東京五輪開催中の1週間を展望する「トレンドマーケットスクールTOKYO」。日本株は先週後半、絶好調だった米国株に連動して、大きく上昇してスタートしました。
今週は米国IT企業、日本の製造業の決算が株価を動かす!
先週の22日(木)、23日(金)は東京五輪開催を控えた祝日で株式市場も休場でした。その間、取引されていた米国株は大きくリバウンド上昇。
新型コロナウイルスのデルタ株(インド由来の変異株)のまん延懸念による19日(月)の急落を取り戻し、23日(金)にはS&P500、NYダウ、ナスダック総合指数すべてが史上最高値を更新しました。本当に米国株は強いです!
それを受けて26日(月)の日本株も大幅上昇。日経平均株価は2万8,000円台を一時回復しています。
「デルタ株vs企業決算」と言われた先週の米国株上昇の要因は、なんと言っても、ツイッター(TWTR)、アメリカン・エキスプレス(AXP)など、個別企業の力強い2021年4-6月期決算でした。
23日(金)に発表された、米国のPMI(企業の購買担当者に景況感をヒアリングした指数)の7月速報値も、サービス業は人出不足の影響で低下したものの、製造業は過去最高を更新しています。
株価が上昇する一番の原動力は個別企業の業績です。
今週の米国市場では、日本時間27日(火)未明にテスラ(TSLA)、28日(水)未明にアップル(AAPL) 、グーグルの親会社であるアルファベット(GOOG) 、マイクロソフト(MSFT) 、30日(金)未明にアマゾン・ドット・コム(AMZN)などS&P500に多大な影響を与える巨大IT企業のほか、NYダウ採用の主要企業が相次いで決算発表をします。
日本でも2021年3月期企業の第1四半期の決算発表が本格化します。
27日(火)の信越化学工業(4063)、28日(水)のアドバンテスト(6857)、29日(木)のファナック(6954)など、半導体、工作機械のほか、鉄鋼、造船など輸出で稼ぐ外需株の決算がどれくらい好調で、今後の期待ができそうかが一番の注目ポイントです。
日経平均株価は4月5日に3万円台の大台をいったん回復して以降、右肩下がりの展開が続いているだけに、輸出関連株の決算発表を起爆剤に再度、3万円を目指す展開に期待したいところです。
一方、銀行をはじめ多くの内需株の決算発表も予定されていますが、4~6月に発令された緊急事態宣言の影響で予想以上の業績悪化が明らかになると、日本株全体の足を引っ張りかねません。
東京五輪とFOMCに世界中が注目?
そんな中、7月29日(木)未明には、米国の金融政策を決めるFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表やパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の会見が予定されています。前回6月の会合では「2023年末までに2度の利上げ」が示唆され、株価急落の引き金になりました。
今回、利上げの予想時期がさらに前倒しになったり、その前段階となるテーパリング(量的緩和策の縮小開始)に関して明確な言及があったりすると、株価に冷や水を浴びせる可能性があります。
29日(木)夜には、米国の4-6月期GDP(国内総生産)も発表されます。前回の実質GDPは前期比6.4%増でしたが、経済再開が本格化した4-6月期は8.5%増が予想されています。
あまりにいい数字だと、直前に発表されたFOMCの金融政策に対するネガティブな思惑が膨らむ可能性もあります。むろん、単純にいい数字を好感して、一段高するケースも考えられるでしょう。
国内では、開催などへの反対意見も多い東京五輪ですが、なんとか順調に競技が行われ日本に対する世界の注目が高まれば、7月第1週(7月5~9日)で小幅買い越しに転じた海外投資家が日本株を本格的に買い進むきっかけになるかもしれません。
とはいえ、FOMC、米国GDPの発表と立て続けに重要イベントがある週後半を見越して、米国株の上昇がいったん小休止する可能性もあります。
「これまでで最も奇妙な五輪が開催」と評される東京五輪ウィーク第1週は、金メダルと東京および選手村のコロナウイルス感染者数増加の両方に注目が集まる1週間になるでしょう。
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