今週の予想

今週は、連休前や決算を控え様子見ムード

 先々週の週末に急回復してきた勢いから、先週の日経平均株価は週前半に一気に2万8,800円台まで上昇し、さらなる上昇の期待を持たせました。

 しかし、外国人投資家という買い手不足の中では、東京での新型コロナウイルス感染者急増を受けて、再び売りに押される展開となり、16日(金)は2万8,003円と13日(火)の高値2万8,852円から約850円安い水準となりました。

 週末の米国も4週間ぶりに主要3指数そろって下落となり、シカゴの日経先物も▲140円の2万7,790円でした。

 先週の日経平均の動きからも、2月につけた3万714円をピークとする上値切り下げが継続し、前回高値の6月25日の2万9,174円に届かないレベル(13日の2万8,852円)で押し返されています。

 ところが、下値を見ると、現時点では5月13日の2万7,385円、7月9日の2万7,419円と二点底を作っており、2万7,500円水準に下値支持線を形成しつつあるように見えます。

 ただし、その前提はNYダウ平均株価が堅調であることです。NYダウの上昇には、それほど連動しなくても、今の相場環境では下落には連動しやすい可能性が高いからです。

 今の相場環境に悪影響を及ぼすものは、菅政権の支持率が緊急事態宣言発出の後の対策がチグハグで、新型コロナ感染者は増加を続けていること、ここにきて、コロナワクチンの不足が顕在化し、過去最低水準の支持率まで低下していることです。この状況が、外国人投資家を中心に、手控え感を招いているといえます。

 今週は、週後半は祝日のため、3営業日と取引が限られます。立会日数が少ない中、来週の7月最終週から4-6月期決算が始まる中、FOMC(米連邦公開市場委員会)もあるため様子見ムードが一段と強くなりやすいといえます。

今週の指標:日経平均株価

 今週は東京五輪開催に伴い、22日(海の日の振替日)から23日(スポーツの日の振替日)が休日のため、営業日は19日(月)から21日(水)までの3日間となります。そのため様子見の中で下値模索の動きが想定されます。物色は好決算銘柄の個別株となりそうです。

先週の動き

 先週の予測では、前週の9日に2万7,419円まで下げて急速に2万8,000円水準まで戻したことや、シカゴの日経先物が2万8,535円となっていたことで2万8,500円を中心としたもみ合いを想定しました。また、上昇しても相場が弱くなると下値模索となる場合も想定しました。

 結果的に、週前半の13日(火)に、2万8,852円まで上昇しましたが、14日(水)からは下落に転じ、週末の16日(金)は、一時2万8,000円を割る場面もありましたが、終値では▲276円の2万8,003円となりました。

 引け後の米国市場では、主要3指数が4週間ぶりの下落となったことで、シカゴの日経先物は▲140円の2万7,790円となっていました。

今週の指標:NYダウ平均株価

 今週は、新型コロナのデルタ株の感染拡大により、先週、米カリフォルニア州でマスクの義務化が再度、導入されたことが多少のネックとなります。

 ただし、企業決算は良好な内容が期待され、相場を支えることになりそうです。

 最新のインフレ指標は予想を上回る上昇を示していますが、FRB(米連邦準備制度理事会)は緩和策を解消することを急ぐ様子は見られません。下がるとしたら、夏休みを控え、いったん手じまいが増加する場合です。

先週の動き

 先週の予測では、新型コロナのデルタ株の感染リスクは織り込まれているものの、経済活動再開を巡る好材料やFRB議長の「インフレは一時的」とか「大規模緩和は続く」との発言で押し目買いは続くとしました。

 結果的に、週末の7月16日に3万5,090ドルと、5月10日の史上最高値3万5,091ドルまで、あと1ドルのところまで上昇してきました。

 しかし、ここにきて7月米ミシガン大学消費者信頼感指数の予想外の悪化や新型コロナデルタ株の感染者が急増したことを嫌気し、▲299ドルの3万4,687ドルと大幅反落となりました。

今週の指標:ドル/円

 7月14~15日のパウエルFRB議長の証言で、物価上昇について新たな措置を打ち出すことはないと確認されたため、インフレ率上昇の可能性は残るものの、ドルは底堅い動きになると見込まれます。

 しかし、インフレ率の上昇が起こる可能性は残っています。

 今月30日発表の米6月コアPCE(個人消費支出)物価指数は5月実績を上回る可能性があります。他の経済指標も予想を上回れば、将来的にはFRBの金利引き上げの可能性は高まります。

先週の動き

 7月13日の米6月コアCPI(消費者物価指数)が前年比+4.5%と市場予想を上回る伸びとなり、長期金利が上昇し、リスク選好的なドル買い優勢となりました。

 しかし、FRBのパウエル議長が「インフレの上昇は一時的」との見方を示したことで長期金利は低下し、ドル売りが広がりました。週末の16日は7月ミシガン大学消費者信頼感指数が低下し、経済回復の期待も低下し、ドル買いは後退。米株式も嫌気され下落し、1ドル=110.08円で引けました。

先週の結果

週前半2万8,800円台まで上昇するが、その後、一時2万8,000円割れとなる

 先週の予測では、9日(金)にSQ値(特別清算指数)がらみの一時的な需給要因によって、一時700円近くまで下げて2万7,419円の急落。5月13日の2万7,385円に接近して、2万8,000円水準まで戻したことで、ダブル底をつくったような形となりました。

 そのため、週始めは2万8,500円水準まで戻した後、ここを中心に上下動となることを想定しました。

 米国株式が堅調なので、本来ならば日経平均は2万9,000円までは上昇してもおかしくないところです。しかし、日本での東京五輪開幕接近の中での新型コロナ感染者の増加を外国人投資家は懸念しており、また、夏休み休暇前の日本株の手じまいもあり、積極的に上値を追っていく投資家がいないことになります。

 結果的に先週末の急反発の流れが続き、週始めの12日(月)は+628円の2万8,569円と2万8,500円台に乗せ、そのまま上を試す形となって13日(火)は一時+283円の2万8,852円まで上昇しました。

 しかし、先週はここをピークに下げ転換となり、14日(水)は▲109円の2万8,608円、15日(木)は午後になると、緊急事態宣言下の東京で感染者が1,000人を超えたことが発表されると、外国人投資家の売りで大引け間際には▲368円の2万8,240円まで下げて、終値は▲329円の2万8,279円と急落しました。

 週末の16日(金)は、米国市場で、NYダウは+53ドルだったものの、ナスダック総合株価指数が▲101ポイントとなったことや、ファーストリテイリングの下落と半導体関連の下げが広がり、一時▲431円の2万7,847円まで下げました。

 その後、後場には▲77円の2万8,201円まで下げ幅を縮小する場面もありましたが、大引け近くでは上値重く▲276円の2万8,003円で引けました。

 週末の米国市場は、強い小売売上高を好感し、上昇してスタートしたものの、寄り後に発表された米7月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)の悪化を受けて、主要3指数そろって下落に転じました。

 NYダウは朝方に+102ドルの3万5,090ドルまで上昇し、5月10日につけた史上最高値3万5,091ドルにあと1ドルと迫りましたが、ここから反落となり▲299ドルの3万4,687ドルで引けました。

 為替は1ドル=110.08円とややドル高で、シカゴの日経先物は▲140円の2万7,790円でした。

 最高値圏で堅調な動きをしている主要3指数が下落したのは、米7月ミシガン大学消費者信頼感指数の予想外の悪化の他に、米国内でも新型コロナのデルタ株の感染者が急増していることが明らかとなり、経済の回復が損なわれるなどの懸念が出てきたためです。