米国株式ファンドが人気!でも…
米国株式ファンドが依然、安定した人気を誇っています。
S&P500指数や全米株式などのインデックス連動型は、積み立て銘柄として既に定番となっているほか、アクティブ型でも、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」が、運用開始から約7年の年月を経て、6月23日に純資産残高1兆円を突破しました。
米国株式ファンドがこれほどまでに人気を集めている背景には、良好な市場環境が大きく関係していると思われます。いつの時代も、マーケットの浮き沈みと投資信託の人気には一定の関係性がみられ、この事象自体は、世界的にも決して不自然なものではありません。
しかし、相場がよいときというのは、総じて冷静さを欠いてしまいがちです。だからこそ、「勝って兜(かぶと)の緒を締めよ」の精神が大切です。
今回は、米国株式インデックスファンドにまつわるクイズを通じて、今、私たち日本の投資家が置かれている状況について整理していきます。
最長老の米国株インデックスファンドが設定されたのはいつ?
解答:3. 2009年
現在の人気ぶりを見ると意外に思われるかもしれませんが、日本の投資信託市場における米国株式インデックスファンドの歴史は、実はさほど古くありません。
最も長い運用実績を誇る「SMTAMダウ・ジョーンズ インデックスファンド」は、リーマン・ショック以降に誕生したほか、S&P500指数連動型に至っては、2013年9月設定の「iシェアーズ 米国株式インデックス・ファンド」(ブラックロック)が第1号です。
ちなみに、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」は2017年9月、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は2018年7月の設定と、いずれも運用を開始してからようやく3~4年が経過したところです。
このように、米国株式インデックスファンドは、短期間のうちに人気が加速したため、ファンドも投資家も、「リーマン・ショック級」とまではいかないまでも、株式市場の急落や停滞局面をまだ経験していません。
今、世の中には米国株式インデックスファンドの情報があふれ返っていますが、古くから海外ETF(上場投資信託)などを活用していた、ごく一部の方を除けば、日本において、実際に米国株式インデックスファンドだけで資産を「作った」といえる長期資産形成の「第1期生」はまだいないはずです。
米国でもインデックスファンドの台頭は●●後だった!
本家米国で個人向けのインデックスファンドが誕生したのは1976年ですが、実はその船出は決して順風満帆ではありませんでした。
というのも、1970年代後半から1980年代にかけて、米国経済は高インフレと高失業に加え、「双子の赤字」(財政赤字と経常赤字が併存する状態)の拡大にも苦しめられたためです。
米国の投資信託市場でインデックスファンドの存在感が顕著に高まったのは、2000年代後半のリーマン・ショック以降です。
ここでは詳しい説明は割愛しますが、やはり、市場環境も大いに関係しています。ずっと右肩上がりで上昇を続けてきたといわれる米国株式と、米国株式インデックスファンドですが、40年以上の年月をかけて現在の姿があるのです。
長期投資で市場変動は避けられない!ではどうしたら?
本連載で筆者が、分散投資の重要性を繰り返しご説明しているのは、長期投資を続ける上で大きな市場変動は避けられないためです。
重要なのは、いざお金が必要になって投資信託を解約するときのために、特定の市場の影響を受けすぎないようにすること。
さらに、マーケットの大きな調整局面が訪れたときに、心が折れないよう、また、冷静さを失わないように準備しておくことが大切です。
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