連載回数、600回を迎えました!

 はじめに、皆さまにお伝えしたいことがあります。

 今回のコラムで連載回数が600回となりました。足掛け12年の長期にわたり連載を続けてこられましたのも、たくさんの読者の皆さんのご支持・応援があったからこそです。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 これからも、読者の皆さんと同じ「個人投資家」の立場から、有益な知識・情報の提供に努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

米国株投資の際の税金の基礎知識を身につけましょう

 個人投資家の皆さんの中には、米国株に投資している、という方も多いのではないでしょうか。

 今では、楽天証券をはじめ、ネット証券でも多くの銘柄が取り扱われていて、気軽に米国株に投資できる機会が増えました。

 ところで皆さんは、米国株の税金の取り扱いについてはご存じでしょうか。日本株と同じ点と、異なる点がありますので、この機会に米国株の税金の基礎知識をつけておきましょう。

何が異なる?日本株と米国株の税金の取り扱い

 日本株と米国株との税金の取り扱いで大きく異なるのは、「為替差損益」と「外国税額控除」「配当控除」です。

 これらを含め、譲渡損益(売却損益)と配当金に分けて解説していきます。

 配当金の扱いは少々複雑なので、次週に詳しくお伝えします。

 なお本コラムでの解説は、日本国内の証券会社を通じて、米国株を取引した場合のものです。米国の証券会社を通じて取引した場合の扱いは、これとは異なりますのでご注意ください。

譲渡損益の考え方は基本的に日本株の場合と同じ

 まず譲渡損益(売却損益)の考え方は日本株と同じです。売却価格から取得価格を差し引いた利益(譲渡益)に対して20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税率で課税されます。

 なお、譲渡益については米国国内での課税はなされません。

 譲渡損益の計算は日本円に換算した上で行います。そのため、為替差損益(為替レートの変動により生じた損益)は譲渡損益に含めて計算されます。

 したがって、米ドル建ての株価が買った時と売った時で同じであっても、売った時の為替レートが買った時よりも円安になっていれば、譲渡益が発生しますし、円高になっていれば譲渡損が発生します。

 譲渡損が生じた場合は同年中の他の上場株式等の譲渡益や配当金と相殺でき、残った譲渡損は翌年以降3年間繰り越して翌年以降の譲渡益や配当金と損益通算できるのも日本株と同じです。

配当金は少しややこしい

 米国株の配当金は日本株に比べ、少しややこしくなっています。

 まず、米国にて10%の税金が差し引かれた後、残りの部分に対して、日本で20.315%が課税されます。

 したがって、配当金を100とすると、源泉徴収後の手残りの金額は、次のようになります。

100から米国課税分10%を引き、日本の課税分20.315%の残り割合=79.685%を掛ける
100-10%×79.685%約71.7(手取り)

 配当金100-71.7%=28.3%となり、配当金のうち、およそ28.3%が源泉徴収される計算です。

確定申告で米国課税は取り戻せる

 米国にて課税された10%分の税金は、確定申告をすることで外国税額控除という仕組みにより税額を取り戻すことができます。ただし「税額控除」のため、控除すべき税金がそもそもない場合は外国税額控除は使えません。

 ところで、米国株の配当金には配当控除の適用はありません。配当金の扱いは、詳しくは次回のコラムをご参照ください。

NISAで米国株を保有している場合はどうなるの?

 米国株は、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座で買うこともできます。

 NISA口座で保有している米国株の譲渡(売却益)は非課税となります。

 一方、譲渡(売却損)が生じた場合は、損失が切り捨てとなり、通常の口座で生じた譲渡益との損益通算はできず、翌年以降に損失を繰り越すこともできません。

 これは日本株の場合と同じ取り扱いになっています。

 次に、配当金にかかる税金は、日本国内では非課税ですが、米国では10%の税率で課税されます。この10%について、外国税額控除の適用を受けることができないため、NISA口座であっても配当金の10%は課税されます。

 今回は米国株の譲渡損益について、そしてNISA口座での扱いについて、お伝えしました。

 次回は譲渡損益より複雑な、配当金の扱いにつき、詳しく取り上げたいと思います。