日経平均は弱い展開ながらも「粘り腰」

 先週末7月21日(水)の日経平均終値は2万7,548円でした。週足ベースでは455円安となり、何とか2万8,000円台で踏みとどまった前週末終値(2万8,003円)を下回ってしまいました。

 先週は3営業日であるために様子見ムードが強かったことや、週初の米国株市場が軟調だったことを踏まえると、買いが入りにくかった面があります。

 連休明けとなる今週は、国内株市場が連休中で迎えた週末23日(金)の米国株市場の3指数がそろって最高値を更新したことや、シカゴCMEの225先物取引が大きく上昇して終えていることもあって、反発スタートしています。

 しかし、ここからさらに株価が上昇していけるかについては、今週から本格化する企業決算や、FOMC(米連邦公開市場委員会)の動向をにらみながら、方向感を探ることになります。

 まずは、いつもの通り、足元の状況から確認していきます。

■(図1)日経平均(日足)とMACD(2021年7月21日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて先週の日経平均の値動きを振り返ると、週初19日(月)の取引で一段安となり、200日移動平均線の攻防となりました。

 翌20日(火)はその200日移動平均線を下放れてしまい、チャートが崩れかかったのですが、連休前の21日(水)には再び200日移動平均線を回復する場面があるなど、弱い展開ながらも「粘り腰」を見せた格好です。

 とはいえ、20日(火)の安値(2万7,330円)は、5月13日の直近安値(2万7,385円)を下回ったことや、下段のMACD下向き傾向が続き、チャートの形自体は悪くなっています。

「安いところを拾う動きは出ているが、そこから先の買い戻しや、買いあがりのきっかけをつかめていない」状況と言えます。

 ただ、冒頭でも触れた通り、国内株市場が休場中のシカゴCMEの225先物取引が上昇し、2万8,205円まで反発して終えています。その株価水準を図1にも示しましたが、200日移動平均線は上放れるものの、25日移動平均線には届かないという微妙な位置となります。

 FOMCが27日(火)~28日(水)に開催されることを踏まえると、26日(月)に反発してスタートしても、その後の値動きが読みにくいことになります。

目先の日経平均、値動きの目安

 そこで、目先の日経平均がどこを目指していくのかの目安を、線形回帰トレンドで探っていきます。

■(図2)日経平均(日足)の線形回帰トレンド(2021年7月21日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 日経平均は2月16日の高値(3万714円)をつけてから、上値が切り下がっており、短期的な下落基調をたどっています。

 2月16日以降の株価の値動きを回帰直線で描いて中心線とし、さらに値動きの大きさの標準偏差からボリンジャーバンドのように、+2σ(シグマ)から▲2σまでの直線を中心線に平行に描いたものが線形回帰トレンドです。

 すると、日経平均は▲2σあたりまで下落してから反発といった値動きを繰り返しながら、トレンド全体が右肩下がりとなっていることが分かります。実際に、足元の状況をみても、200日移動平均線を下抜けた20日(火)のローソク足も▲2σで下げ止まっています。

 それと同時に、株価の反発の目安が、+2σよりも+1σあたりになることが多いことも分かります。ちなみに+1σのラインは足元で25日と75日移動平均線のあいだを通っています。

 また、図2でも、先ほどの図1と同じ、シカゴCMEの225先物取引の終値(2万8,205円)水準を描きましたが、ちょうど線形回帰トレンドの中心線を試すような位置にあります。

 そのため、日経平均の値動きの目安は線形回帰トレンドの範囲内と考えて良さそうです。具体的には、75日や200日移動平均線が近くにある+1σ~▲1σがコアレンジとなります。

 もっとも、相場のムードは企業決算とFOMCの動向次第になります。先週末の米国株3指数がそろって最高値を更新したことは冒頭でも述べましたが、週のあたまに大きく下落する場面があるなど、荒っぽい値動きだったことは押さえておく必要がありそうです。

今週はGAFAM決算。内容次第で一段高の可能性も?

 足元の米国株は、原材料価格の高騰や雇用環境、サプライチェーンのボトルネックに伴う過度なインフレ警戒が後退し、米長期金利の落ち着きや、金融政策の出口もさほど急がないのではということで、グロース株とバリュー株が交互もしくは同時に買われる場面が増えてきました。

 一方で、新型コロナウイルスの変異株の感染拡大を背景にして、景気回復ペースの鈍化を意識し始めてきただけに、FOMCで景気認識に対するFRB(米連邦準備制度理事会)の見解が注目されそうです。

 また、今週の米国では、いわゆるGAFAM銘柄(グーグル[アルファベット]、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)の決算が予定されています。

 実際に、先週のGAFAM銘柄は週間ベースで、アルファベットが4.76%高、アップルが1.48%高、フェイスブックが8.39%高、アマゾンが2.32%高、マイクロソフトが3.18%高と軒並み株価を上昇させており、決算に対する期待度は高いと言えます。

 その反面、決算を機に「材料出尽くしで株価が下がるのでは?」という見方もありますが、GAFAM銘柄のチャートを確認すると、大きく上昇したフェイスブックは微妙なものの、アルファベットやマイクロソフトはトレンドライン復帰を目指す動き、アップルやアマゾンは3本目のトレンドラインを意識した株価位置にあります。

 また、米国株の移動平均線は50日と200日が意識される傾向があるのですが、いずれも順調に右肩上がりをたどっているため、決算の内容次第では一段高の可能性は十分にあると言えます(下の図3~図7)。

■(図3)アルファベット株(日足)の動き(2021年7月23日取引終了時点)

出所:楽天証券WEBサイト

■(図4)アップル株(日足)の動き(2021年7月23日取引終了時点)

出所:楽天証券WEBサイト

■(図5)フェイスブック株(日足)の動き(2021年7月23日取引終了時点)

出所:楽天証券WEBサイト

■(図6)アマゾン株(日足)の動き(2021年7月23日取引終了時点)

出所:楽天証券WEBサイト

■(図7)マイクロソフト株(日足)の動き(2021年7月23日取引終了時点)

出所:楽天証券WEBサイト

 さらに、国内株市場でも今週は約700銘柄の決算が控えていて、個別銘柄の物色が中心となります。日米ともに、荒れ模様となった相場の動きに落ち着きを取り戻せるかが試される週になりそうです。