2021年6月中間決算は予想から下振れ、事業戦略見直しの成果は今後明らかに

現地コード 銘柄名
06862

海底撈国際控股

(ハイディーラオ・インターナショナル)

株価 情報種類

34.70HKD
(7/27現在)

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 中国の火鍋料理チェーン大手、海底撈国際は、2021年6月中間期の純利益が8,000万-1億元となる見通しを明らかにした。これは市場コンセンサス予想を下回る数字。ただ、組織構成やビジネス戦略、オペレーション方式を見直すなどの努力が奏功し、店舗の座席回転数は4月以降、改善傾向を示している。BOCIはレストラン業務の再活性化という点で、下期がカギになると指摘。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 経営陣が7月25日に示した上期の純利益見通しは8,000万-1億元。コロナ禍にあった前年同期の9億6,500万元の赤字から、黒字に復帰する見通しとなった。ただ、この数字は市場予想の13億元には届いていない。また、上期の売り上げ見通しは前年同期比104%増の200億元と、BOCIの2021年通期予想の36.4%に相当する数字。2017-2019年の例を見ると、上期の売り上げ比率は43-45%であり、やはり回復ペースの鈍さを示唆する数字となった。経営陣によれば、【1】2020年下期-2021年前半の出店攻勢により先行投資が膨らんだ、【2】新規店舗の損益分岐点への到達期間と投資回収期間が長期化した、【3】海外での新型コロナの影響が続いているなどが上期の不振の理由という。

 一方、同社は営業効率の改善に向けて積極的に動いている。6月末には組織構造の見直しを行い、本社と店舗の間に2つの管理階層を新たに設置。経営陣が店舗のオペレーション状況をさらに細かく把握できるようにした。さらに、インセンティブを高めるために店舗スタッフのKPI(重要業績評価指標)を調整し、抽象的とされる定性的基準だけでなく、数値で表すことのできる定量的な基準を含めた。これに伴い、人件費の対売上比率が上昇するとみられるものの、KPIの調整は今後も継続的に行われる見通しという。経営陣はまた、店舗賃料を含む営業費用の低減に向けた施策にも積極的に取り組んでいる。BOCIはこのほか、適切な運転資金の管理と豊富な与信枠を強みに、同社が健全なキャッシュフローと力強いキャッシュポジションを確保している点に目を向けている。

 同社は4-6月以来、出店ペースを抑え、2020年下期-2021年前半に相次いで開業した新規店舗の黒字化を優先している。こうした中、4月以降は全体のテーブル単位の回転数が前月比で改善。7月にはさらに、改善傾向が顕著となった。

 BOCIは2021年、2022年、2023年の予想純利益を65.8%、13.9%、3.3%減額修正。予想EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)も各35.3%、9.7%、4.2%減額した。売上高と粗利益率に関する予想値の引き下げと営業コスト比率の増大見通しが理由。また、これに伴い、2022年EV/EBITDA倍率15倍(変更なし)をあてはめ、目標株価を引き下げた。レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、店舗網拡大ペースの鈍化や、消費者の嗜好の変化による既存店売り上げ伸び率の鈍化、商品・賃金インフレ、食品安全問題の発生、ブランドエクイティの後退などの可能性を挙げている。