今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは110.95

下値メドは108.10

世界はインフレ、日本はデフレ。サプライチェーン崩壊でも日本にインフレなし

 19日(月曜)のドル/円は、大幅に「円高」。高値110.09円、安値109.06円、1日の値幅は1.03円。 

 週明けは110.01円からスタート。東京時間の朝につけた110.09円がこの日の高値になってしばらく109.90円近辺にいましたが、NY時間に入って7月上旬から続くサポートの109.70円を下に抜けると、一気に109.06円まで下落。5月27日以来の安値をつけました。ただ、その後は下げた分を約半分取り戻すまで回復して、終値は109.45円(前日比▲0.63円)。

 マーケットが急に「リスクオフ(リスク回避)」に動いたのはなぜか?最近まで、欧米の投資家の多くは、コロナのデルタ変異株は「大した問題にはならない」と考えていました。ところが、感染拡大が止まらない状況を見て、見通しが気楽すぎたと修正を急ぎ、ポートフォリオの組み換えを始めた。これがリスクオフの理由です。

 なぜドル高なのか?米国ではワクチン接種が進むなか、全面的ロックダウンの可能性は(政治的理由からも)かなり低い。一方、欧州のワクチン接種率は、まだ十分に高いとはいえない状態でペースダウンが始まっている。夏の外出が増え、このまま秋を迎えたら第4波は避けらない。ドイツは10月にも医療崩壊が起きる危機があり、ロックダウンの可能性はかなり高まっている。経済再開のスピードの差がドル全面高の背景。

 では、なぜ円高かというと、以前の為替Walkerにも書きましたが、ユーロ、ポンドや豪ドルが、対ドルだけではなく、円に対しても下落した結果、円は引きずられて円高になっている事情が大きい。リスクオフで、セーフヘブンの円が買われるともいわれていますが、コロナがテーマの市場において、果たして円が安全通貨なのかどうかは疑問。

 ECB(欧州中央銀行)やBOE(イングランド銀行)は、最近まで経済見通しに強気で、緩和縮小にも前向きでした。ところが変異株の感染拡大で事情は急変。しばらく緩和政策を続けるしかないとの見方が増え、その失望感が、欧州通貨売りにつながっている。日銀には、そもそも政策変更の期待はないに等しいので、そのぶん失望の円安もなかった。円高になったのではなく、円安にならなかったということです。

 FRB(米連邦準備制度理事会)はどうするのか。来週のFOMC(米連邦公開市場委員会)は注意です。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

主要指標 終値

出所:楽天証券作成

今日の一言

自分で自分をあきらめなければ、人生に「負け」はない - 斎藤茂太(日本の精神科医、随筆家)

I Still Haven’t Found What I’m Looking For

 この日の米10年債利回りは一時1.2%を下回り、1.17%付近まで低下しました。

 多くの投資家が2.0%目指して上昇すると予想していた米長期金利が低下した理由として、米国で急速に拡大するデルタ変異株ウイルスの感染拡大があります。米国では先月初めから 1日の新規感染者が ほぼ1万人で維持されてきましたが、7月になって約4.8万人へと急増する日も出てきています。

 コロナ感染再拡大による経済再開の遅れ、あるいは景気回復の尻すぼみ。がFRB(米連邦準備制度理事会)の金融正常化(引き締め)への転換を遅らせるとの見方が増えています。

 先週のパウエル議長の議会証言は、それほど弱気ではなかったと思います。原稿は事前に準備されていたのだから、直前の強いCPI(消費者物価指数)の結果を反映していなくても仕方ない。パウエル議長は、今月のFOMCで緩和縮小について討議すると明らかにしているので、その時に新しいデータを検討して政策方向を決定する考えです。ブラード・セントルイス連銀総裁は「緊急手段を終了する時期がきた」と主張しています。

 一般的に、景気回復局面における中央銀行の政策は、不況時よりも予測が難しくなります。米経済に対するFRBの強気見通しは、ワクチン普及によるコロナ感染抑制が前提条件になっています。ところが変異株ウイルスの拡大が止まらなければ、この前提が崩れてしまうおそれがある。それだけではなく、ワクチン普及で経済再開という、これまで世界が信じていた公式が、果たして正しかったのかという疑問も起きる。7月28日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されますが、緩和縮小が正式に発表される可能性は後退しました。

今日の注目通貨

ユーロ/円:今週の予想レンジ ↑131.63円  ↓128.68円

 今週のユーロ/円のブルベアの分かれ目は130.16円。

 130.16円より上ならばユーロ買いが優勢、130.16円より下ならばユーロ売りが優勢。

 2021年これまでの高値は134.12円、安値は125.09円。平均値は129.61円、値幅は9.03円。
1日の最大値幅は1.85円、最小値幅は0.29円。平均値幅は0.67円。
先週末の終値は、2020年終値に比べて3.76円の円安。

134.12円 :     2021年 高値

132.60円 :     第4 レジスタンス(HBO)
132.43円 :     07月 高値

131.76円 :     第3 レジスタンス
131.08円 :     07月 61.8%

130.91円 :     第2 レジスタンス
130.66円 :     07月 平均値
130.65円 :     第1 レジスタンス
130.24円 :     07月 38.2%

129.55円 : ピボット

128.89円 :     07月 安値
128.45円 :     第1 サポート
128.19円 :     第2 サポート 

127.35円 :     第3 サポート
126.51円 :     第4 サポート(LBO)

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

2021年 ユーロ/円データ