2021年上期に好決算見通し、銅相場反落も一段の下落余地は限定的

現地コード 銘柄名
01208

五鉱資源

(エムエムジー)

株価 情報種類

3.34HKD
(7/20現在)

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 中国政府系の非鉄金属採掘会社、五鉱資源は2021年6月中間決算について、純利益が4億米ドルに達する見通しを発表した。これは前年同期の赤字(純損失1億5,800万米ドル)からの黒字転換を意味するだけでなく、BOCIの予想や市場コンセンサス予想を上回る数字となる。銅価格は直近のピーク水準から12%反落したが、BOCIは電気自動車やグリーンエネルギー需要の強さから、一段の下落余地は限られるとの見方。金属相場に関する想定値の引き上げを受け、同社の2021-2023年の予想EPS(1株当たり利益)を23%、59%、88%上方修正した。また、5月中旬の高値から45%下落したことで、同社株の魅力が増したとの見方。株価の先行きに対する従来の中立見通しを、強気に引き上げている。

 経営陣が示した4億米ドルという2021年6月中間期の純利益見通しは、BOCIの2021年通期予想(修正前)の70%、市場コンセンサス予想の84%に相当する数字。金属価格の上昇と、ラスバンバス鉱山(ペルー)の銅在庫6万5,000トンの圧縮が追い風となることは事前に予想されていたが、実際の業績へのプラス影響は大方の予想を上回る水準に達した。

 化石燃料から太陽光・風力などグリーンエネルギーへのシフトが進み、中国や欧米で電気自動車が普及する中、世界の銅需要は今後も上向く見込み。BOCIはこのため、直近のピーク時から12%反落した銅価格の一段の下落余地は限定的とみている。BOCIグローバル・コモディティーズによれば、2021年7-9月期~2022年4-6月期のLME(ロンドン金属取引所)銅スポット価格の四半期平均値は、1トン=9,200-9,500米ドルとなる見通しという。銅価格の高騰は同社の業績にプラスに作用する。2021年の同社売り上げ全体の79%を銅が占めるとみられる。

 同社株価は5月中旬から45%下落したが、この間のLME銅スポット価格の下落率は12%。BOCIによれば、年初からの上昇分の大部分が消失したことで、同社株価の2021年予想PER(株価収益率)は5倍に低下し、再び魅力が高まっている。

 BOCIはDCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく予想NAV(純資産価値)を上方修正。利益見通しの増額修正やWACC(加重平均資本コスト)の引き下げ、最近の増資による影響を反映させる形で、目標株価を引き上げた。2021-2023年の予想EPSを23%、59%、88%増額修正したが、これは主にベースメタル価格の予想値を引き上げたため。BOCIグローバル・コモディティーズとブルームバーグの予想を加味し、2021-2023年の銅価格予測を8%、18%、19%、亜鉛価格を4%、4%、11%上方修正した。

 一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、金属相場が急落する可能性と、最近のペルー大統領選挙に伴い、同国財政政策がラスバンバス事業に逆風となる可能性を挙げている。