NZドル相場の年間買いポイントは!?

 クロス円市場は株式市場と連動する特徴を持っている。下のチャートは米国の株式市場のベンチマークとなっているS&P500のシーズナリーチャートである。

1949 年以降のS&P500の一年間のシーズナルパターン

出所:トレーダーズアルマナック

 株式市場は5月から10月の半ばまではよくてレンジ相場で、買いトレンドが発生しにくい。したがって、株式投資の王道投資手法は「10月末に買って翌年の4月末に売る」という「黄金の半年投資ルール」である。

 歴史的にみて、例年7月半ばから9月までは米国株が下げやすく、この時期はクロス円相場の下落に注意が必要な時期である。

 今回のレポートでは、NZドル/円を例にシーズナリー的な買い場を探ってみる。

 NZドルのシーズナリーチャートを見ると、NZドル相場は9月をボトム(底)に年末まで反発しやすい傾向を持っている。

NZドルのシーズナリーチャート(過去20年の平均)

出所:エクイティクロック

 相場に絶対はないが、米国株のシーズナリーチャートとNZドルのシーズナリーチャートから導かれるNZドル投資の確率的な答えは、9月と11月に逆張りのNZドル買いを狙うことだ。

 NZドル/円相場は8月の下げに注意しなくてはならない。中期的には9月のボトムが買い場だが、筆者は毎年11月の頭に裁量取引でNZドル/円と米国の株価インデックスを買っている。もちろん、ストップロス注文は必須である。

NZドル/円(日足)買い場は9月と11月か!?

(赤↑=買いシグナル・黄↓=売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 為替相場の年間見通しについては、7月10日の「楽天証券サービス開始22周年記念セミナー」 番外編‼『先取り★マーケットレビュー』で詳しく解説するのでぜひご覧いただきたい。

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すべてが素晴らしい!なぜならFRBがそう言っているから…

 ユーロ・パシフィック・キャピタル社のピーター・シフが面白いことを言っている。米国のGDP(国内総生産)の成長はすべて、消費者がお金を使うことに関係している。

 では、消費者はそのお金をどこから得ていたのだろうか? 景気刺激策や失業手当の増額などの形で、政府からもらったものだ。しかし、これは経済力を示すものではない。これは実際にはインフレを示しているのだ。

 以下はゼロヘッジの記事「Peter Schiff: Everything Is Great! Because The Fed Says So(ピーター・シフ:すべてが素晴らしい! なぜならFRB(米連邦準備制度理事会)がそう言っているから)」という記事の抜粋である。

【ピーター・シフはポッドキャストの中で、期待感の変化があったと述べている。6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)の後、投資家はFRBがインフレ対策のために金融引き締めを行うのではないかとジタバタしていた。今では、インフレ問題は存在しないという考え方になっているようだ。本当に一過性のものなのだ。

ナスダック100CFD(日足)

(赤↑=買いシグナル・黄↓=売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 すべてが素晴らしいのは、まあ、FRBがそう言っているからだ。

 先週と今週の大きな違いは、先週は誰もがFRBがインフレ対策をするのではないかと心配していたが、インフレは一過性のものだとほぼ決定しているため、FRBがインフレ対策をするのではないかと心配していない。

 FRBが実際にブレーキを踏むことはない。なぜなら、今もこれからもインフレの問題はないからだ。確かに今、物価は上がっている。しかし、それは一過性のものであり、心配する必要はない。

 インフレが一過性のものだとなぜわかるのか?

 FRBがそう言ったのだ!

 一方、原油価格はどんどん上がっていく。しかし、インフレが一過性のものだとしたら、原油価格の上昇も一過性のものに違いないだろう?ピーターはそうは思っていない。

NY原油CFD(日足)

(赤↑=買いシグナル・黄↓=売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 原油チャートを見ることができる人なら誰でも、この強気相場は一過性のものではない。原油チャートにはほとんど抵抗が見られない。

 実際、ピーターは、1バレル100ドルになるまでは、あまり抵抗がないと考えているという。材木や銅など、高騰した商品の一部は後退している。しかし、強気相場が始まる前に比べれば、非常に高い水準にあると言えるだろう。

 相場に楽観的な理由として、第1四半期のGDPが大きく伸びたことが挙げられる。しかし、ピーターが指摘したように、その成長のほとんどは個人消費支出の11.4%増によるものだ。

 つまり、GDPの成長はすべて、消費者がお金を使うことに関係していたのだ。消費者はそのお金をどこから得ていたのだろうか?景気刺激策や失業手当の増額などの形で、政府からもらったものだ。家賃を払わなくてもいいという事実によって、お金を手に入れたのだ。学生ローンの利子も払わなくていい。つまり、多くの人がお金を余らせて使うことができたのだ。そして彼らはそれを使い、GDPは上昇した。しかし、これは経済力を示すものではない。これは実際にはインフレを示しているのだ】

出所:「Peter Schiff: Everything Is Great! Because The Fed Says So」(ゼロヘッジ)

 マイケル・バーリが「パッシブ投資の知能指数劣化」が株式バブルを悪化させると述べているように、「今、市場や経済には大量の資金が投入されており、市場はまるでカジノのように人々がおかしなお金を使って遊んでいる」(レイ・ダリオ)のである。

「能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」はカール・マルクスの1875年の著書『ゴータ綱領批判』から広まったスローガンである。米国では今や能力に応じて働くことが抜け落ち、必要に応じて受け取るだけの社会になりつつある。

 FRBはインフレを認めるわけにはいかないだろう。しかし、FRBの願いとは対象的に明らかにインフレに対する懸念は高まっている。

 現在の不幸は、ほとんどの資産がFRBによって「固定」されており、債券は暗黙のイールドカーブ制御の世界で取引されているため、インフレのシグナルをすべて失っている。

7月7日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」

 7月7日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、今中能夫さん(楽天証券経済研究所チーフアナリスト)をゲストにお招きして、「ここからの株式市場の見通しと注目銘柄」というテーマで話をしてみた。放送をぜひ、ご覧ください。

出所:YouTube
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 ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。

7月7日: 楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー

出所:YouTube