前日(10月27日)の市場概況

ドル/円:NY市場で高値更新後、下落

 週末のドル/円は、米国GDP(国内総生産)の強い結果を受けてNY市場で上昇、114円台で高値を更新しました。ただその後、次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長にパウエルFRB理事とのニュースが出ると売りが優勢になり、113円台へ大きく値を下げました。終値は113.695円(前日比-0.305円)。(チャート1)

 

 この日発表された米国の7-9月期のGDPは前期比年率+3.0%と、予想(+2.5%)を上回る強い結果。ドル/円は114.44円まで高値を更新して、7月11日の高値に迫りました。

 しかし、トランプ大統領が次期FRB議長にパウエルFRB理事を任命すると報じられると、一転売りが強まり、この日の安値となる113.63円まで大きく下落。次期FRB議長の候補は、政策金利引き上げを提唱する、タカ派のテイラー・スタンフォード大教授が有力でした。一方パウエル理事はハト派寄りであるため、米長期金利が軟化してドル売りを誘発しました。

 

ユーロ/ドル:カタルーニャが独立宣言

 先週のECB(欧州中央銀行)会合後から、急速に下げ足を強めているユーロ/ドルですが、この日はついに1.16ドルを下抜けて7月20日以来の安値となる1.1573ドルまで安値を更新。(チャート2)

 

 ECBは26日に開いた会合で、毎月の資産買入れ額の半減を決定しましたが、緩和バイアスも残した、いわゆる「ハト派的緩和縮小」にとどまりました。利上げにまい進するFRBに比べると、金融政策正常化のアピールに欠けていたことが失望となってユーロ売りが活発になったようです。

 政治問題も心配の種で、この日は、ついにスペインのカタルーニャが自治州議会で独立宣言を賛成多数で可決しました。スペイン中央政府は、同州の自治権を停止する強硬措置を発動。カタルーニャの不安定化はスペインの経済に大きな影響を与えるといわれており、政治問題であると同時経済問題としてユーロのマイナス材料になることが考えられます。

 

ユーロ/円:2年ぶりの高値をつけて大きく下げる

 ユーロ/円も大幅下落。先週25日に2年ぶりの高値となる134.49円をつけましたがECB会合後は売りが強まり、この日はドル/円がとユーロ/ドルが下げたことで、週末のNY市場で131.74円まで下値を拡大しました。