金メダルラッシュに沸く東京五輪後半戦の1週間。「トレンドマーケットスクールTOKYO」では、8月入りした今週2日(月)から6日(金)の株式市場を展望します。

コロナ感染者急増、中国統制強化、アマゾン・ショックに揺れる

 先週の日本株は、連休明けに日経平均株価が一時2万8,000円の大台を回復したものの、28日(水)、中国株急落の余波で下落。30日(金)には緊急事態宣言の延長・拡大を受け、東京五輪開始前を下回る2万7,283円で終了しました。

 29日(木)には、新型コロナウイルスのデルタ株(インド由来の変異株)感染者が全国で初めて1万人を超え、東京では31日(土)に一日のコロナ感染者数が4,058人まで増加するなど、その猛威は今週も株価の重石になりそうです。

 先週の日本株市場に打撃を与えたのは、中国による教育関連企業に対する統制強化のニュースです。中国政府は、配車サービスのディディ(滴滴出行)にアプリ配信停止を命令するなど、自国のIT企業の統制を強化していましたが、学習塾の非営利化を進める意向も表明。

 統制が教育産業にも広がることを嫌気して、26~27日には香港ハンセン指数など中国株が暴落。日本の関連株も大きく下落しました。

 特に中国アリババ株を大量保有するソフトバンクグループ(9984)の株価は3月末につけた高値1万695円から6,000円台まで下落。同社は日経平均株価への影響度が高い指数構成銘柄のため、今後も日本株全体の足を引っ張りそうです。

 特に日本株の弱さが際立ったのは30日(金)です。前日29日(木)の米国株は、28日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)後に、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が「利上げを検討するのは時期尚早」と相変わらずハト派(金融緩和に積極的なスタンス)ぶりを示したことで上昇していました。

 29日(木)発表の米国の4-6月期実質GDP(国内総生産)は予想を下回る6.5%増だったものの、GDPの7割を占める個人消費が2四半期連続で10%台の伸びだったことも好感されました。

 それにもかかわらず、翌30日(金)の日本株は米国株に逆行安。日本時間30日未明に発表されたアマゾン・ドット・コム(AMZN)の決算が珍しく低調だったショックもあり、ネット通販関連の人気株だったマクアケ(4479)BASE(4477)が週間下落率ランキング上位に入るなど、IT関連株や新興株までもが利益確定売りに押されて総崩れになりました。

 米国の利上げがまだ先ということで、ドル全面安の展開となり、30日(金)朝にドル/円が109円40銭台まで下落したことも日本株には悪材料でした。

決算発表後の材料出尽くし売りが続く?お盆明けまでは要注意!

 今週の経済指標では8月2日(月)に米国のISM(米サプライマネジメント協会)が発表するISM製造業景況感指数が注目されそうです。コロナ禍による供給網の混乱や労働力不足で前回は予想を下回っており、さらに鈍化すると、米国景気の失速懸念が高まります。

 一方で、米国景気の好材料になりそうな経済指標もあります。月初めの第1金曜日にあたる6日には、米国雇用統計が発表されます。前回6月の非農業部門新規雇用者数は予想を上回る85万人増でしたが、今回発表の7月新規雇用者数は88.5万人増と大幅な伸びが予想されています。

 失業率も予想通り5.7%に低下すれば、早期利上げ懸念が遠のいていることもあり、素直に好感して米国株が上昇しそうです。

 日本では、引き続き2021年4-6月期の四半期決算発表が相次ぎます。3日(火)には三菱商事(8058)など商社株や日本製鉄(5401)、4日(水)にはトヨタ自動車(7203)の発表があります。

 6日(金)には半導体検査装置の花形株・レーザーテック(6920)の決算発表もあります。好決算で急騰してきた株価がさらに上昇するか、材料出尽くしで売られるか、注目されそうです。

 6~7月には東京五輪開催に向け、スポーツ関連のデサント(8114)アシックス(7936)が急騰しましたが、閉幕まで1週間を切り、利益確定売りもありそうです。

 日本経済新聞の記事によると、7月末までに決算発表した上場企業約500社は、電子部品、半導体、自動車などの製造業を中心にコロナ前の利益水準を回復しました。しかし、一部の銘柄を除いて株価は反応薄です。

 8月の株式市場は人々が休みを取るため、「夏枯れ相場」になりやすいといわれています。個人投資家の投げ売りにつながりかねない、ネット関連の人気株の下落も心配です。お盆明けぐらいまでは、売買高が少ない中、株価が大きく急落するリスクがありそうなので注意が必要でしょう。