銘柄選定を行う方法は?

 株式投資において、どのように銘柄選定をしていったらよいか、悩まれている方もいるのではないでしょうか? 現在、上場企業は約3,800社あって、その中から銘柄を選定していくことは容易ではありません。

 そこで、今回は、効率的に手っ取り早く銘柄選定していく方法について、お伝えしたいと思います。

 私は銘柄選定していく際に、『会社四季報』を1ページ1ページ見ながらピックアップをしています。これを『会社四季報』が発売される3カ月ごとに行っていて、現在、219銘柄をピックアップしていますが、これ自体、実際には大変な作業です。

 ただ、私自身、好きで行っているので全く苦ではないのですが、きつい人には本当にきついと思います。苦行と思われる方もいるでしょう。

 苦行になってしまうと長続きしません。そこで、手っ取り早く銘柄選定する方法は? となるのですが、それは「投資信託の組入銘柄を参考にさせていただく」という方法です。

投資信託の組入銘柄を参考にする

 私の場合にはバリュー投資の考えが根本にあり、銘柄を選定していく際には次のようなことを重視しています。

  • 大型株ではなく、中小型株
  • 割安であること
  • 割安なだけでなく成長性も備わっていること
  • キャッシュリッチ(有利子負債よりも現金・預金などが多い)であること

 そこで、自分と同じような視点で銘柄選定をしている投資信託はないかを見ていきます。そのような投資信託を見つけて、その組入銘柄を参考にさせていただくということです。

 私の場合には、次のような投資信託が該当します。

 各ファンドともにすご腕の方々が運用をされていますが、特に、新成長株ファンドにおいては、私がピックアップしている銘柄と共通するものが多く、6月末時点の月次レポートに掲載されている組入上位10銘柄のうち、トランザクション、シグマクシス、レーザーテック、ローツェの4銘柄が共通しています。

出所:新成長株ファンド 月次運用レポート 作成基準日:2021年6月30日

 私の場合には、「中小型株」「割安」「成長」「キャッシュリッチ」といったところがキーワードになりますが、当然ながら人によってさまざまです。

「大型株」の方もいれば、「AI」や「ロボティクス」というテーマを重視している方、「アメリカ」「中国」といった国・地域を重視している方もいるでしょう。

 自分と同じような考えで銘柄選定している投資信託が見つかれば、その組入銘柄をチェックしていきます。投資信託においては運用報告書(全体版)があり、その中に組入銘柄すべてが記載されています。

 すご腕のファンドマネージャーが厳選してくれた中から、自分で銘柄をさらに厳選していくことで、約3,800社からではなく、効率的に手っ取り早く選んでいけるようになるということです。

 私のケースでいくと、各ファンドの直近の運用報告書における組入銘柄数は次のようになっています。

新成長株ファンド【愛称:グローイング・カバーズ】……69銘柄
スーパー小型株ポートフォリオ……91銘柄
ニッポン中小型株ファンド……194銘柄
出所:新成長株ファンド 第17期 運用報告書(全体版)
スーパー小型株ポートフォリオ 第48期 運用報告書(全体版)
ニッポン中小型株ファンド 第7期 運用報告書(全体版)

投資信託から銘柄を選ぶ利点

 自分と同じような考えの投資信託を見つけておくことは、次のような利点もあります。

 投資信託に組み入れられている銘柄から、さらに銘柄を厳選していくこと自体も、実際にはなかなか難しかったりします。

 自ら厳選をしていっても、厳選したものがなかなか上がらなかったり、売買タイミングが難しかったり、日頃、仕事などもある中で、ゆっくりと考える時間もなかったり、いろいろとあると思います。

 そこで、「やっぱり自分で選ぶのは難しいな」と思ったときに、自分と同じような考えの投資信託を保有することによって、ファンドマネージャーに代わりにやってもらうけれども、根底は同じ考えで運用していくことができます。

 自分と同じような考えで運用している投資信託を見つけて組入銘柄を参考にさせていただき、場合によってはその投資信託を保有する、この機会にそのような投資信託を見つけてみてはいかがでしょうか?