1位でした。中国当局によるネット企業への締め付けに続き、オンラインゲームが未成年者に与える悪影響を懸念し、テンセントの旗艦ゲーム「王者栄耀」を批判したことが売り材料となりました。

 また、テンセント(700)とアリババ集団(9988)の7月末の株価はいずれも今年2月の高値から3割を超えて下落しました。

ランキング上位の銘柄について、最近の動向を確認

モデルナ(MRNA)

出所:楽天証券ウェブサイトより(直近3カ月間日足チャート)

 日本では現在、ファイザー社製とモデルナ社製の新型コロナワクチンを中心に地域接種と職域接種が進んでいます。両社ワクチンの発症予防効果はわずか1%の差しかありません。

 デルタ型変異ウイルスの脅威で、イスラエル政府は2021年8月から「3回目」のワクチン接種を開始することを決定しています。日本の厚生労働省は「2回目」のワクチン接種を終えた人に対し、2022年に3回目の接種を検討する方針です。早ければ2022年の初頭から米モデルナ社から5,000万回分の追加供給をうける契約を締結したことが明らかになりました。

 新型コロナワクチンによる抗体のレベルは時間の経過とともに低下することが明らかになっていて、河野行政・規制改革相はワクチン効果を継続するには、3回目の接種が必要との認識を示しました。

ジーリー・オートモービル(175)

出所:楽天証券ウェブサイトより(直近3カ月間日足チャート)

 中国の民営自動車メーカー、ジーリー・オートモービル(175)は6月25日引け後、上海証券取引所の新興企業向け市場「科創板」に上場する申請の撤回を取締役会で決めたと発表した影響で、株価が一時的に下落し、調整局面に入りましたが、7月末から持ち直しています。

 中国の新車販売は車用半導体の不足などの影響で、生産台数の落ち込みとともに低迷が続いていますが、新車市場においての新エネルギー車(NEV)の急増が圧倒的に目立ちます。

 ジーリー・オートモービルは、2021年6月の新車販売台数が前年同月比9%減だったものの、前月比では4%増でした。7月21日に、インテリジェントハイブリッドシステム「GHS2.0」を搭載した新エネルギー車ブランドを今年9月に発売すると報道され、注目を集めています。